ショックを受ける三人
今日はクリスマス会と、恐らく(サプライズで)二人の誕生日を祝う為に二家族で集まっていた。
よしのとましろの入れ替わりが解消されたばかりで、自分の体で家族との感動の再会を果たし、楽しい時間を過ごす筈だった……。
しかし……。
今までの家族との歴史も俺達三人の関係も、全て覆すような衝撃の事実が発覚し、楽しい雰囲気は霧散し、辺りは重苦しい空気が立ち込めていた。
当然、クリスマス会は中止。今日はこれで解散して、両親同士で改めて話し合おうという流れになった。
その前に少しだけ時間を欲しいと両親達に頼んで部屋を出てもらい、今にも倒れそうな様子のましろと、よしのと三人だけで話し合う事にした。
「ま、ましろ……。|||||||| 大丈夫か?」
「ま、ましろさん……。|||||||| 大丈夫ですか? こんな事になって、私どうしたらいいか……」
俺と涙目のよしのがさっきから微動だにしないましろの顔を覗き込み、声をかけると彼女は怒ったような顔で大声を出した。
「だ、大丈夫、大丈夫よっ!|||||||| 」
ましろはガクガクする膝で立ち上がり、俺とよしのに歪んだ笑いを向けて来た。
「よ、よかったわね。あんた達両想いだし、本当の兄妹じゃなかったなら結果オーライじゃない。」
「ましろ……!」
「ましろさん……!」
「傑作ね。私達の運命は生まれた時から歪められ、元々入れ替わっていたんだわ!
私が義隆くんと付き合い出したのも! NTRビデオレターを送って別れて、よしのさんと入れ替わったのも!
全てはこの歪みを元に戻す為に起こった事じゃないのっ?」
「「!!|||||||| 」」
ツインテールを揺らしながら、ましろが泣きそうな表情で主張する考察に俺達は打ちのめされた。
「現に入れ替わりが解消された今、全てがうまい具合に行くわ。
入れ替わり中、私達がおかしな様子だったのも、赤ちゃんの時の取り違えを疑っていたせい!
よしのさんと義隆先輩が惹かれあったのも、血の繋がりがなかったせい!
私と義隆先輩が別れたのも私と義隆先輩が……、じ、実の兄妹だったせいっ…。
ぜ、全部に納得いく説明がついてしまうじゃないっ! ハッピーエンドよっ……。う、ううっ……。うふぅっ……。」
「ま、ましろっ……」
「ま、ましろさんっ……」
捲し立てるように話している内にボロボロ涙を零し始め、蹲るましろに俺とよしのはどうしたらいいか分からなかった。
「ハ、ハッピーエンドなんて、思っていませんよ。こんなの、私が望んでいた結果じゃありません。お兄様ともましろさんとも新しい関係を築けると思っていたのに……」
「そ、そうだぞ。ましろ。俺は入れ替わりが解消したら、よしのともお前とも新しい関係を築けるとそう思って……」
動揺しながらよしのと俺がかける言葉にましろは、泣きながら笑い出した。
「ア、アハハ。新しい関係って友達とか? こんな事になって、普通に仲良くしていけるわけないじゃない! 生徒会からも抜けるし、転校もアリかもね。
今はただ、あなた達のいない世界線へ行きたいわ。」
「ましろさん……」
「ましろ……」
「兄妹で恋人同士だったなんて笑っちゃう。こんなものいらないわっ!」
チャリッ。
「…!! ま、待ってくれ!」
俺がプレゼントしたネックレスを外して、テーブルに置こうとしたましろの手に俺は自分の手を重ね、押さえつけた。
「……! 離してよっ!!」
「ましろ、これは、妹でもなく友達でもないお前にやったものだ。
捨てるのはお前の自由だが、受け取って置いてくれ。頼むから……」
「っ……」
堪らない気持ちで俺が懇願すると、ましろは目を見開き、涙を袖でゴシゴシ拭いた。
「わ、分かったわ。さ、さようなら。義隆先輩、よしのさん」
「ましろ……!」
「ましろさん……!」
ましろはネックレスを手にし、目を逸らしたまま、俺とよしのに別れを告げ部屋を出て行った。
そして、その後も両親と共に彼女が帰っていくのを見送ったが、彼女は一度もこちらを振り向く事はなかった……。
「お兄様、こんな事って……。入れ替わりを解消してやっとお家に帰って来た筈なのに、ショックだし、喜べません。」
涙を浮かべて首を項垂れるよしのに、俺も頷いた。
「ああ。俺も入れ替わりが解消したら、全てが良い方向へ向かうと思っていたのに、まさか、こんな事になるとはな……」
「ましろさんの気持ちを考えると胸が苦しいです……。お兄様、これからどうしたらいんでしょう?」
「……。」
よしのの問いに、俺は有効な答えなど出せそうになかったが……。
『鑑定対象者 虎田ましろ/兄弟姉妹である可能性は99.98%以上と判断されます。』
その結果を見た時、ショックと共に、自分の中に不思議な感情が芽生えた事を思い返していた。




