クリスマス交流会③〜ましろのサンタ証明プレゼン《虎田ましろ視点》〜
いよいよ迎えたクリスマス交流会当日ー。
司会役の義隆先輩の挨拶の後、渥美先輩(兄)&渥美先輩(妹)のダンスが、始まった。
『構って欲しくて浮気な女を演じてみたけれど〜結果はポイ捨てされただけ〜♪
あなたなんか大嫌い!』
『(A・A・双子のA(AA)!)』
『泣きべそ隠してあなたの恋を笑顔で応援〜でも本当は私も言いたい〜♪
あなたの事が大好き!』
『(G・G・G・アタック!)』
参加者用の席で、二人の圧巻のダンスを観ていた私は、よしのさんと自分の気持ちを代弁するかのようなダンス曲の歌詞に目を見開いた。
そう言えば、以前、渥美先輩達に、曲を作る時の参考にさせて欲しいと恋愛観についてインタビューをされた事があったけれど、まさかこういう形で反映されるとはね……!
隣の席のよしのさんを見ると私と同じようにそのダンスを見て、目を瞬かせていた。
驚いてはいたけれど、不思議に腹は立たなくて、寧ろ義隆先輩への複雑な想いを歌にして代弁してもらってなんだかスッキリしたような……?
けど、双子のA、G・アタックとは一体何なのかしら?そう言えば、生徒会メンバーの話題に◯ンダムの話題が出ていたから、その関係の何かかしら?
『『LOVE&HATE!LOVE&HATE!どっちにするの?そろそろきちんと決めてよね!!(バキュン!♡)』』
ワアアーッッ!!!
渥美先輩達のダンスは、二人が手でピストルの形を作り、舞台袖にいる義隆先輩のいる辺りに視線を合わせて、打つ真似をしたところで、フィニッシュを迎え、観客は大盛りあがりだった。
「す、素晴らしいダンスでしたね〜。皆様、渥美空さん、海さんに盛大な拍手をお願いします。(空&海、後で話あるから覚悟しとけよ……?☠)」
『『あ、あはは…。ど、どうも〜…。||||(うわ〜、鷹宮くん過去一怒ってるよ〜。)』』
再びステージに上がる義隆先輩と、空渥美先輩達のやり取りはにこやかながらも何だか不穏だった。
「(渥美先輩達やってくれたわね。義隆先輩、怒ってる?)」
「(ええ…。これは後でちゃんとフォローしとかなければいけませんね?)」
とよしのさんと顔を見合わせてヒソヒソ話をしつつ席を立ち……。
次の出し物、劇に出演する聖夜幼稚園の年長の子供達と共に舞台袖に移動して、そこで待機する事になったのだけれど……。
劇の途中で出番の終わった森の動物役の子達が、舞台袖に帰って来た時、サンタのいるいないを巡って揉めていた。
「ハア?サンタさんなんていねーよ!バッカじゃねーの?」
キツネの被りものを被った子のキツイ言葉に他の動物役の子が涙目になる中、よしのさんは注意していたけれど、その子は頑として聞き入れる様子はなかった。
仕方ない。今までサンタさんのプレゼンに関しては並ぶ者のいない私の出番のようね。
私はそのキツネの被りものをした子に言ってやった。
私は毎年クリスマス前にはサンタさんに手紙を書いて、その返事と共に25日の朝には枕元にプレゼントを届けて貰っている。これだけ、確かな証拠があって、どうしてサンタの存在を疑う事ができるのかと。
更に疑おうとするその子に、サンタさんの位置をGPSで追跡出来るサービスを教えてあげると、流石に反論出来なかったみたい。
「皆にプレゼントを配る為、サンタさんは世界中を休みなく飛び回っているというのに、存在を否定するなんてこんな失礼な事はないわよ?」
私が真剣な顔でそう諭してやると、その子は神妙な顔で、キツネの被り物が落ちそうな程何度も大きく頷いていた。
「わ、分かったよ。お姉さん、ごめんなさい……。僕、サンタさん信じるよ。手紙も書くよ。」
尖ってはいても、幼稚園児は素直ね。感銘を受けた様子で、すぐに話を聞き入れてくれたわ。
小6の時、サンタの件で私に突っかかって来た男子は、なかなか手強かったけれど、数時間の議論の後、「サンタを信じるから、もう許してくれ。」と涙目で謝って来たっけ。
「!(さっきまであんなに疑っていた子が、こんな素直に……。)」
よしのさんまで、私に感心したような表情になっていた。
それから無事に劇が終わり、次の出し物、図書委員の読み聞かせの後、サンタに扮装した図書委員男子が観客席の子供達一人一人にお菓子を配って行く場面があったのだけど、何故か最後に舞台袖まで来て、私とよしのさんにもお菓子を配ってくれた。
「鷹宮、虎田、さっきは子供達の夢を守ってくれてありがとう。
キツネ役をしていた燦太くん、一際大きい声でお礼を言ってくれていたよ。
鷹宮は、ずっとそのままでいてくれな?じゃっ!」
「え?どういう意味?」
去って行く図書委員男子の最後の言葉の意味が取れず、私が目を瞬かせると……。
「えっと…。きっとましろさんが素敵な人だから、そのままでいて下さいって事ですよ?」
「そう……なの??」
私はそう返事をしたものの、よしのさんに小さい子に向けるような温かい眼差しを向けられ、今一腑に落ちなかった。
けれど、それをゆっくり考える時間はなかった。
「さっ。いよいよ、僕らの番ですね。鷹宮さん、虎田さん、いつもの通りにやればいいですからね?」
「はいっ!」
「分かってるわっ!」
マジックの道具の管理の為、舞台袖の下の方に待機していた腹黒参謀から声をかけられ、よしのさんと私は元気よく返事をた。
「次の出し物は、生徒会副会長にして、マジック研究会部員の黒崎直也、生徒会書記、庶務にして、校内屈指の、び、美少女と名高い花二輪///、鷹宮よしの、虎田ましろによる マジックショー 二人の入れ替えイリュージョンです。」
「校内屈指の美少女……//」
「花二輪……//」
紹介については、出し物をする責任者が決めるので、この文面を考えたのは腹黒参謀なんだけど、義隆先輩の口から、容姿を褒められる紹介をされ、よしのさんとと私は赤面してしまった。
「では、三人共どうぞ!」
「「「は〜い!」」」
そして、よしのさんと腹黒参謀と共に、ステージへ一歩を大きく踏み出したのだけど……。
ツルッ。べシャッ!!
「きゃうんっ!!///」
「「!!||||」」
「ぶふうっ…!」
(私の姿の)よしのさんは、その一歩を踏み外してしまい、盛大にコケ、スカートの中身を丸出しにしてしまったのだった……!




