ましろとよしのの証言
「……という事があったんだ……!」
「「あった(の/んです)……!」」
「「「……!!!」」」
翌日の昼休み、生徒会室で、俺とましろ、よしのが一瞬元の体に戻った事を話すと、黒崎、空、海も一瞬絶句していた。
「今は、ましろちゃんがよしのちゃんで……」
「鷹宮さんが虎田さんなんだよね……?」
「はい。私がよしのです!」
「ええ。私がましろよ!」
空と海に人差し指を突きつけられての質問にましろの姿のよしのとよしの姿のましろが手を上げて答えていた。
「これからましろとよしのに、一瞬体が元に戻った理由として心当たりのある事をそれぞれ述べてもらうので、黒崎、度々すまないが、この現象について気づいた事があったら考察をお願いしたいんだが……?」
頼りにしている参謀、黒崎に視線を遣ると、彼は感心したように腕組みをして何度も頷いていた。
「いやぁ、本当に興味深い現象ですね……。もちろん、出来る限りの考察はさせて頂きますよ。まずは二人の話を聞きましょうか?」
そう言って、黒崎はましろとよしのに視線を移したので、俺はまずましろに目を合わせた。
「まずは、ましろからでいいか?」
「あっ、うん。じゃあ、私から、体が戻った理由について心当たりのある事を言うわね?
昨日の夜は、私は早めに休んでいて、入れ替わり直前まで夢を見ていたの……。
夢の内容は、そ、その……。クリスマスイブに義隆先輩とデートをしている夢で……//」
「えっ//」
口ごもりながら、頬を赤らめるましろに、俺は声を上げ、生徒会メンバーはざわついた。
「ほほう……!✧✧」
「ましろちゃぁん……♡(好きな人とデートする夢見ちゃうとか、かわゆ過ぎんか!)」
「うしし、鷹宮くん、隅におけないなぁ……」
「ましろさん……!(お兄様とデートする夢いいなぁ……。私も見たいですぅ!)」
「そ、それでっ…、その中で私は義隆先輩にずっと言いたかった事を言えて、スッキリ満足したと思った時……、落ちる感覚があって頭を床に打ち付けた。痛かったわ。
そして、次の瞬間目を開けたら、自分の体に戻っていたの。
ママが私に話しかけて来て、義隆先輩とデートしたのは夢だったって分かって……。それからすぐにまたよしのさんの体に入れ替わってしまったんだけど、全くワケが分からないわ」
首を振りお手上げというポーズを取るましろにましろを見て、黒崎は考え込んでいる。
「ふむふむ。なるほど、なるほど……」
「次は、よしの頼む」
俺がそう言うと、よしのは緊張ぎみに頷いた。
「は、はい。私から体が戻った理由について考えられる事をお伝えします。実は、私、皆さんに嘘をついてしまいました! ごめんなさい!!」
「…!」
「ええっ?」
「なになに?よしのちゃん、いきなりどうしたのっ?」
突然頭を大きく下げるよしのに、黒崎、空、海は驚き、昨日よしのから電話で同じ事を聞いていた俺とましろは一体どういう事なのだろうと神妙な顔で、よしのを見守った。
「私、昨日のクリスマス交流会で失敗してしまったから、満足度は5%しか上がらず、95%とお話していたんですが、本当は100%になっていました。
まだ、元に戻る覚悟が決まっていなかったので、怖くて低めに数値をお伝えしてしまっていたんです」
「「「「……!」」」」
「「えっ。そうだったんだ!?」」
よしのの告白に俺達生徒会メンバーは、目を丸くした。
「はい。入れ替わり満足度ノートに書き込む時に数値を偽っている事に罪悪感を覚えて、やはり皆さんに本当の事をお伝えしなければいけないと思い直した時、バランスを崩して椅子から転げ落ちて、床に頭をぶつけてしまったんです。
そして、次の瞬間目を覚ましたら、気がお兄様が私を心配してこちらを覗き込んでいて……。
体が元に戻っているのに凄く驚きました。その後すぐにましろさんの体に入れ替わってしまいましたが……。私もどうして入れ替わったのか詳しくは分かりませんが、私が嘘をついていた事が大きく関わっている気がします。本当にすみませんでした!!」
「ああ、そんなに謝らなくていいよぅ。よしのちゃん!悩んで、辛かったねぇ!」
「海さんっ……!」
再び懸命に謝るよしのに抱き着き、海は頭をなで、よしのは海を抱き着き返していた。
「そうだぞ? よしの。やっと入れ替わりにも慣れて来たところで、また元に戻るのが怖いという気持ちになるのも当然だ。」
「お兄様ぁっ……!」
よしのにそう言ってやると、彼女は目をウルウルさせてこちらを見上げた。
「それに、昨日も言ったが、一瞬とはいえ、元に戻れたのは朗報でもあるしな……。
入れ替わりの始め時もそうだったし、二人同時に頭をぶつけた事はやはり、入れ替わりのトリガーになっているように思える。
黒崎、どうして、元の体に一瞬だけ戻れたのか? どうして、また入れ替わってしまったのか?
この件が完全な入れ替わり解消に向けたヒントになり得るのか? 何か考えがあればお願いしたい」
俺が黒崎に頼むと、彼は爽やかな笑顔で答えてくれた。
「はい! 正にこれは、完全なる入れ替わり解消に向けて重要なヒントになり得ると思いますよ? まずは、一瞬の入れ替わり解消が何故起こったのか考察していきますね」




