想い人からの手紙
「ましろちゃん。今まで、よしのちゃんと入れ替わっているかもしれないと思っていたから、彼女を意識してすごくお手伝いを頑張ってくれていたのね?
ママ、ちっともあなたの苦しい気持ちを理解してあげられないで、成長だなんて喜んでいてごめんなさいっ……。」
「ママ……。」
「ましろ。血の繋がりがなかったとしても、君は私達の大切な子供だよ? だから、もう、よしのさんの真似はしなくてもいいんだよ?
そのままのましろを、私達は見守っていきたいと思っているんだ」
「パパ……。」
挨拶以外誰も喋らなかった気まずい朝食の後、ママとパパがおもむろに口を開いて涙を浮かべてそう言ってくれた。
ママ、パパ、違うよ。
私達はしばらく物理的に入れ替わっていたの。けれど、人生そのものが入れ替わっていたとまでは知らなかったの。
それなのに、綺麗に説明がつき、納得してもらえてしまうこの状況は何だろう?
まるで最初から仕組まれていたように……。
本当の事などとても言えず、遣る瀬無い気持ちになりながらも、私は優しい両親に笑顔を向けた。
「ありがとう。パパ、ママ。私、ゆっくり考えてみるね。ちょっと郵便受けに新聞取ってくる」
席を立つ言い訳にそう言い、その場を離れた。
血の繋がりはなくても、いい両親に囲まれて恵まれた環境にいるのに、この先明るい気持ちになれる事なんてないように感じた。
ガサッ。カサッ。
「?」
郵便受けに入っていた新聞を取った時、シンプルな白い封筒の郵便物も入っていた。
宛先を見てみると、そこには住所はなく……。
『虎田ましろ様』
私宛ての名前のみ。
そして、裏を返して、同じく住所はなく、差出人の名前を見て、私は目を見開いた。
「!||||||||」
『鷹宮義隆』
そこにはそう書かれていたのだった。
✽
パパに新聞を渡して、急いで自分の部屋に戻った後、その封筒を開けてみると、中には便箋が1枚のみ。
夢の事もあり、自分が過去にやらかした事の仕返しとしての、よしのさんとのラブシーンを収めたビデオレターだったらどうしよう?と思っていた私は少しだけホッとした。
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
虎田ましろ様
すまないが、色々話したい事がある。
誰にも知られないように、14時に近くのいもうと公園に来てくれないだろうか。
何時まででも待っている。
鷹宮義隆
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
「っ…………!!」
私は短い文面を読み終えると、動揺して動悸が速まっている胸を押さえた。
「話す事なんか、何もないわ。行かないわ! 行かないっ!」
私は自分に言い聞かせるように語気強くそう言ったけど……。
✽
数時間後――。
「ペンペン達は、仲良しでいいね?私は、そんな風にはなれなかったけど、最後にもう一度だけ好きな人に会ってくるね……」
ベッドに仲良く寄り添うペンペンとサンタさんにもらったぬいぐるみのペンギンの女の子に声をかけると、義隆先輩に貰ったネックレスを身に着け、私はパパ、ママに見つからないようにそっと部屋を出た。
✽
そして、いもうと公園へ向かった私は入り口の辺りで後ろから誰かに声をかけられた。
「君、虎田ましろちゃんだよね?ちょっといいかな?」
「えっ? んんっ?!!||||||||」」
振り向いた瞬間、口に白い布を押し当てられ、強烈な刺激臭を感じた途端、私の意識は急激に遠のき……。
「ほ、本当に来るなんて……||||||||」
「ひゅぅっ。無理かもって言ってたけど、彼女、ちゃんと来たじゃん。寝取くんお手柄!」
何か不快な感じのする聞き覚えのある誰かの声と、もう一人の見知らぬ男の声を聞いたような気がした……。
*あとがき*
いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m
今後ともどうかよろしくお願いします。




