表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

自然の保護とは何でしょうか

作者: 元島ぴとぅ

皆様、西表島をご存じでしょうか。

イリオモテヤマネコの島、と言えば、ピンとくるかもしれません。

もしかしたら訪れたことのある方もいるかもしれませんね。西表島を旅行先に選んでくださりありがとうございます。

少し、西表島の説明をさせていただきたいと思います。


西表島は2021年に、やんばるの森などと共に世界自然遺産に認定された、島の九割が手つかずのままの島です。昔からの古い風習も未だ根強く残っています。

24時間営業のスーパーはおろか、コンビニすらありません。島に行くには高速船に乗るしかありません。とても不便な島です。自然以外何もないとも言えるでしょう。


私の住んでいた集落では、500年以上も続く祭が未だ村人総出で、学校も特別に授業が無くなって行われます。古き良きものが残るとても良い場所だと、私はそう思っています。二年前に高校進学のため、やむなく島を出ましたが、未だに島が大好きです。祭の時期になると血が騒いでそわそわします。


さて、私は島が自然遺産に認定されたときはまだ島に住んでいました。

まだただの中学二年生の子供でしたが、私はその時自然遺産の認定を反対していました。

これは周りの大人が反対しているからではなく、子供なりに島のことを考えた末の気持ちです。


島には下水施設がありません。代わりに各家に浄化槽という簡易的なものがあります。病院もありません。病院の代わりに診療所という小さな医療施設が島にふたつ、各一人ずつのお医者様が24時間、2000人余りの島民と観光客を見て下さっています。救急隊員もつい数年前までは、本業ではない若者たちが集まった消防隊が一緒に代わりをやっていました。彼らには本業が別であります。上水道はとても脆弱です。少し梅雨の雨が少ないと、皆で「今年の水は大丈夫かね」と話します、観光シーズンの夕方には、村の奥は水圧が下がってしまうくらいです。


そんな状況で自然遺産になった時、島は一体どうなってしまうのだろうか。

そんな心配はよそに課題はそのままで自然遺産になってしまいましたが、今、遅ればせながらみんなが島を守るため頑張っています。これから良くなっていくことでしょう。



ところで、その西表島で気がかりなことが起きています。

その気がかりなことこそ、今回私が筆をとった理由でもあります。

ここからは私がいま最も伝えたいことを書かせていただきます。ウミガメについてです。


ウミガメ、皆様ご存じのことでしょう。数が減って大事に保護されているあのウミガメです。

ところが西表島では今、ウミガメの数が増えすぎてとある問題を引き起こしています。


増えすぎて? 少なすぎての間違いだろう? そんなことを考えたでしょうか。

間違いではありません。『増えすぎて』です。


一体それでどんな問題があるんだろうと。

磯焼けです。


磯焼け、本土でもたびたび耳にする問題です。本土ではうにが原因と聞きます。

西表島では、増えすぎたアオウミガメが原因です。


私が海に違和感を覚えたのは大体小学校高学年の時です。

おそらく漁師の方はもっと早くに違和感を覚えていたことでしょう。

島の海では、時期になると毎年天然のもずくが余るほど取れました。

しかしある年を境に取れる量は減っていき、一握りも取れなくなり、遂に今では一切取れません。


それと同じくらいに、西表島の浅瀬の砂場を覆う、ウミショウブ、という植物も徐々に姿を消していきました。海藻を食べるアオウミガメのご飯です。

かつては歩くと足を取られ転んでしまうほどに茂っていたウミショウブが、今では一つも生えていません。

まっさらな、まさに海の砂漠です。

ウミショウブに卵を産み付けていたイカやアバサーも、藻場に住むアイゴも姿を消しました。


一方、ウミガメはどんどん増えていき、海に出ればウミガメに必ず出会うようになりました。


ウミガメたちはものすごい勢いで数を増やし、少しずつ移動しながらウミショウブを食べつくしていきました。それだけでは到底エサが足りず、芽生えたばかりのわずかなウミショウブの新芽を食べつくします。果ては汽水域まで入り込みマングローブの芽も食べつくしています。

おそらくあと数年もあれば、西表島からはウミショウブという海藻は完全に姿を消すでしょう。


そればかりか、数十年後には美しいマングローブ林も壊滅的な被害を受けていることでしょう。

西表島のマングローブ林は、数多くの生き物たちが隠れ家にしています。希少な生物も少なくありません。

それすらも、失われかけています。


一方増えすぎたウミガメは数が減ったということで保護されています。

以前、島の人はウミガメを食べていたそうです。というのも、私は実際に口にしたことはなく、島の大人から話を聞いただけです。


ここ数年でウミガメは大きく数を増やし、世界中では減りすぎて問題になっているはずのウミガメが島では増えすぎて問題になっているのです。


これだけでウミガメが増えすぎているのだと説明できるのか、と言われたら私は言葉に詰まってしまいます。

なぜならば、私は根拠にしっかりと裏が取れた論文を携えて反論に備えているわけではなく、島で生まれ育った島ぴとぅの「カン」が、これが正しいと私が言い切る根拠だからです。

無論、そんなものを皆様に、全員が納得する形で説明できるわけがありません。


おまえたちが自然を壊したせいだろう、それをしていないと証明できる根拠を出せ、と言われても困ってしまいます。

島の人たちが自然を壊さないと私が言い切れる根拠は、島を愛するならそんなことはしないと「私が」信じているからです。そんなもので皆様に納得しろと、私は口が裂けても言えません。


そんな主観的で曖昧なものを理由に私はこれを書きました。

論文でもなんでもなく、ただのいち未成年の戯言と切り捨てられてしまうものです。

ここに書いてあることは正しいと皆様に納得していただくことは、きっとできないと思っています。

ですが頭の片隅に、そういうこともあるんだと、どこかに残しておいて欲しいのです。知ってほしいのです。




人が壊してしまった自然は人が手を出さねば戻ることはないでしょう。

保護とは一体何でしょうか? 


なにかを守ることで何かが犠牲になった時、果たしてそれは保護と言えるのでしょうか。


つり合いが取れて、私たちの子供たちにも、孫たちにも、遥か先の未来にも今の自然がちゃんと残ることが保護、なのではないでしょうか。



無論、これは半端な知識で自然保護なんて言って手を出す偽善者よ今すぐやめろというわけではありません。

偽善の積み重ねで守られるものもあるでしょう。しない善よりする偽善です。

住んでみないと、仕事場にしてみないと分からないものもあるでしょう。


落ちてたごみを拾ってくれたそこのあなた、植林活動をしてみたそこのあなた、ほんの一円でも寄付してみたそこのあなた、自然に興味を持って何かしようと思ってくれた、調べてくれたそこのあなた。本当にありがとうございます。



感情のままに書きなぐってしまいましたので支離滅裂な部分もあることでしょう。

ですがそんな文章を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
西表島程では無いにせよ、海抜○○mにも関わらず夜はオカヤドカリが歩き回りフルーツバットが枇杷に集るので家の同居猫が木登りジャンプで襲い掛かり、偶に路肩で野生のウズラやその雛たちとニアミスする程度には沖…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ