母親達の不敵な笑み
「それじゃ、まずはメコールの下着売り場に行きましょうか?」
「いや〜、自社の製品をお勧めする事になっちゃって何だか悪いわね?」
ショッピングセンターについて早々のましろの母親の言葉に、下着メーカーメコールの営業課 1係課長である母親は、頬に手を当てて殊勝な表情を見せていたが、自分の働いているメーカーのテナントの入っている場所に誘っているわけだから、確信犯だろう。
「い〜え〜。メコールの下着、品質がよくって型崩れしないし、着心地よくて好きだから、誘ってくれて嬉しいわ。
今身に着けているのも、メコールのものなのよ?」
たぷんっ。
「……!//」
ましろの母親は自分の胸に手を当ててそう言ったので、思わず揺れる豊かな双丘を見てしまい、慌てて目を逸らした。
どうやら、母親のその部分の遺伝子はましろには引き継がれなかったらしいな……。///
俺は赤面しつつ、この前、不意に見てしまった彼女(中身はよしの)の胸を思い出していた。
「今までずっと、ましろと一緒に下着を買いに行きたいと思っていたのだけど、この子小さな胸を恥ずかしがって、なかなか行ってくれなかったのよね。でも、最近、考えを改めてくれたみたいで……」
「え、ええ……。最近、体にフィットした下着を身に着ける重要性を身を持って知る事がありましたので……////」
「〜〜〜!////」
よしのもましろもその事を思い出して頬を赤らめていた。
「あら、遥香ちゃん、ウチの製品気に入ってくれて嬉しいわ?若い女の子用のラインナップ増やしたばかりだから、きっとましろちゃんにピッタリの下着も見つかると思うわよ?」
「わぁっ! おば様、それは楽しみです✧✧(お母様が商売人の目をしています。気合い入っていますね〜)」
母親に聞かれ、よしのは手を組み合わせて笑顔で答えていた。
「よしのは、何度も来ているから、勝手は分かっているわよねっ?」
「え、ええ、お母様。もちろんです。(いや、私、いつも通販で買っていたから、こんなとこで下着買うの初めてなんですけど〜〜!)」
対するましろは、母親に引き攣った笑顔で応対していた。
どうやら、こういう場所にあまり慣れていないらしい。
俺も女子4人が下着の買い物をしている間、身の置きどころがないなと苦笑いし、その間上の階の本屋にでも行っているかと思案していると……。
「ああ、最近男性用の下着売り場も新設されたから、義隆はそっちに行ってね?」
「え? そうなのか?」
メコール営業課の課長は、俺も自社の顧客にする算段らしい。
「お店の担当さんに、大体の商品の希望は伝えてあるから、採寸だけして来てくれるだけでいいわよ?」
「あ、ああ。分かったよ」
特に着るものにこだわりのない俺は、もう大体決まっているのなら楽でいいかと思い、そう返事をしたのだが……。
「「ふふふ……」」
「??」
母親とましろの母親は、不敵な笑いを浮かべてこちらを見ており、俺は何だか嫌な予感がした。
「??ママ?」
「??お母様?」
ましろとよしのも母親達の様子を不思議に思い、首を傾げていた……。




