クリスマス交流会②〜ましろのサンタ証明プレゼン《鷹宮よしの視点》
いよいよ迎えたクリスマス交流会当日ー。
司会役のお兄様の挨拶の後、空さん&海さんのダンスが、始まりました。
『構って欲しくて浮気な女を演じてみたけれど〜結果はポイ捨てされただけ〜♪
あなたなんか大嫌い!』
『(A・A・双子のA(AA)!)』
『泣きべそ隠してあなたの恋を笑顔で応援〜でも本当は私も言いたい〜♪
あなたの事が大好き!』
『(G・G・G・アタック!)』
参加者用の席で、二人の圧巻のダンスを観ていた私は、ましろさんと自分の気持ちを代弁するかのようなダンス曲の歌詞に目を見開きました。
そう言えば、以前、空さん&海さんに、曲を作る時の参考にさせて欲しいと恋愛観についてインタビューをされた事がありましたが、こういう形で反映されるとはビックリです。
隣の席のましろさんを見ると私と同じようにそのダンスを見て、目を瞬かせていました。
不快ではありませんし、寧ろお兄様への報われない気持ちを歌にして代弁してもらってなんだかスッキリした気がしましたが……。
双子のA、G・アタックとは一体なんでしょうか??
『『LOVE&HATE!LOVE&HATE!どっちにするの?そろそろきちんと決めてよね!!(バキュン!♡)』』
ワアアーッッ!!!
空さんと海さんのダンスは、二人が手でピストルの形を作り、舞台袖にいるお兄様のいる辺りに視線を合わせて、打つ真似をしたところで、フィニッシュを迎え、観客は大盛りあがりでした。
「す、素晴らしいダンスでしたね〜。皆様、渥美空さん、海さんに盛大な拍手をお願いします。(空&海、後で話あるから覚悟しとけよ……?☠)」
『『あ、あはは…。ど、どうも〜…。||||(うわ〜、鷹宮くん過去一怒ってるよ〜。)』』
再びステージに上がるお兄様と、空さん&海さんのやり取りはにこやかながらも何だか不穏でした。
「(渥美先輩達やってくれたわね。義隆先輩、怒ってる?)」
「(ええ…。これは後でちゃんとフォローしとかなければいけませんね?)」
とましろさんと顔を見合わせてヒソヒソ話をしつつ席を立ち……。
次の出し物、聖夜幼稚園の劇の為、参加する年長の子供達を舞台袖に誘導しながら自分達も移動し、二つ先の出番までそこで待機する事になりました。
『『『赤鼻のトナカイなんて、おかしいや。アハハ……!』』』
『な、何だよぅ……。』
「赤鼻のトナカイ」の劇で、序盤で、森の動物達に赤鼻のトナカイがからかわれるというシーンでは、それぞれの役の子供達が一生懸命演技をしていて、微笑ましく思い、隣にいたましろさんにひそっとささやきました。
「(年長さん達の演技、とっても可愛らしいですね?)」
「(まぁ、可愛いか可愛くないかで言ったら、可愛いんじゃない?子供は得意じゃないけどっ)」
ましろさんは、何ともツンなお返事でしたが、子供達に向ける眼差しは優しかったので、素直じゃないだけかもしれませんね。
その後すぐに場面転換があり、動物役を演じていた子供達が舞台袖に帰って来ました。
自分の出番が終わり、気が緩んだのかか、動物の被りものをした子供達三人は思い思いに話をし始めました。
「これが終わったら、サンタさんにお菓子もらえるんだよね?楽しみ〜♪」
「お前、本当にサンタ来ると思ってんの?ダッサ!」
クマ役の男の子は、キツネ役の男の子がにきつく突っ込まれ、戸惑ったように頭に手を遣りながら答えます。
「え?いや、お菓子くれるのは、イベント用のサンタさんだと思うけど……」
「本当のサンタさんは、24日の夜来るんだよね?」
「ハア?サンタさんなんていねーよ!バッカじゃねーの?」
ウサギ役の女の子が付け足した言葉も、キツネ役の子は鋭く否定しました。
「「え〜。そんなぁ……」」
クマ役とウサギ役の子は涙目になっています。
場面入れ替えで大道具の入れ替えで忙しく、幼稚園の先生達はこちらの状況には気付いていないようで、私は意を決してその子達に近寄り声をかけてみる事にしました。
「(声が大きいよ?まだ、劇の途中だから静かにしていようね?あとね、お姉さんはサンタさんはちゃんといると思うよ?)」
「「ホッ。」」
「ハァ?」
胸を撫で下ろすクマ役とウサギ役の子と対称的にキツネ役の子は不満そうに顔を顰めこちらに食ってかかって来ました。
「お姉さん、サンタがいるってぜってー思ってないだろ?嘘ついちゃいけませんて、先生に習わなかったのかよ?」
「…!う、嘘じゃないですよ?本当にサンタさんはいると思って……」
キツネ役の子に痛いところを突かれ、一瞬怯みながらも否定しようとしたところ……。
「このお姉さんは嘘なんかついてないわ。サンタさんがいるなんて、当たり前の事でしょう!」
!!
私達の様子を見ていたましろさんは、キツネ役の子にキッパリとした口調で言い切りました。
「な、何だよ?お前……。」
動揺するキツネ役の子にましろさんは続けました。
「私は毎年クリスマス前にはサンタさんに手紙を書いて、その返事と共に25日の朝には枕元にプレゼントを届けて貰っているわ。これだけ、確かな証拠があって、どうして疑う事ができるの?」
「い、いや、それは、お家の人が…」
キツネ役の子はタジタジながらも反論を試みましたが、ましろさんはものともせず、人差し指を突き出し更に主張します。
「分かったわ。疑り深いあなたの為に、もう一つ確かな証拠を教えてあげる。スマホのアプリでサンタさんの位置をGPSで追跡出来るサービスがあるから、調べてご覧なさい?」
「「「「GPS?!」」」」
ましろさんからの驚きの情報に子供達と一緒に私まで声を上げてしまいました。
「ええ。到着時間まで表示してくれるから、心配ならそれを見るといいわ。
皆にプレゼントを配る為、サンタさんは世界中を休みなく飛び回っているというのに、存在を否定するなんてこんな失礼な事はないわよ?」
ましろさんに真剣な顔でそう諭され、キツネ役の子は神妙な顔で、何度も頷きました。
「わ、分かったよ。お姉さん、ごめんなさい……。僕、サンタさん信じるよ。手紙も書くよ。」
「!(さっきまであんなに疑っていた子が、こんな素直に……。)」
心の底からサンタさんを信じ切っているましろさんのプレゼンは、説得力があり、子供の心を大きく動かしたようで、私は感心してしまいました。
それから無事に劇が終わり、次の出し物、図書委員の読み聞かせの後、サンタに扮装した図書委員男子が観客席の子供達一人一人にお菓子を配って行く場面があったのですが、その人は最後に舞台袖にいる私とましろさんにもお菓子を配りに来てくれました。
彼から聞いた話では、あのキツネ役の男の子は燦太くんといって、一際大きい声でお礼を言っていたそうです。
やはり、ましろさんは、あのお兄様が選ぶだけの魅力がある人だと納得しました。私も負けてはいられないと思いました。
「さっ。いよいよ、僕らの番ですね。鷹宮さん、虎田さん、いつもの通りにやればいいですからね?」
「はいっ!」
「分かってるわっ!」
マジックの道具の管理の為、舞台袖の下の方に待機していた黒崎さんから声をかけられ、私とましろさんは元気よく返事をしました。
「次の出し物は、生徒会副会長にして、マジック研究会部員の黒崎直也、生徒会書記、庶務にして、校内屈指の、び、美少女と名高い花二輪///、鷹宮よしの、虎田ましろによる マジック 二人の入れ替えイリュージョンショーです。」
「校内屈指の美少女……//」
「花二輪……//」
紹介については、出し物をする責任者が決めるので、この文面を考えたのは黒崎さんなんですが、お兄様の口から、容姿を褒められる紹介をされ、私とましろさんは赤面してしまいました。
「では、三人共どうぞ!」
「「「は〜い!」」」
そして、私は、黒崎さんとましろさんと共に、ステージへの一歩を大きく……。
ツルッ。べシャッ!!
「きゃうんっ!!///」
「「「!!||||」」」
踏み外してしまい、盛大にコケ、スカートの中身を丸出しにしてしまったのでした……!
*あとがき*
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