ましろからの予想外のお願い
「そうなの〜、ましろちゃん、よしのちゃん、義隆くんで色違いのワンピースとセーターをそれぞれ買ったのね〜?
あの後は穏やかに買い物出来てたならよかったわ〜」
「更に、義隆は、ましろちゃんとよしのに刺繍入りのエプロン、ましろちゃんとよしのは義隆に名入れしたシャーペンとペンをお互いにプレゼントし合ったのね?三人共本当に仲良しね〜」
「「「………///」」」
買い物に夢中な母親達と合流して、パンの美味しいレストランで食事をする事になった俺、よしの、ましろの三人は向かいの席の母親達にニヨニヨといじられ、照れ臭い思いで無言で食事を味わっていると……。
「そんな仲良しな三人に聞きたいんだけどね?クリスマスイブの日、二家族合同でクリスマス会をしたらどうかなって今、義江ちゃんと話し合ってるのよ。どうかしら〜?」
「「「……!」」」
ましろの母親に両手を組み合わせたお願いポーズで、そんな提案をされ、俺、よしの、ましろは顔を見合わせた。
もう既に母親同士の交流がある中、家族ぐるみの付き合いは避けて通れないというのが、三人の共通の認識だったが、よりによってそれが、クリスマスイブとは……!
「ただ、生徒会の仕事も忙しそうだし、その日は恋人で過ごす人も多いでしょ?義隆とましろちゃんに既に約束があるのなら、次の日のクリスマスでもと思ってるんだけど……」
母にそう言われ、俺は顔を顰めて抗議しようとした。
「生徒会の仕事はその前週のボランティア交流会で一段落するからいいが、約束どうこうよりも、その日はよしのの……よ…ましろっ?」
言い終わらない内に、右隣りのよしのに袖を引かれ戸惑っていると、彼女はヒソっと囁いて来た。
「(お兄様、いいんです。今はこういう状況ですし、ましろさんも困るでしょうから)」
「(よしの……!)」
入れ替わりのせいでこういう不便があるのかと、俺はよしのを思い胸が痛んでいると……。
「大丈夫ですよ?クリスマスイブのデートは、朝からお昼頃の予定ですから、夕方からだったら、クリスマス会参加できますよ?ねっ。義隆先輩?」
「え」
「むっ!」
よしのに、明るい声で全く聞いていない予定を言われ、俺が目を丸くし、ましろがふくれっ面になった。
「恋人なら、クリスマスイブにデートするのは、当然の事……ですよね?義隆先輩?」
「ええっと、いやぁ、あはは……、そそ、そう……かな?」
よしのの圧の籠もった視線を受けて、俺が曖昧な返事をすると、母親達は納得してウンウン頷き合っていた。
「早い時間にデートなのね〜」
「じゃあ、クリスマス会は夕方から、家で開催という事にしましょうか〜」
よしのに押されて、クリスマスイブによしのとデートをする事になってしまったが、まぁ、いいか。
生徒会の仕事も12月中旬の交流会が終われば一段落するし、その日は冬休みに入っている。
その日は、俺だけでもよしのの特別な日を祝ってやろう。
クリスマス会もかなり気疲れするが、何とか切り抜けるしかないな……。
と、俺が考えていると、左隣の席にいるましろは難しい顔で考え事をしていた。
「…………」
「よしの?大丈夫か?」
「べ、別に、大丈夫です。お兄様」
デートや、クリスマス会に不服があるのだろうかと恐る恐る聞いてみると、ましろはふるふると首を振った。
「あの、ましろさんっ!」
「は、はいっ?」
「「「!」」」
突然ましろがよしのに強い視線を向けて呼びかけ、よしのが当惑したように返事をし、また喧嘩かとその場に緊張が走ったが……。
「あのっ。今度、私にお菓子の作り方を教えてもらえませんか?」
「へっ?!」
「「「?!」」」
ましろに気まずそうにそんなお願いをされたよしののみならず、俺、母さん達もどういう事かと首を傾げていたのだった。
*あとがき*
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