クリスマスデート♡⑥〜ましろとの思い出の場所〜
「ここに来るの、初デートの時以来ね? よ、義隆先輩、手を繋いでもいい?」
「あ、ああ……。」
ましろに差し出された手を握り、俺達はぎこちなく歩き出した。
「以前は、ペンギンのお散歩イベント見られなくてずっとましろ怒っていたろ?」
「そ、そうだったわね。あの時、ペンギンのお散歩見られなかったのは残念だったけど、ワガママ言い過ぎたのは悪かったと思ってるわよ」
俺が初デートの事を持ち出すと、ましろは気まずそうに謝ってきた。
「いや、俺もイベントのスケジュールをちゃんと確認していなくて、ましろを満足させてやれなくて悪かったと思ってさ。
今日は14時からイベントあるのをちゃんと確認してきたから、行ってみないか?」
「! // 行くっ!!」
ましろは、目を輝かせて答えると、俺と繋いでいる手に力がこもった。
✽
ペトペトペト……✕3
「キャー!見て義隆くん、よしおくんの歩き方、可愛いわね?」
「ははっ。そうだな、ましろ?あっ。みちこちゃんとまきちゃんが睨み合いながら歩いて来るの、迫力あるな!」
柵の後ろからペンギンの集団が歩いて来るのを見遣っていると、以前名前を覚えたペンギン達を発見し、ましろと俺は微笑ましく顔を見合わせた。
以前来た時とは違って、今は穏やかな雰囲気でましろと過ごせる事にホッとしていると、彼女がボソッと呟いた。
「(夢と同じだ……)」
「え?」
「う、ううん。お散歩イベント見られてよかったって言っただけ!」
ましろは誤魔化すような曖昧な笑みを浮かべるとぷるぷると首を振った。
「義隆先輩、誘ってくれてありがとうね!」
「!」
頬を紅潮させたましろに素直に礼を言われ、俺は目を丸くした。
付き合っていた頃のましろだったら、
「ま、やっと及第点ってところかしら?これからも精進しなさいよね?」
ぐらいの反応だったろう。
そう言えば、さっきもましろはワガママを言い過ぎて悪かったと謝ってきていたし、入れ替わりで外見がよしのの姿に変わっただけでなくて、内面も大きく変わったんだよな……。
そして俺の気持ちも……。
「あのね、義隆先輩、私……。」
青く長い髪を揺らして顔を上げ、青い大きな瞳をうるうるさせて、ましろが何かを言いかけた時……。
「……。……。」
ペトペトペトペト……!
「それでは、ペンギンお散歩イベントはこれで終了となります! 皆さん、ご参加ありがとうございました〜!」
パチパチパチ……!
ペンギン達がまた、獣舎に戻って行き、スタッフの人がイベントを終了を告げる声と観客の拍手にましろが続けた言葉はかき消された。
「え?ごめん。今、何か言ったか?ましろ……」
「う、ううん。な、何でも……。はぁっ……」
慌てて否定するも、シュンとした様子でため息をついているましろに、俺はもう一度聞き質そうか迷ったが……、自然と話せる空気を作る為、まずは彼女の気持ちが上を向くよう働きかけてみる事にした。
「ましろ。よかったらだけど、誕生日プレゼントを贈らせてもらえないか?」
「えっ!//」
俺の提案にましろは驚いたように顔を上げ、目をパチクリさせた。
✽
「う〜〜ん。シャチの消しゴムに、チンアナゴのシャープペンシル、海藻の模様付き定規も可愛いわね? どれにしようかしら……」
お土産ショップの文具コーナーで、難しい顔で品物を物色しているましろに、俺は苦笑いで突っ込んだ。
「いや、文具ばっかりじゃないか?」
「え。だって、元に戻ったら、前に義隆くんが買ってくれたペンギンのペンケースに入れられていいかと思って……。ダメ?」
「いや、ましろが本当に欲しいものならいいが、もう少し値の張るものでもいいんだぞ?」
不安そうに窺ってくるましろに、俺はそう答え……、ましろの家が裕福だという事を思い出して、付け足した。
「あ、まぁ、べらぼうに高いものは無理だが……」
「そ、そう……なの? じゃあ、えっと……アクセサリーとか……でも?//」
「! あ、ああ、いいよ?」
隣のアクセサリーコーナーをチラチラ見ながら聞いてくるましろに、よしのにアクセサリーをプレゼントした事を思い出し、一瞬動揺しながら俺は答えた。
「やった! あっ。ドルフィンのブレスレット可愛い! 指輪もいいけどデザインがイマイチね〜。」
ましろはガッツポーズをとって飛び跳ねると、キラキラした目でアクセサリーコーナーを見て回っていたが、そのうちの一つを見て、一際高い声を上げた。
「あっ。この、ネックレス可愛い……!✧✧
でも、流石にちょっと高いわね……」
ましろの見ていたアクセサリーは、ペンギンモチーフがハートを抱っこしているデザインで、ハートの部分はピンクジルコンで出来ていた。
確かに、この中の他の物と比べると値は張るが、よしのに買ったネックレスとそんなに大差ない値段だった。
「うん。いいんじゃないか? ましろが気に入ったのなら、誕生日プレゼント、これにしてもいいか?」
「え! ほ、本当にいいの?」
「ああ。会計してくるな?」
ましろが恐縮している中、俺はネックレスの入った箱を手にして移動する途中……。
トスッ!
「義隆先輩、ありがとう!!//」
「!!」
ましろが後ろから俺に体当たりをするようにくっついて来た。
「ま、ましろ?」
俺が振り返ると真っ赤な顔のましろがパッと離れて、店の出口近くまで駆け出し、俺に嬉しそうに手を振った。
「外で待ってるから!」
「お、おう//」
俺も手を振り返し、頷きながらレジに向かった。
付き合っている間にましろにプレゼントしたのは、ペンギンのペンケースぐらいだったな……。アクセサリーをあげていたら、今みたいに喜んでくれていたんだろうか?
俺は今更考えても仕方がない事を考えてしまっていた……。
*あとがき*
いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m
今後ともどうかよろしくお願いします。
※81話、82話でよしのにプレゼントしたネックレスの石を誕生石にした方がよいかと後から思い立ちまして、薄青のムーンストーン→青いラピスラズリに修正しています。
混乱を招いてしまい大変申し訳ありませんが、よろしくお願いしますm(_ _;)m




