クリスマスデート♡④ 〜よしのの告白とこれからの関係〜
「お兄様、プレゼントして下さったネックレスを付けて頂けますか?」
「お、おうっ。」
カチッ。チャリッ。
よしのにせがまれ、誕生日プレゼントに買ったネックレスを付けてやると、その華奢な白い首元に、青いラピスラズリと、銀のウサギモチーフが可愛らしく揺れた。
「ふふっ。お兄様。ありがとうございます!私、このネックレス一生大切にしますね?」
「!」
『おにーしゃまっ! よしのはこのうさぎたん、いっしょう、たいせつにしますっっ!』
頬を染めてお礼を言って来るましろの姿のよしのに、ここでうさぎのぬいぐるみを買ってやった時の小さいよしのの姿が重なった。
「お、おうっ、喜んでくれてよかったよ。」
そして、今の俺も少し照れくさい思いで、小さい頃と同じセリフを言っていた。
よしのはあの時から変わらず俺の可愛い妹で、ましろと体が入れ替わってもそれは変わらない筈なのに、速い胸の鼓動が、甘い胸の痛みがあの時と違う感情を告げていた。
俺はそれに気付かないフリをしながら、ネックレスを付けた例えようもなく綺麗な彼女から目を逸らした。
「まぁ、でも、一生はちと大げさじゃないか?
兄からもらったアクセサリーなんかより、よしのにはこれからもっと大事なものが出来てくると思うぞ?」
「いいえ?そんな事はあり得ません」
無理に笑顔を浮かべて放った言葉は即座に彼女に否定された。
「お兄様に……、好きな人に貰ったもの以上に大事なものなんてこの先一生現れません!」
「よしの……!」
「お兄様、好きです……!世界中の誰よりも! お兄様は私の事をどう思って下さっていますか?教えて下さい」
「よ、よしのは……」
真っ直ぐに愛を伝えてくるよしのに心揺さぶられながら、俺は自分に言い聞かせるように語気強く言い切った。
「俺の妹だ! 妹として守ってやりたい。ただそれだけだ!」
「…!! ましろさんの体に入れ替わっても? 対外的に見せかけているとはいえ、今まで恋人として過ごして来ても?
ただの一度も私の事を妹以上に思った事はありませんかっ?」
縋るような瞳のよしのから、俺は苦しい思いで目を逸らした。
「あ、ああ、そうだ。お前の気持ちは嬉しいが何も応えてやれない!」
「お兄様っ……!」
よしのの目に見る見る内に涙が盛り上がって行く。
「お兄様、嘘だけはつかないで下さい。家に遊びに来て下さった時に、私を女の子として抱き締めてくれたじゃないですかぁっ……。」
「……!」
必死訴えかけてくるよしのに俺は言葉に詰まった。
「お兄様がましろさんをまだ好きで、本当に復縁したいと思っているなら受け入れます。彼女を私に重ねているだけだとしても、構いません。
私はお兄様の本当の気持ちが知りたいだけなんです!」
よしのに詰め寄られ、俺は心の奥から何か熱いものが込み上げてくるのを抑えられなかった。
「ほ…、本当の事を知って何になる?
俺達はどうせ兄妹に戻るんだ!結ばれない!」
「お兄様…!」
苦しいものを吐き出すように叫ぶ俺によしのは目を見開いた。
「この気持ちだって、お前がましろの体に入っているから生じているまやかしのようなもので、元に戻った途端に消えるものかもしれない。
そんなあやふやで何の約束もしてやれない状態で気持ちを伝えたところで後で余計に辛くなるだけだろう!」
「消えてしまう気持ちでも構いません!約束なんていらないんです!」
涙を散らしてツインテールを振りながらよしのが叫び返した。
「先の事なんかどうでもいい。私には妹ではなく、女の子でいられるこの瞬間が全てなんです。教えて下さい!お兄さ…。……!//」
言い終わらない内に華奢なその体を腕の中に抱き込んで、気付けば俺は激情のまま叫んでいた。
「好きだ!よしのっっ!!」
「っ……!!」
「入れ替わってから、ずっと、お前が側にいると胸が変に苦しくて、でもいなくなったら寂しくて気持ちを持て余していた。
本当はお前を他の男になんか渡したくない。俺だけに気持ちを向けていて欲しいって、そんな風に思ってしまっていた……」
「嬉しい。お兄様……!よしのは幸せです」
成す術もなく気持ちを吐露する俺にしがみつき、よしのは俺の胸に頬を擦り寄せて来た。
その体の温もり、花のような髪の香りをたまらなく愛おしく思い、いつまでもこのままでいたいと願うあまり……。
「もし……、もし、元に戻ってもこの気持ちが変わらなくて、もしよしのがずっと好きでいてくれて、お互いに責任の取れる年齢になっても二人の気持ちが同じだったら、普通の形ではなくても一緒にいられる方法を探していこう」
「約束はしなくていいって言っていますのに、お兄様ったら……///」
仮定の未来の話まで口にしてしまう俺に、よしのは泣き笑いのような表情になった。
「ましろさんの体のままでずっといれたらとも思いました。けれど、ましろさんがお兄様ともお母様とも馴染んでいるのを見て、寂しいと思ってしまった。
その時、私にはお兄様と……、家族と過ごした今までの思い出を捨てる事なんて出来ないと分かったんです。
入れ替わりをしてよかったと、今はとても満足しています。
元に戻るのが……、た、楽しみですっ。
ふ、ふふっ…。」
よしのは大きな赤い瞳から綺麗な涙をポロポロ零しながら笑った。
「よ、よしのっ……」
俺自身も涙で視界が霞みそうになるのを腕で拭い、尊い笑顔を胸に焼き付けた。
ツインテールの綺麗な黒髪に大きな赤い瞳。優しい笑顔の彼女は、ましろの外見でありながら俺の妹であり、どうしようもなく愛おしい女の子だった……。




