クリスマスの朝 噛み締める現実《虎田ましろ視点》
気が付くと、私は自分の……、よしのさんの部屋にいた。
あれ? 私、どうしたんだっけ? 確か義隆先輩とよしのさんとクリスマスデートに出かけて、それで……。
ぼんやりと楽しかったような切なかったような感情が思い出される。
それで、その後また戻って来たんだっけ?
確か両親も含めてクリスマス会をする事になっていたわよね? あれはどうなったん……。
『あなた達が赤ちゃんの時に■■■■られたって事よ……。』
ズキッ!
「うっ……!」
一瞬、ママの言葉が脳裏に蘇り、頭が鋭く痛み、蹲った時……。
『んっ……』
『んぅっ』
「!?」
ベッドの上で、一組の男女が絡み合っていた。
『よしのっ……。ふぅっ……。』
『あぁんっ……。お兄様、ダメ……ですぅっ……。』
「よ、義隆先輩!? よしのさんっ!?」
あろう事か、下着姿で私のベッドの上で艶めかしい声を出してキスをして抱き合っているのは、義隆先輩と私の姿のよしのさんだった。
「や、やめて! 私の姿で何してるの!? やめてったらーーっっ!!!」
大声で叫ぶと、二人は迷惑気な表情でチラリとこちらを見た。
『ましろ、お前何を言ってるんだ? よしのは既に元の姿に戻っているぞ?』
『そうですよ。もう私はAAカップのあなたの姿ではなく、元のGカップのよしのの姿に戻っています。』
「え? ……!!」
よく見れば、私の姿ではなく、薄青のロングヘアのよしのさんが豊満な胸を義隆先輩の体に押し付けていた。
『フニュン♡ 元の姿でお兄様とどうしようが、私達の勝手でしょう?ねっ、お兄様?』
『おうっ…♡ よしのの言う通りだ。ビデオレターを送り付けた元カノは邪魔しないでくれるか?』
「だ、ダメよ、そんなの! だってあなた達はっ……」
そう言いかけたけど、義隆くんとよしのさんはもうお互いしか見ていなかった。
『私達が兄妹じゃないって分かってよかったです〜』
『ああ、よしのっ。これで思う存分愛し合えるなっ』
「え? ……!!!!|||||||| 」
私は二人の言葉に目を剥き、ある文言を鮮明に思い出した。
『鑑定対象者 虎田ましろ/兄弟姉妹である可能性は99.98%以上と判断されます。』
「あっ。わ、私っ……。 私は、義隆先輩のっ……!!!!」
『よしのっ。はぁっ。はぁっ……』
『お兄様っ。あんっ。あぁんっ……』
ガクガクと震える私の目の前で、義隆先輩はよしのさんを押し倒し、求め合ってっていた……。
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「いやあああぁーーーっ……!!!」
ガバッ!!
「ハッ。……!!」
自分の叫び声で目が覚め、私は目を見開いた。
よしのさんの部屋の安っぽい照明器具……ではなく豪華なシャンデリアが目に入り、狭苦しいよしのさんのベッド……ではなく天蓋付きの広いベッドに私は寝ていた。
「っ……」
サラッ。プニッ。
髪を一房取ると滑らかな黒髪が、胸を触るとささやかな膨らみの感触があった。
そう。昨日やっと元の姿に戻って、私は元の自分の家に帰って来た。
見れば、隣にはペンペン。
そして、その隣に置いてあった大きな靴下の中には、私がサンタさんに頼んだプレゼントの包みが入っていた。
今年もサンタさんは来てくれた。去年まで、1年間で一番嬉しい時だったクリスマスの朝。
でも、この胸の内に嬉しさはなく、重苦しいもので満ちている。
「私はママとパパの子供じゃなかった……。義隆先輩の……実の妹だった……。こんなのってないよっ……」
握り締めた拳に冷たい雫がポタポタと降りかかった……。
✽あとがき✽
読んで下さりありがとうございます!
入れ替わりが解消されたにも関わらず、新たな取り違えの事実に苦しむましろ。
更に事態が混迷を極める来週以降の展開も見守って下さると有難いです。
今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m




