クリスマスデート♡① 〜母に見送られる朝〜
クリスマスイブ当日ー。
「お兄様! おはようございます♡ 朝ですよ〜!」
「義隆先輩! おはよう♡ 早く起きなさいよ〜!」
「ふわっ?! よ、よしの? ましろ?」
目覚めるなり、よしのとましろの顔が目の前にあり、俺は焦って飛び起きた。
ああ、そうか……!クリスマスデートの日、どうせなら家から三人で出発したいというよしのの要求によって、ましろの姿のよしのは、昨日家に泊まったんだった。(もちろん、俺の部屋ではなく、よしのの部屋でましろと共にだが)
夜は、隣の部屋でましろとよしののガールズトークが盛り上がっていた事もあり、例によって耳栓をしてベッドに横になったのだが、色々考えてしまい、寝入ったのは明け方位だった。
ベッドサイドの時計を見ると、8時ー。
支度を考えるとぎりぎりの時間だった。
「すまん。寝坊してしまったな。用意する迄待っててくれるか?」
「はーい♡お兄様、焦らないで大丈夫ですよ?」
「仕方ないわね?義隆先輩、待っててあげるわよ」
もう既にデート用の服 (この前買ったおそろいのニットワンピース)に着替えて、準備万端の二人に謝ると、よしのはくすくす笑いながら、ましろは、呆れたような顔でそう言ってくれた。
うっすら化粧をしているよしのとましろの目は微かに赤く、もしかしたら昨日は俺と同じく彼女達も眠れなかったんだろうかと推察された。
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そして、俺は母さんに怒られながらバタバタと支度をした後、出掛けにましろの姿のよしのはペコリと頭を下げた。
「義隆先輩のお母さん、お世話になりました。ありがとうございます。今日は夕方からクリスマス会でもお伺いするのに、前日も泊まらせて頂いてすみません。」
「ふふっ。いいのよ?もうましろちゃんは、私の娘のようなものなんだから! 何回か家に遊びに来てくれてるせいかしら? 私が言わなくても家の中のものの勝手とか全部分かってる感じだったから、元からいる家族みたいに気楽だったわ〜」
「え? えへへ。か、家族みたいなんて!嬉しいです〜」
母さんの言葉によしのは、ちょっと引き攣った笑顔を浮かべていた。
ま、まぁ、本当に元からいる家族=実の娘だからな…。
「それより、今日はデートなのに、よしのも同行する事になってよかったのかしら?」
「ええ。もちろん。大事な日だからこそ、今日はよしのさんも一緒に過ごしたいんです!」
「!」
よしのは、自分の姿のましろを見遣り微笑んだ。
「ましろちゃんは本当に優しい子ね?今日は、デート目一杯楽しんで、またここに帰って来てね?
クリスマス会張り切って準備しとくから!」
親指を立てる母さんに、よしのは真剣な顔で頷いた。
「……はい。デートが終わったら、またここに帰って来ますね?」
「お母様。私も今までお世話になりました。ありがとうございます。デート行って参りますね?」
そんなよしのに連動するように、ましろに神妙な顔で頭を下げられ、母は面食らっていた。
「え? ちょっと、よしのまで何そんな礼儀正しい挨拶してるのー?」
「まぁ、母さん、今日はクリスマスイブという特別な日だし、こういう時こそ、家族やお世話になった人にちゃんと感謝の気持ちを伝えたいと二人は思ったんじゃないかな?なっ。ましろ?よしの?」
「「…!」」
よしのとましろは、目元に少し目元を潤ませてコクコクと頷いた。
「「「行って来ます!」」」
「行ってらっしゃい!」
次にこの家に帰って来る時は、家族と二人の関係も俺達三人の関係も今とは違ったものになるかもしれない。
そんな予感を全員が感じ、少ししんみりした気持ちになりながら俺達は家を出たのだった……。




