風紀委員&寝取の退場
むおん…。
「ぶげーっ!!くせーっ!!!」
その後、倒れた寝取に再び気付け薬を嗅がせ、起こしたところに上原が奴の肩を掴んだ。
「おしっ。起きたな?寝取!」
「うわっ!!上原!!離せよ!!うっ。動けねぇっ?」
上原は、焦って暴れる寝取の体を分厚い体で動かないように抑え込むと、奴が寝ている間に起こった事について説明をしてやった。
「鷹宮は、飛び出して行った虎田と話し合って、やり直す事にしたようだぞ?」
「はぁっ?!なんでだよ!?」
俺とましろの姿のよしのは寄り添い、目を剥く寝取の前へ進み出た。
「まぁ、そういう事だ。ましろは、さっきまでのドクズな自分を悔いて、俺達は更に強い絆で結ばれる事になった。」
「ええ。あなたみたいなドクズな人に唆されてNTRビデオレターなんて加工して、義隆先輩を傷付けてしまった過去の自分を殴りたいです…殴りたいわっ。往復ビンタ100回ぐらいっ…。」
「……!!||||||||」
「ひっ…!||||||||」
俺とよしのが闇を感じさせる瞳でそう言うと、寝取と共に、よしのの姿のましろもショックを受けた表情になった。
「な、何でだよっ!俺から、生徒会長の座を奪い、虎田もBSSしやがったお前から、全てを奪い返してやろうと思ったのに、お前らは元鞘で、俺だけ訊問会で屈辱を味わった末、処分を受けるだとっ?!納得いかねーよっ!!」
喚く寝取に俺は哀れみを込めた視線を向けた。
「お前、色々嫌がらせを画策したようだけど、何も実らず残念だったな。だが、一つ安心しろ。NTRビデオレターの件は、上原に頼んで不問にしてもらった。」
「えっ。」
驚く寝取に上原は頷いた。
「ああ。虎田さんを案ずる鷹宮に頼まれて、例の動画を消しさえすれば、今回だけは先生に報告しない事にした。
動画を消去するところを見届けさせてもらうため、お前の家に同行させてもらうぞ?では、今からレッツゴーだ!!」
ガシッ!!
「う、うわっ!離せよ!!や、やめ…!」
寝取は、肩を抱かれ、引き摺られるようにして、上原に戸口の方へ引き摺られて行った。
「上原くん。ありがとう。動画の件よろしく頼むよ。」
「ハッハッハッ!任せておけ鷹宮!ついでにコイツにお灸を据える為、柔道の稽古でも一つつけてやるよ。」
「あっ。上原先輩、ついでに、寝取先輩に『二度とAmuちゃんを汚すような真似はしません!』と100回写経してもらうようお願いします!」
「うん。分かった。では、皆、また、明日!!」
「ぐぎゃあぁ!肩いてーって!」
俺と黒崎が頭を下げると、上原は爽やかな笑顔を浮かべ、悲鳴を上げる寝取りと共に、去っていった。
「じゃあ、風紀委員も、この辺で失礼するね。」
「ああ。今日は皆。本当にありがとう。」
「「「「ありがとうございました。」」」」
荒木達風紀委員が去るのを風紀委員俺とよしの、他の生徒会メンバーは頭を下げて見送り…。
視聴覚室に、生徒会メンバーとましろだけが残されると、黒崎は俺に意味ありげな笑みを浮かべた。
「で、会長?虎田さんと鷹宮さんと本当は何があったんですか?」
「え!」
黒崎に言われ、俺は焦ったような声が出てしまった。
流石は聡い黒崎。さっきまでの俺とよしの、ましろのやり取りが芝居だったと気付いていたらしい。
「虎田さんも、よしのさんも様子がおかしいよ?」
「今だって、よしのさんは呆然としてて、虎田さんは生徒会メンバーみたいに自然に挨拶してたし!」
「「あ!」」
空と海にも指摘され、よしのとましろもしまったというように、口元に手をやった。
「「「詳しく私(僕)達に教えて下さいね?」」」
三人に詰め寄られ、俺、よしの、ましろは困った顔を見合わせたのだった。