罪を認める二人
「やれやれ…。気をしっかり持つように言っていたというのに…。」
元カノから持久力3秒と証言され、ショックのあまり昏倒してしまった寝取に、俺はため息をつきよしのに声をかけた。
「よしの。気付け薬を嗅がせてやれ。」
「はい!お兄様。皆様、ちょっと悪臭がしますので、お気をつけ下さいね〜。」
よしのは周りに注意を呼びかけると、持っていた救護セットの中から小瓶を取り出し、それを数滴ティッシュに垂らしたものを、寝取の鼻の下に近付けていった。
「寝取さん。起きてくださいね〜。」
「ぐっぎゃああぁっ…!!!」
強烈な匂いを嗅いで寝取は体をビクビクッと跳ね上げさせると、鼻を押さえて飛び起きた。
「だ、だんじゃ!?こどでぃおいはーっ!!(な、何じゃ!?この匂いはーっ!)」
「アンモニア水です。よかった。気が付いて。」
「寝取。お前、訊問会の途中で倒れたんだ。」
食って掛かりそうな寝取からよしのを後ろ手に庇って説明すると、奴はハッと気が付き泣き出した。
「そうだ、俺…!ううっ…。麻美さんっ…!男の純情を弄びやがって…!」
「ショックだろうが、泣くのは後にしてくれ。今、満場一致でNTRビデオレターの男性とお前は別人だろうと結論が出たところだ。反論はないな…?」
「う、うぐ…。」
「……。||||」
何も言えない寝取の様子に、俺は肯定したものと受け取ると、青くなって黙り込んでいるましろにも目を遣り、最後のまとめに入る事にした。
「お前達がどのようにこのNTRビデオレターを作成したのかも大体分かっているんだ。黒崎は再び解説を頼む。」
「はい!任せて下さい。」
黒崎は勢いよく返事をすると、前に進み出た。
「実は、寝取さんと虎田さんの聞き取り調査をする前から、僕はこのNTRビデオレターがフェイクであろうと確信していました。
何故なら、この女性の体の特徴に心当たりがあったからです。
豊満なバスト、鎖骨の辺りのほくろをチャームポイントにしている今をときめくAV女優、Amuちゃんです。」
「「っ………!!」」
いよいよ核心を突かれた二人は、苦虫を噛み潰したような顔になった。
「僕が…、うんっ。僕の兄貴(大学二年生)がウチでよく鑑賞していたAV動画によく似たのがありましてね。『AmuちゃんのチャレンジシリーズⅡ 熱録!!休みなし2時間耐久ガチセ◯ロス!!』(修正済)っていうタイトルの動画なんですが、テレビで、NTRビデオレターと同時に再生してみますね。」
ピッ。カチッ。
黒崎がスクリーンとTVのリモコン同時に操作すると、スクリーンにNTRビデオレターが、壁際のTVに件のAV動画が映し出された。
『あんっ…。ああんっ…。』
『はっ。んっ。お前の彼氏よりもすごいだろうっ。』
『あんっ…。ああんっ…。』
『はっ。んっ。卍太郎(チャレンジシリーズⅠの男優)よりもすごいだろうっ。』
「これはっ…!」
「同じ画像…?」
二つの動画は似ているどころか、男性、女性の顔だけは違えど、画像、動きとも全く同じで風紀委員達はざわめいた。
「はい。二人がこのAV動画を加工した上、声だけアテレコをして、NTR動画を作った事は間違いないでしょう。」
黒崎は、ましろと寝取をギロリと睨みつけると、怒りも露わに人差し指を突き付けた。
「僕の天使Amuちゃんの出演作品をNTRビデオレターなんかに加工しやがって、汚した罪、万死に値します!ここからただで帰れると思わないで下さいねぇっ!!」
「「ひ、ひぃっ…?!」」
「「「「??」」」」
黒崎のあまりの剣幕に、寝取とましろは怯み、風紀委員は戸惑いぎみだった。
「く、黒崎ぃ、落ち着け!(風紀委員の前だぞ?)僕の兄貴の天使って言いたかったんだよな〜?いやぁ、黒崎は本当に兄想いだなぁ、ハハッ!」
打ち合わせでは、その動画が黒崎のお気に入りコレクションだと知れると、風紀委員のお叱りを受けてしまう為、兄貴のものという事にしようと言って置いた筈なのだが、黒崎は怒りのあまり本音がダダ漏れてしまったらしい。
黒崎の肩を強めにバンバンと叩き、焦ってフォローに入った。
「(あっ。会長、すみません。推しの女優さんだったもんで、つい。)」
「(いや。無理もない。)黒崎、解説ありがとうな。」
舌を出す黒崎に礼を言うと、普段の強気な態度が見る影もなく悄気ている二人目を向け、厳かに告げた。
「今更嘘をついても、余計に罪が重くなるだけなので、正直に答えてくれ。
黒崎の言うように、お前らはAV動画を加工した偽のNTR動画を俺に送りつけて来たな…?」
「「………。||||||||」」
だんまりを決め込む彼らに俺はため息をついた。
「ふぅっ。言えないのなら、仕方ない。今度は先生方を交えて、今の訊問会をもう一度するしかな…」
「ま、待ってくれ!!」」
「ま、待ってよ!!」
背を向けようとする俺を寝取とましろは必死の形相で引き止めた。
「分かったぁ。認めるよ!黒崎の野郎が言うように、あのNTRビデオレターは、AV動画を加工して作った偽物だ!」
「認めるわ!私がやったのは、動画加工の為の顔周りの映像を撮ることと、アテレコだけよ!」
「ふむ。では、寝取拓郎!3秒の持久力を2時間と偽ったNTRビデオレターを作ったのを認めるんだな?」
「ううっ…。認めますっ。俺は持久力を偽ったNTRビデオレターを作りましたぁっ…!!うわあぁっ…!!」
「ふむ。では、虎田ましろ!AカップをGカップと偽ったNTRビデオレターを作ったのを認めるんだな?」
「ううっ…。認めますっ。私は胸のカップ数を偽ったNTRビデオレターを作りましたぁっ…!!うわあぁっ…!!」
二人は滂沱の涙を流して悪事を認めた。
「ふうっ…。何て虚しい訊問会なんだ…。」
そうひとりごちて、俺は天を仰いだのだった…。
✽あとがき✽
いつも作品を読んで下さりありがとうございます。
おかげ様で早くも1000pv達成しました!応援下さった読書様には本当に感謝です✧✧
また、他作品ですが、新作の短編 (5話完結)
「NTR小説にかぶれて相思相愛の幼馴染みを振ったら、キャラ変してしまった」
を、今日12:00〜毎日投稿していきたいと思います。
NTR小説の読み過ぎで、相思相愛確定の幼馴染みを、どうせNTRされるからと振ってしまった主人公と、NTRシチュエーションを覆そうと奮闘するヒロインのお話になります。
カクヨムコン短編ラブコメ部門参加作品でもありまして、ご興味ある方がいらっしゃったら、応援して下さると嬉しいです。
よろしくお願いします。m(_ _)m
ヒロインをイメージしたみてみんに投稿していますので、よければそちらもご覧下さいね。
https://42432.mitemin.net/i924513/




