虚乳の元カノ
『はっはっ。お前のおっぱい最高だぜっ!!』
『あっ、あんっ。あんっ。』
「ご覧下さい。映像の女性のこの豊満な胸、Gカップは下らないでしょう。」
「ほほう…。」
「確かに巨乳の女性ですね…。」
黒崎は、スクリーンに映し出されたNTRビデオレターの映像で男と絡んでいる女性の胸部をポインター(指示棒)で、指し示すと、その場にいた全員が納得したように頷いた。
「対して、あちらに見えるのが虎田さんの胸部にございます。」
「ひゃうっ…!」
「「「「「「「………。」」」」」」」
バスガイドのアナウンスのように、黒崎が手で虎田ましろを指し示すと、その場にいた全員は、服の上からでも平らさが隠しきれない彼女の胸部を確認すると、珍妙な物を見たような表情で首を捻った。
「はい。まぁ、彼女の尊厳にも関わりますから、正確なカップ数は控えますが、少なくともBより大きいって事はないように思えますよね…。」
「確かに…。ふぅっ…。」
「貧…大きくはないだろうな…。」
黒崎の言葉に全員頷き、少し憐れみに満ちた視線をましろに送って来た。
「な、何勝手に失礼な事、推測しているのよっ!!き、着やせよ!着やせ!!」
「はっ。そうなんですか?」
涙目になって主張する彼女に、妹のよしのは、服の上からでも分かる大きな双丘をふるんっと震わせて、衝撃を受けた。
「虎田さん、ものすごい着やせテクニックですね!私、胸が大きいと太って見えてしまって嫌だと思っていたんですよね。そのテクニックぜひ教えて欲しいです!」
「ぐっふぅ…!!」
純真なよしのが興奮気味に発した言葉は、ましろにクリティカルヒットしたらしく、彼女の肩はプルプルと震えていた。
「やめてやれ、よしの…。」
「え?お兄様…?」
いたたまれない気持ちになって、妹の肩に手をかけふるふると首を振ると、よしのは瞳をパチパチと瞬かせた。
「ハハッ。確かに本当に着やせだとしたら、胸の一部を異空間にワープさせているレベルのすっごいテクニックですよね。
あくまでそう言い張るなら仕方ないですね…。会長。」
「うむ。」
俺は黒崎と目を見交わして頷き、壁際に並んでいた風紀委員に向き合った。
「では、体育で同じ更衣室を使っている風紀委員で1-5(ましろと同じクラス)の五階道一花さん、1-6六田睦さん。お願いします。」
「「はいっ!」」
「なっ…!」
ましろが驚愕する中、風紀委員の内2名の女子が、教壇の前に進み出た。
「虎田さんと同じクラスの五階道です。
風紀委員は、生徒を取り締まる役柄上、個人情報を集めているのですが、公務の為、彼女の情報を公開させて頂きます。
『1年5組 出席番号25番 虎田ましろ(15)要注意人物度 Bランク 血液型B型 誕生日2月3日 身長は163cm体重は✽✽kg(BMIは18) 容姿端麗、成績優秀(定期テスト学年2位)スポーツ万能と優秀な生徒だが、毒舌なツンデレキャラの為、友達は少ない。』」
「余計なお世話よっ!!五階道さん、クラスメートの情報をよくもっ!体重までやめてよっ!!」
ましろはツインテールを逆立てて怒っていた。
「虎田さん、私だって風紀委員の一員なんだから仕方ないでしょう。体重はクラスメートの誼でぼかしています。」
「いや、全然ぼかしてないでしょっ!身長とBMI数値公開してたら、体重、分かっちゃうでしょうがっ!?」
五階道さんは冷徹な表情で言い渡したが、ましろは拳を震わせ抗議した。
まぁ、ましろの言う通り、BMI = 体重kg ÷ (身長m)の2乗だから、そこから計算すれば、ましろの体重は、47.8242kgとすぐ出てしまうんだがな…。
「これも公務に必要な事。五階道さんを責めるのはお門違いですよ?
隣のクラスで、体育の授業で虎田さんと同じ更衣室を利用している六田睦ですが、かなりお胸の小さい方とお見受けしました。あれほどの巨乳だと言い張るには、その痩せ型のBMI数値18と照らし合わせても苦しいと思います。」
「うぐぅ…!!」
六田さんにも指摘され、ましろは呻き、黙り込んだ。
「彼女からの反論が出なくなったところで…。生徒会執行部は、NTRビデオレターの女性(推定Gカップ)は、虎田ましろさん(推定Bカップ以下)とは別人もしくは、加工されたものだと結論付けました。納得して下さる方は拍手をお願いします。」
パチパチパチパチ…!
満場一致の拍手が起こる中、映像の自分が巨乳ではなく、虚乳だった事を証明された虎田ましろはその場で両手で顔を覆い泣き崩れた。
「うわぁぁっっ…!!いくらAカップだからって、こんな辱め、ひど過ぎるわっっ!ほんのちょっと見栄を張りたかっただけじゃない。あああっ!!」
「うわぁ…。お前、そんなに胸小さかったのかよっ…。||||」
そんなましろに、隣の寝取はドン引きしていた。
ん?今、ましろと寝取の奴、とんでもない事バラさなかったか??