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NTRビデオレターを送り付けてきた元カノと妹が入れ替わった瞬間、俺は妹への猛烈な愛に目覚める  作者: 東音


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共感と切ない想い《鷹宮よしの視点》


「はい。では、次は(ましろさんの)お母様直伝のアイスボックスクッキーを成形していきますよ〜?


 ココア、プレーンそれぞれの棒状の生地、2本ずつを市松模様になるように組み合わせて、それを更に別のココア生地でくるっと包んで下さい。」


「んしょ、んしょ、こ、こうかしら?」

「はい!上手ですよ〜?」


 私の指示に従って、作業台の上で粉まみれになって一生懸命クッキーの形を成形したましろさんが、不安気に私の顔を窺ってきたので、私は笑顔でオッケーサインを出しました。


 ましろさんが、危うく大量の塩を投入しようとしたり、卵を10個連続で割るのに失敗した時はどうしようかと思いましたが、それからは大きな失敗もなく、ましろさんは素直に私の言う事を聞いてくれたので、お菓子作りは順調に進んで行きました。


「じゃあ、それを、包丁で切って5mm厚さに切って行って下さい」

「い、いよいよ包丁を使うのね?|||| わ、分かったわ。ふんむ〜!」


 ダアン!サクッ。


 彼女は、渾身の力を込めて、クッキーの生地の上に刃物を振り下ろしました。


 ギザギザの子供包丁で……。


「ましろ()()()()。もっと肩の力抜いていいですよ〜?」

()()()()って何っ?///バカにしてんのっ?」


 初めてお母さんのお手伝いをする小さい子のようなその姿に微笑ましく思い、私が思わずちゃん付けで呼ぶと、彼女に涙目で怒られました。


「いや、ごめんなさい。何だか一生懸命で可愛らしい姿だと思ってしまって……」


 慌てて謝りましたが、彼女はプンッとそっぽを向いてしまいました。


「ふんだっ。不得手な事に手を出してって、笑いたければ、好きなだけ笑えばいいわっ!」


 そんなましろさんのツンな反応も、ペンギンの刺繍入りのひらひらのエプロン、水玉模様のバンダナを身に着けた今の格好では余計に愛らしく、私がお母様なら写真を撮ってしまいたい程でした。


 外見は私の姿なのに、私とは違う可愛らしさがあるという事に不思議な驚きを感じながら、私は首を振り、疑問に思っていた事を聞いてみる事にしました。


「いえいえ。そんな失礼な事はしませんが……、ましろさんは、どうして私にお菓子作りを教えて欲しいなんて頼んで来たのですか?」


「ふんっ。あなたにも、失礼っていう概念があったのね!似合わない事をしているっていう事なら、自分でもその通りだと思うけれど、私が頑張ってした事で、(義隆先輩に)喜んでもらいたいって思っちゃったんだから、しょうがないじゃない!」


「!(お兄様に)喜んでもらいたいって事ですか?」


 驚く私が聞き返すと、彼女はコクンと恥ずかしそうに頷き、呟くような声で続けた。


「(入れ替わってから、ずっと考えていたのよ……。私は何で、義隆先輩にずっと不満だったのか……?

 でも、この間の買い物で自分で買ったプレゼントを義隆先輩に喜んでもらえた時、私も無性に嬉しくて……。


 それで、少し分かった気がするの。


 義隆先輩と付き合っている間、私が不満だったのは、彼が、出会った時のようなあの屈託のない笑顔を向けてくれる事があまりなかったからじゃないかって)」


「!(ましろさん、でもそれは……)」


 反論しようとした私を、ましろさんは手を立てて遮りました。


「(分かってるわ。それは、私が細かい事をクドクド責めたり、ワガママを言ったり、義隆先輩が笑顔になれないような事ばかりしていたからだって、今は反省もしているの。

 もう関係は壊れてしまったけれど、それでも、今まで出来なかった事をやって、彼を少しでも笑顔にしてあげられたらって思うのよ……)」


「(ましろさん……)」


 両手を固く握りしめ、真剣な表情で語るましろさんは尊く、その姿に私は胸打たれました。


 NTRビデオレターの件では、ましろさんに対して激しい怒りを感じていましたが、実際には偽の動画を作ったのみで、

 NTRの事実はなく、お兄様に構って欲しい一心でやった事。


 お兄様への想い、嫉妬や焦り、私の抱えていたのと同じものを彼女が抱えていた事を知り、その怒りは大分薄らいでしまっていました。


 そして、入れ替わりを経て、どんどんいい方へ変わってきているましろさん……。

 そんなましろさんを邪険には出来なくて、細々とお世話をしているお兄様……。


 今は私がましろさんの体に入り、お兄様と恋人同士を演じていますが、入れ替わりが解消されたら、二人がそのまま付き合う選択肢もあるんでしょうか?


 お兄様がそれを望むなら、私は受け入れなければならないのでしょうね……?


 胸がシクシクと寂しく痛みながら、私はましろさんに笑顔を向けました。


「それなら、お兄様に喜んでもらえるような、最高のお菓子を作らなきゃですね?」


         ✽


 そして、数時間後ー。


 無事、作り終えたお菓子を、テーブルに並べるとお兄様もお母様も歓声を上げていました。

クッキー、アップルパイ、カップケーキ、プリンと4品も作り終え、流石にヘロヘロになっていた私ですが、お兄様とお母様の笑顔を見たらそんな疲れも吹っ飛ぶ思いでした。


「お、お兄様っ!クッキーは特に頑張ったんですよ。食べて下さいっ!」


「お、おうっ。そうか、よしの……。チラッ。」


「(お兄様、大丈夫ですよ〜?)」


 ましろさんにクッキーのお皿を差し出され、不安気にこちらを見てくるお兄様に、私は、口パクでそう言い、手でオッケーサインを出しました。


「じゃ、じゃあ、頂くよ。」


 お兄様は、少しホッとした様子で頷いて、1枚を手に取り、口に放り込みました。


「もぐもぐ……。んん!」

「っ……!」


 ましろさんは、期待と不安の入り混じった目を向けて、その様子を見守っていました。


「うん!すっごく美味しいぞ?作ってくれてありがとうな?」


 お兄様が感動した様子で、ましろさんに親指を立てて、礼を言うと……。


「…!!//// よ、よかったぁっ……!ふぇ〜んっ!わあぁ〜んっ!」


「え、まし、よしのっ…?おい、どうした?」


 その場に崩れ落ちて、大泣きするましろさんに、お兄様はオロオロして声をかけていました。


「嬉し泣きですよ?きっと。義隆先輩に喜んで貰えてよかったね?よしのさん?」

「う、うんっ。頑張って、本当によかったっ。よしっ…ましろさん、お、教えてくれて、あり…とうっ。うっ、うわあぁっ!!」

「よし…のさん……!」


 声をかけると、ましろさんは更にボロボロと涙を零して私に礼を言ってきました。


「よしのっ。最近、色々頑張ってたものね。本当にお疲れ様っ。」

「マ…お母様〜〜!!」


「!(お母様……)」


 私の姿のましろさんに優しく声をかけて抱き締めるお母様の目には涙が光っていました。


 反抗期とされている私が、勉強で好成績を取り、兄の為にお菓子作りを頑張る姿を見て、お母様は胸に迫るものがあったんでしょう。


 今まで入れ替わりを喜ぶばかりだった私ですが、自分がいた居場所に、今はましろさんがいる事に戸惑いを覚えました。


 その後、ようやく泣き止んだましろさんは、キッチンにお母様に目を拭くための温かい布巾をもらいに行きました。


「(よしの。今日はましろにお菓子作りを教えてくれてありがとう。泣かれて驚いたが、満足してくれた…という事でいいんだよな?)」


 ひそっと囁いてくる、お兄様に私は笑顔で頷きました。


「(はい。満足度も上がったと思いますよ。では、私も満足させて下さいね?)」

「へ?」

「(お兄様、あ〜ん♡)」

「おうっ?//むぐむぐ……」


 私は、フォークでカップケーキをひと掬いすると、驚くお兄様の口に放り込みました。


「おっ、うん!こっちも凄く美味しいぞ?」


 満足そうに口を動かしているお兄様に、私も嬉しい気持ちになりました。


「よかったです✧✧

 それから、お兄様、クリスマスイブの事なんですが……」


 そして、私は意を決してお兄様にもう一つお願い事をする事にしたのです……。





 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽

 入れ替わり満足度 (ましろの場合) 

 70% 

 ・一生懸命作ったお菓子を義隆先輩に食べてもらえて、「すっごく美味しいぞ?作ってくれてありがとうな?」って笑顔で言ってもらえた。あんまり嬉しくて泣いちゃった。


 義隆先輩に望む事

 →義隆先輩にもっともっと私の頑張ってるところを見てもらいたい。認めてもらいたい。

 生徒会主催でクリスマス交流会のイベントがあるらしいから、取り敢えずそれを頑張りたい!


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽

 入れ替わり満足度 (よしのの場合)

 90%

 ・ましろさんとお母様に新しく教わった手作りお菓子をお兄様に食べてもらえて、凄く美味しいと言ってもらえました。お兄様の笑顔は最高です✧✧


 お兄様に望む事

 →生徒会主催のクリスマス交流会を成功させて、「お兄様に頑張ったな」って褒めてもらいたいです。


 これを達成したら、私は恐らく入れ替わり満足度が100%になります。


 今の時間を大切に過ごしていきたいと思います。


*あとがき*


 読んで頂きまして、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございます

 m(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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