ペアルックな三人?
「「じゃあ、お昼にまた。義隆よしの(ましろちゃん)をお願いね〜?よしの(ましろちゃん)、もう喧嘩しないのよ?」」
「いや、あの、母さん?おばさん?」
「「はーい♡」」
母さん達に、現金の入った封筒を託され、手を振られ、俺は戸惑い、ましろ&よしのはご機嫌な返事をした。
「ふうっ。久しぶりに、気兼ねなく自分の服見られて嬉しいわ〜。最近体形崩れて来ちゃって、今持っている服が似合わなくなってきたのよね〜。」
「芳江ちゃんは全然変わらないじゃない〜。私なんか色々垂れて来ちゃって大変よ〜?」
「遥香ちゃんこそ、変わらずのナイスバディじゃない。私は、垂れる程胸とかお尻の肉がないから分かりにくいかもしれないけど、腰の位置とか大分下がって来てて……」
熟女二人は、体型について赤裸々な話をしながら向こうへと遠ざかっていき、残された俺が、ましろとよしのを見遣ると……。
「パパ……?今日は何を……✧✧」
「買ってくれるのかしら?✧✧パパ……?」
「取り敢えず、パパはやめてくれ!資金源は、母さん達で、俺は預かっているだけだから。」
よしのとましろに、期待に満ちた目で見られ、俺は焦って周りをキョロキョロしながら、二人に懇願した。
「じゃあ、義隆先輩、パパ活ならぬ、ママ活ですね?」
「じゃあ、お兄様、ママ活お願いするわね?」
「もう、ワケわからないだろうが……。それに、任されても、俺、女の子の好きなものとかよく分からないんだよなぁ……。」
俺は苦笑いしつつ、二人の買い物を任されるというミッションをどうこなせばいいのか困っていた。
「取り敢えず、女性用の服を売ってるお店が多いフロアーに移動するか?」
「「了解!」」
さっきまでは、大喧嘩していたらしいよしのとましろだが、好きな物を買ってもらえるせいか、今はルンルン機嫌よく、素直について来てくれる事だけは有り難かった。
✽
取り敢えず、ネットで調べ、女子に人気だというプチプラブランドのお店へ来てみると、どうやら、よしのもましろもドンピシャだったようで、目を輝かせて「可愛い可愛い」と連呼しながら、自分の気になった商品を次々に試着した姿を見せてくれた。
「お兄様ぁ!この白いセーター、どうですかぁ?」
「ああ、うん。よしのの雰囲気に合ってていいんじゃないのか?」
「義隆先輩!このモノトーンチェックのスカートどうかしら?」
「ああ、うん。ましろの雰囲気に合ってていいな?」
「「今まで試着した中で、どれが一番可愛かった(ですか)?」」
「え?え〜と……??」
よしのもましろも、自分に合う服をよく知っていて、試着した姿はどれもよかったと思うし、「新しい服を着た二人を褒める」という入れ替わり満足度ノートの課題もあり、褒めていたのだが、二人にどれが一番と聞かれると、戸惑ってしまう。
自分が気に入る服が一番だと思うんだが……。
「じゃあ、お兄様は、どういうお洋服が好みですか?」
「スカートが好きとか、パンツスタイルの方がいいとか、何かあるでしょ?」
「え、う〜ん。そうだなぁ……。」
よしのとましろに詰め寄られ、俺は腕組みをして考えた。
「ワンピース……とかなら……(コーディネートを考えなくていいから、楽かなぁ?)」
「「ワンピースが好き(なんですか)っ?」」
「いや、あのっ。」
二人は、同時に叫ぶと、ダッシュして血眼になって、ワンピースを探し始めたので、不精な理由で選んだとは言えなくなっていると、おしゃれな店員のお姉さんに声をかけられた。
「ワンピースをお探しでしたら、取っておきの商品がございますよ〜?」
「「「え?」」」
店員のお姉さんは、店内にある、ピンクと水色、同じ種類の色違いのニットワンピースを指差した。
「こちら、今、若いカップルさんに人気の商品なんですよ?」
「わぁ…!フォルムが可愛いですぅ✧✧」
「わぁ…!裾にフリルがついているのね✧✧」
よしのとましろは商品を見て目を輝かせ、俺も流石店員さんが勧めるだけあって、確かにいいデザインだと思った。
✽
「「義隆先輩(お兄様)どう(ですか)?」」
「……!//」
隣り合った二つの試着室のカーテンが同時に開き、中からピンクのニットワンピースを身に着けたましろの姿のよしの、水色のニットワンピースを身に着けたよしのの姿のましろが現れた。
それぞれ、とてもよく似合っていて、俺は一瞬言葉が出なかった。
「彼氏さん、どうですか?」
「ああ、二人共よく似合っています。凄く可愛いです……////」
「「…!!////」」
店員さんに促され、俺は思ったままにコメントしてしまうと、よしのとましろは同時に真っ赤になった。
「こ、これに決めます!」
「わ、私も!」
「え?色違いで同じ商品だけどいいのか?」
これを同時に着ると、よしのとましろはペアルックのようになってしまう。似ているところもかるが、仲がいいとは言いが難いような二人は本当にそれでいいのかと俺が思わず確認してしまうと、彼女達は大きく頷いた。
「いいんです。これを褒めてくれた時が、一番お兄様の反応がよかったから。」
「そうね。他のものも褒めてくれたけど、ミッションをこなす為に、機械的に言ってくれてる感じだったもの。」
「いや、皆本当に似合うとは思ってはいたけどさ……」
気持ちを見透かされ、気まずい俺はポリポリと頬を掻いていると、店員のお姉さんは揉み手をして、満面の笑みを向けて来た。
「お買い上げありがとうございます〜!ちなみに、この商品とペアルックになっている彼氏さん向けのセーターがあるんですが、よければ、そちらもいかがですか?」
「え」
よく見れば、さっきのワンピースの隣に、一回り大きなセーターも展示されている。
「いや、俺は別に……」
「「……!✧✧ 買いますっ!!」」
断ろうとした俺の声に被せるようによしのとましろの声が響き渡った。
いや、お前達が返事するのかよ!




