おまけ話 彼女らしい断り方
✽まえがき✽
ましろとよしの、入れ替わり中の話になります。
《虎田ましろ視点》
「だからさ、俺、テニス部のイケメンエース、軽部遊よしのちゃんが入学して来た時からずっと狙…好きだったんだよね?俺と付き合ってよ!」
貴重な昼休みの時間、軽薄そうな茶髪の男子生徒に「話がある」と呼び止められて、学校の裏庭で見かけ通りの軽い告白を受けて、私は考えた。
よしのさん、結構モテるじゃない。まぁ、性格はド天然だけど、確かに見てくれだけ言えば悪くはないし、スタイルも……と、思ったところで、ずっとGな重さを主張し続ける巨大な双丘を睨むように見下ろす。
目の前の男子生徒に視線を移すと、同じ部位に不躾な視線を送り、鼻の下を伸ばしていて不快感が半端ない。
彼の告白もピュアなものではなく、かなり不純な目的によるものだろうと容易に想像できた。
いつもの私なら、毒舌で追い払うところだけど、私は「鷹宮よしの」として違和感ない断り文句をしばし考える……。
よしっ。この手で行こう!
私はしなを作って、相手に手を合わせた。
「ごめんなさぁい!私は生徒会メンバーで、恋愛で業務が滞るといけないので、せっかくの申し出ですが、お断りさせていただきまぁす!
どうしてもというなら、生徒会メンバー全員の許可を取って下さい。」
「え、ええっ?!」
度肝を抜かれる相手に、更に畳みかけるように言ってやった。
「下手をすると、交際を断られた女子にしつこく付きまとうストーカー男として、あなたの名が校内中に知れ渡ったり、お兄様にギッタギタにのされたりする可能性もありますが、頑張って下さいね?」
「!!|||||||| い、いや、その、やっぱ今の告白なしって事で!さ、さよならーー!!」
男子学生は、顔を引き攣らせると、逃げ足早く去って行った。
「ふんっ。せいせいした!義隆先輩程の男を好きなド天然妹が、あんな奴に靡く訳ないじゃない……!」
私が腰に当てて、呆れていると……。
「虎田ましろさんっ。僕は、演劇部の華麗なるスターにして、学校一のイケメン加納輝樹だ!
堅物の生徒会長なんかと別れて僕と付き合わないかい?」
「え?」
近くで、先ほどと同じような男子学生の告白の声が響き、私は目をパチクリさせた。
声の響く方に顔を向ければ、少し先の体育館裏で、私の姿のよしのさんが、長身の男子学生に言い寄られている場面が目に入った……!
✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
《鷹宮よしの》視点
「虎田ましろさんっ!僕は、演劇部の華麗なるスターにして、学校中の女子の憧れの王子、加納輝樹だ!美しく気高い君の隣に立つのは王子様の僕こそがふさわしい!
堅物の生徒会長なんかと別れて僕と付き合わないか〜いっ?」
お兄様にお会いできる貴重な昼休みの時間、自信ありげに髪をかきあげている長身の男子生徒に「話がある」と呼び止められて、学校の裏庭で芝居がかった告白を受けて、私は考えていました。
ましろさん、やっぱりモテるんですねぇ。まぁ、性格はちょっとアレですけど、美人さんだし、スタイルもスレンダーでスラっとしてるし……と、思ったところで、肩に負担を感じさせない可愛らしい双丘を微笑ましく見下ろします。
目の前の男子生徒に視線を移すと、彼は想い人に対してというより、価値のある宝石に向けるような目をしていて、失礼ながら気持ち悪さを感じてしまいました。
彼の告白は、ピュアなものではなく、ましろさんを自分を引き立たせるアクセサリーのような存在として欲しているのだろうと、容易に想像できました。
いつもの私なら、「お兄様以上の方でないと」という理由でお断りするところですが、私は「虎田ましろ」として違和感ない断り文句をしばらく考えました……。
よしっ。この手で行きましょう!
私は手を腰に当てて、相手を睨めつけると、大音声でのたまりました。
「なんだと、テメ、このおんどりゃあっ!!」
「ひっ?!と、虎田さんっ?!||||||||」
青褪める男子生徒に更に畳みかけるように言ってやりました。
「完全完璧な彼氏のいる女に手を出そうとするなんて、ふてー野郎だなっ!!
風紀委員を今呼ぶから神妙にお縄につけいっっ!!」
「ひいぃっっ……!?||||||||」
よし、完璧です……!✧✧
最後まで噛まずに言い切り、相手に大ダメージを与えてやりました!
私が心の中で大きくガッツポーズを取ったところ……。
ズビシッ!
「何やってるのよ、あんたはぁぁっっ!!////」
「いったぁい!」
「?!||||||||」
突然、私の叫び声と共に、後ろから脳天をチョップを受け、私は痛みに蹲りました。
「何、その汚い言葉遣いっ!!人のイメージを壊すような言動しないでくれるっ!?こんの、おんどりゃーがっっ!!」
「ま、まし…よしのさん……!あなたもおんどりゃー言ってるじゃないですかぁ……」
いつの間にか、目の前にましろさんが立っていて、怒り心頭にがなられ、私は涙目になってボヤきました。
ましろさんと言えば毒舌だと思い、時代劇や任侠映画の記憶から、必死に罵り文句を引っ張って来たのに、ひどいです……。
「あわ、あわわわ……!」
私だけでも恐ろしかったのに、更に恐ろしげなましろさんが登場し、腰を抜かす男子生徒に、ましろさんはズビシッと指を指して一喝しました。
「王子様とナルシー履き違えたそこの男子!!真の王子様、義隆せ……、お兄様と付き合っているましろさんが、あんたなんかに傾く事は未来永劫ないから!!
分かったら、帰って、ママのおっぱいでもしゃぶってなさいっ!!」
「うわぁん!ママ〜〜!!助けて〜〜!!」
「!!」
男子生徒は、本当にお家に帰ってしまいそうな勢いで、泣きながらその場を立ち去って行きました。
「ったくぅ!口ばっかりの碌でもない男が多過ぎるわね。少しは義隆先輩を見習って欲しいわ!」
呆れたようにため息をつくましろさんの言葉に私は大きく頷きます。
「それは全く同意なんですが、私達、結構やらかしてしまったんじゃないですか?」
「え?あ……||||||||」
私の指摘にましろさんは、お互いイメージの崩れる言動をしてしまった事に気付き、青くなっています。
「あ、あはは…。他の生徒に影響力のある空さん&海さんに相談してみましょうかね……?」
私はましろさんに苦笑いを向けたのでした……。
✽あとがき✽
読んで下さりありがとうございます!
よしのとましろ、こうやってお互いの演技が上手くなって行ったのでありました……。
他作品になりますが、現在、NTRものの中編、
「親友に彼女を3回NTRされたダメ猫な俺を女豹なマドンナ先輩が全力で狩ってくる」
を毎日投稿しております。
何故か親友に3回彼女を取られてしまうという経験をした主人公のNTRの謎を同じサークルで、大学のマドンナ的存在の先輩が解き明かすという話になります。
ご興味のある方は、こちらもぜひ覗いてみて下さいね。
各作品、今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m




