入れ替わり解消!! 自分に還る二人
「よしのーっ!! ましろーっ!!」
よしののツインテールが、ましろのロングヘアが宙に翻り、その身体が重力に従い下へ落ちて行くのに、俺は必死に手を伸ばし……。
ガシッ!×2
ガタガターン!!ズザザザッ!!
ゴチン!
「あたっ!」
ガツン!
「うぎゅっ!」
ドガッ!
「ぐふっ!」
歩道橋から落ちてくるましろとよしのをなんとか腕に抱え込んで勢いを少し殺せたものの、俺達は10段分程滑り落ち、歩道橋の手すりにぶつかりやっと止まる事が出来た。
「「「っ〜〜〜!!」」」
俺達はそれぞれどこかをぶつけており、俺は背中、ましろとよしのはおでこを押さえ、しばらく身を起こせず、痛みに耐えていた。
「ったぁぁ〜! やっぱり、よしのさん、やりやがったじゃない! ひどい目にあったわぁ……」
額にたんこぶが出来ている《《黒髪のツインテールの美少女》》が涙目で文句を言うと……。
「ったぁぁ〜! え〜ん、ごめんなさぁい! だってまさか本当にバナナの皮が下に落ちているなんて思わないじゃないですかぁっ」
同じく、額にたんこぶが出来ている水色のロングヘアの美少女がひんひん泣いて謝っている。
「ま、ましろ……?よ、よしの……?」
打ち付けた背中の痛みも一瞬引きながら、俺はその光景に目を見張っていた。
「義隆先輩?」
「お兄様?」
彼女達は、一瞬そんな俺を不思議そうに見遣ると、次の瞬間ハッとしたようにお互いの姿を見合った。
「よ、よしの……さん??」
赤い目を瞬かせ、ましろが目の前の相手を指差し……。
「ま、ましろ……さん??」
青い目を瞬かせ、よしのが目の前の相手を指差し……。
それから、二人は慌てたように自分の体のあちこちを触って確認した。
ちまっ……。 さわさわっ。
「肩が軽い……! 髪型がツインテールになってる! 服もよしのさんの着てたものだわ!」
たぷんっ……。さわさわっ。
「肩が重い……! 髪型がハーフアップになってる! 服もましろさんの着ていたものです!」
「義隆先輩っ! 私達……!」
「お兄様っ! 私達……!」
俺に縋るように判定を求めて来たましろとよしのに、俺は万感の思いを込めて頷いた。
「ああ……! 入れ替わり、解消しているぞ?」
「「っ……!!!!////」」
彼女達は息を飲むと……。
ガバッ×2
「うわっ……!////」
ドサッ!!
二人に同時に抱き着かれ、俺は起こしかけていた身を再び地面に横倒しにされた。
「うわぁぁっ。わああぁんっっ!! 義隆先輩っ!! 私、私に戻ったよぉ〜っっ!!」
「うわぁぁっ。わああぁんっっ!! お兄様っ!! 私、私に戻りましたぁ〜っ!!」
「ああ。よかったな? おかえり! ましろっ……! よしのっ……!」
感極まってわんわん泣いているましろとよしのの頭を撫でながら、俺も涙を滲ませ、掠れ声で告げたのだった……。
*おまけ話*
その数時間前、石藤家にて――。
「義江ちゃん。モール、こんな感じでいいかしら?」
「うん。バッチリよ? 遥香ちゃん!」
ましろの母、虎田遥香がリビングに施した飾り付けを確認して、義隆&よしのの母、鷹宮義江はにっこり笑うとOKサインを出した。
「飾り付け手伝ってくれてありがとうね? 料理もかなり作ってもらっちゃったし、主催者なのに申し訳ないわ〜」
「いえ、そんな! 場所を提供してもらってる上に、昨日はましろまで泊まらせてもらっちゃって、こちらこそ迷惑かけちゃって申し訳ないわ〜」
「あら、それは気にしないで? ましろちゃんは、もう家の娘みたいに思っているから、全然迷惑じゃないわよ」
「そう言ってもらえると有難いわ。よしのちゃんも義隆くんも私の子供みたいに思っているから、今度家にもぜひお泊りしに来てね?」
「あら。いいの?」
「ええ。家のお客様用の寝室を使ってもらって、三人仲良く寝てもらってもいいわね〜」
「ええっ?!///は、遥香ちゃんっ??」
「ふふっ。冗談よ〜?」
ピンポーン!
母親同士がそんなやり取りをしている中、家のチャイムが鳴った。
「あっ。はーい!」
『郵便書留の受け取りお願いします』
義江がインターホンに出ると、画面には配達員らしき制服の男性が画面に映っていた。
「はーい。伺います。」
義江がそう返事をしたところ……。
トゥルルル……。
リビングの電話が鳴り、彼女は慌てた。
「あらら、同時に……!」
「あっ。義江ちゃん、もしよかったら私、書留受け取るよ?」
「遥香ちゃん、ありがとう〜! ごめんね?」
「いいよ〜!」
義江は遥香に片手を立て礼を言うと、遥香は手を振りその場を離れた。
「はい。え? いもうとレディースクリニック? 」
電話口に出た義江は、発信先の意外な相手に目を丸くした。
✽
しばらくして、遥香は2枚の封筒を手に、戸惑ったような顔でリビングに戻って来た。
「ね、ねぇ、電話中、悪いけど、義隆くん宛てにDNA鑑定結果在中って書いてある手紙が来たんだけど、これって一体……、義江ちゃん……??」
「は、遥香ちゃん……」
遥香は言いながら、電話中の義江の顔が紙のように白い事に気付き、目を見開いたのだった。




