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元カノの苛立ち&暴走?!


 コンコンコン!

「義隆、電話終わったー?」


「……!!」


 妹に甘い言葉をかけてしまった恥ずかしさに、ベッドに転がり悶えていた俺は、ドア越しに母親から声をかけられ、肩をビクつかせた。


「お、おお、おう。終わったけど、何だ?母さん…。」


 くしゃくしゃになったシーツを直しながら、慌てて返事をすると……。


「よしのがお風呂終わったみたいだから、風呂に入ってくれる?」

「お、おうっ。分かった。」


 幸い母親は中に入ってく様子はなく、返事をすると去っていく足音が聞こえて、俺はホッと胸を撫で下ろした。


 落ち着け、俺!動揺し過ぎだ。これから、よしのとましろの入れ替わり生活がうまくいくように気を配っていかなくてはならないというのに、不埒な感情を抱いている場合ではない。


 ガチャッ。


 そう言い聞かせ、一旦風呂にでも入り、気持ちを落ち着かせようと、着替えを用意して廊下に出た途端……。


「「あっ。」」


 ちょうど、風呂から上がって、部屋に戻る途中のよしの……、じゃない。ましろに行き合った。


 中味がましろと分かっていても、モコモコの部屋着に着替えた風呂上がりの彼女の姿に、さっきの電話での、よしのの攻めた発言を重ね合わせて思い出してしまった。


『私は優しくて賢い義隆先輩が、大大大大好きですっっ!!♡♡」』


「ふ、風呂……、上がったのか?」


 濡れたその薄青の長い髪。上気したピンク色の頬。モコモコの部屋着に包まれながらも、目に見えて分かる彼女の体の起伏。


 そういったものから目を逸らして、俺が声をかけると、ましろは、よしのらしからぬ嫌悪の表情を浮かべた。


「ええ!見ればわかるでしょ。義隆先輩が、実の妹とイチャイチャ長電話してる間にねっ」


「な、なんだよ、その言い方。俺は入れ替わりの家での状況を確認する為によしのに電話しただけで、イチャイチャなんて…」


「嘘っ。さっきは、電話で義隆先輩あんな優しそうな甘い声出してたくせにっ」


 弁解する俺の言葉を微塵も信じていない目でましろは文句を言って来た。


「私と付き合っていた時は、あんな感じじゃなかった。電話かけたらげんなりしたような声を出して……!」


 責めて来るましろだが、その時そうならざるを得ない理由があった為、俺は反論した。


「いや、お前からの電話って大抵、俺がダメだったところとか、これからこうして欲しいっていうところを挙げていって、ただただ、ひたすら俺が謝るっていう反省会みたいなもんだったじゃないか。そりゃテンションも下がるだろ、普通」


 始めての水族館デートの後、ましろから電話で、「ペンギン見たかったのに!」「もうちょっと時間配分考えて欲しかった!」と、2時間位不平を言われ、謝り倒していた事を思い出し、俺は遠い目になった。


「でも、恋人だったのに、電話もデートの誘いもいっつも私からで、義隆先輩から私に好意を伝えてくれた事なかったじゃないっ」


「まぁ、確かに凄い熱烈な想いを伝えたりはしてないけど、思っている事を全部言って来るお前には気を遣わず話せていたし、家族みたいに親しみを感じるっていうのは、前から言っていたよな?」


「でも、私は、それじゃ足りなかった!私が義隆先輩に向けているのと、同じ位強い気持ちを私に持って欲しかったの!今、義隆先輩がド天然妹に向けているような!熱い目で私を見て欲しかったのっっ!!」


「……!!」


 黒崎に続いてましろにも、よしのへの想いを指摘され、俺は胸を衝かれた。


「以前から、妹の事が好きだったんでしょう?だから、私を好きになれなかったんでしょうっ?」

「そ、それは違うっ!!」


 必死に詰め寄って来るましろに、俺はよしのとの今までの頭を振って激しく否定した。


「俺は、今までは本当によしのの事を大事な妹としか思ってなかった!! 邪な気持ちなんて全く持っていなかった!!本当だ…!!」


「今までは……という事は、今はそうだっていう事ね……?入れ替わってから、恋愛感情が芽生えたって事?」


「い、いや。ちがっ……!!」


 否定しようとした言葉は、目に涙をいっぱいためたよしのの姿をしたましろを前に、出て来なくなった。


「よ、義隆先輩っ…。今、嘘を言ったら、NTRビデオレターを送りつけた私と同じ位酷い奴になるわよっ…?」


「〜〜〜〜!」


 拳を握り締め、床にポタポタと涙を流すましろに、苦い顔で俺は自分にも言い聞かせるように言った。


「い、今は、NTRビデオレターの件で、俺を慰めてくれたよしのに、入れ替わり直後の混乱で一時的に気持ちが向いてしまっているだけだ。

 こんなの、本当の気持ちじゃない」


「本当の気持ちだったら、どうするのよっ?」


「そうだとしても、俺達は兄妹だ。お互い幸せになれない。気持ちは抑えるし、よしのにも伝えない」


「義隆先輩、バカなんじゃないのっ?!」


 ましろは、吐き捨てるように言った。


「恋っていうのは、ダメだからって、言い聞かせて押さえられるようなものじゃないのよ。


 もし、本当にそう思っているなら……」


 ましろは、俺に憎しみの目を向けて来た。


「やっぱり、義隆先輩は私の事なんか全く好きじゃなかったのよ……!


 例え相思相愛だろうが、私の体に入った妹とうまくなんて行かせない。とことん邪魔してやるからねっ!!」


「ちょっ……ましろ!!待っ……」


 バタン!!


 ましろは、言いたい事だけ言うと、俺の呼び止めるのも聞かず自分の部屋に入ってしまった。


「ったく…」


 ふうっとため息をついたところへ、階段の下から、心配げな母親の顔が声が聞こえた。


「義隆ぁ?今、なんか、よしのと言い合う声が聞こえたようだけど、喧嘩?大丈夫……?」


「あ、ああ。大丈夫、大丈夫。しょーもない事で意見が割れただけだから。明日には仲直りしているよ」


 俺は急いで階下に降り、母親を安心させるように声をかけた。


          ✽


「はぁーーっ……。今日は散々な一日だった。これからが思いやられるな……」


 風呂から上がった後、俺はベッドに寝転び、NTRビデオレター訊問会→入れ替わりと怒涛の如く起こった出来事を思い返し、額に手を当てて深く息をついた。


『やっぱり、義隆先輩は私の事なんか全く好きじゃなかったのよ……!』


 「ましろめっ……。NTRビデオレターなんて送り付けて来やがったくせに、言いたい事だけ言いやがって……!」


 一方的に関係をぶった切るような事をしてきて、そんな事を言われても今更だろう……。


 だけど、入れ替わりで、よしのへの感情が変化してしまってから、全く許せないし理解できないと思っていたましろの言動が何故だか少し胸に刺さるようになってしまったのも事実。


 これからの家と学校での生活で考えなければならない事が山程ある中、よしの、ましろへの感情に翻弄され、早めの時間にベッドに入ったなかなか寝付けないでいると……。


 コンコンコン!


「義隆先輩……。ちょっと、いい?」


「……!!」


 ドアをノックされ、ましろ(よしの)の声が響き、俺は眉を顰めながらも起き上がった。


「何だよ?まだ、文句が言い足りないの…」

 ガチャッ。


 ??!!


 眉を顰めながら、ドアを開けて絶句した。


「よ、よしたかせんぱいっ……!///」


 透ける際どいベビードールを身に着けたよしのの姿のましろが思い詰めた表情でそこに立っていた。


「なっ……。////お、おまっ、何だその格好っっ……?!」


「よしたかせんぱいっっ!!」

 ギュムッ!!フニュフニュン♡

 ガタガターーン!!

「のわぁっっ!!////」


 ましろに飛び付かれ、俺はそのまま床に押し倒されたのだった……!




*おまけ話* 呑気なよしの


一方、その頃よしのは……。


浴室にて。


チャポン……。


「キャッ!ましろさんの、きゃわゆーい!!✧✧」


ちまっ。ちまっ。ぷにっ。ぷにっ。


湯船に浸かって、小さい二つのものを摘んで遊んでいたそうな……。


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