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その祝福は……

作者: 黒楓

今日の黒楓はぶっております!!


そう!“清純”なしろかえでを真似ました(*^^)v





「週の内2日はテレワークだし自転車で通えるし……

ホント!楽!!」


商業高校を卒業して学校斡旋で就職した会社がまさかの倒産!!

そこから三社渡り歩いて契約社員になれたのが今の会社だ。


今回は営業事務、サポートのお仕事がメイン!!

とは言う物の……高校時代に取得した販売士2級の資格より、ブラック企業で揉まれた経験の方が役に立っている。


 人からみたら笑っちゃう話なんだろうけど……慣れない新人の頃、指示された業務が就業時間内にどうしても終わりそうにないので「先に退社時間申告をさせて下さい!! ご迷惑をお掛けしないよう今日中に終わらせますから」と報告したら、香坂センパイから叱られた。


「それは“サービス残業”と言って、やってはいけない事です!! あなたが終われなかったのは私にも責任がある事ですから、明日、二人で遅れを取り戻しましょう!!」って!!


 私、そんな事を今まで言われた経験が無くて!! 感激で涙ぐんだら香坂センパイの方が慌てちゃって!!

その晩は香坂センパイのお誘いでご飯を食べに行って、とても仲良しになれた。


 香坂センパイが当たり前の様にして下さったその気遣いが私にはとても嬉しく……どうしてもこの会社で頑張りたいと思った。


 そんな心持で毎日お勤めしていると……そりゃ!お仕事だからいつもハッピーって事は無いのだけど……一日が終わって日報を書く(入力だけど)時に振り返ってみると……やっぱり今日も良い一日だったと思う。


 だから会社の行き返りに、私の自転車のペダルが重くなるなんて事は……あの“胸突坂”以外では無かったのだ。



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 “ブラック沼”に陥っていた私にはいつの間にか“友達”と呼べる存在が遠ざかっていて、いわゆる年頃の女性の行動パターンからは大きく外れていた。


「今週はカレ、帰って来れないから寂しいの! “律っちゃん”が付き合ってくれると嬉しいな!」


 逢いに行けない程の距離では無い遠距離恋愛なのに、カレシさんが帰って来れないお休みの日は必ずと言ってよい程、私に声を掛けてくれる香坂センパイの事を“一人っ子”の私は、いつしか“お姉ちゃん”の様に慕っていた。

と言っても実年齢は二つ違いなので話もよく合うし……香坂センパイのお誘いは私にとっては“デート”みたいな物で、前の晩からワクワクだった。


“お姉ちゃん”のお陰で……いびつな私は随分とマトモになったんだと思う!!


そう、確か……『エクセルのマクロ作成の勉強会をしましょう』と誘ってくれたのが香坂センパイのご自宅にお邪魔したキッカケだ。


香坂センパイはお兄様がいらして家族4人。

香坂センパイのカレシさんは実はお兄様の親友と言う構図だ。


 初めてお兄様にお目にかかった時、「夏生(なつお)から(たまき)(香坂センパイの事)の“浮気相手”の事を教えてくれ!って言われてたんだけど……キミなんだね」と言われて面食らった。


その日、ご両親は観劇でお留守だったので、()()()の後、お兄様も加わって3人で飲み会をした。


お兄(おにい)の交友関係で夏生さんみたいな“いい人”は居ないの?律っちゃんに紹介してあげて!」との香坂センパイの発言に……私はお酒で赤く染まった顔を更に耳まで真っ赤にしてしまった。


 その後、何回か……夏生さんも含めて4人で飲み会はしたけど、結局、(りょう)さん(お兄様)や夏生さんから誰か紹介される事は無かった。



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 香坂センパイが結婚退職される事が決まってから約1か月、事細かに仕事の引継ぎをしていただいた。


そして


「しばらくは律っちゃん独りになってしまうのが本当に申し訳ないのだけど、新しく人が入ってもキチンと教えてあげられる様に、今日から律っちゃんが業務を切り盛りして!」と香坂センパイの“最終日”まで私が独り立ちできる様にご指導いただいた。


 だから香坂センパイが退職の挨拶をなさって……代表として私が花束をお渡しする時には、香坂センパイに縋ってしまって……もうダダ泣き状態だった。


そんな私にセンパイは囁いた。


「ねっ! 律っちゃん! 今日は私が花束をいただいたけど、今度は私があなたに花束をお渡ししたいの!! だから絶対!受け取ってね!!」



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挙式が終わり出てきたお二人をフラワーシャワーでお迎えする。


 最前列にひしめいているのは綺麗なお嬢様達ばかりで……完全に気後れした私は一列後ろで、彼女達の“ゲストとしての最大限に着飾った”背中を……少しため息をついて見ていた。

「ああ、私なんか所詮“付け焼き刃”で……場違いなんだな」って。


と、彼女達の背中がどよめき、前に突き進んで行くのが俯いた私にも分かった。

しかし一瞬の歓声は『?!!』と言う……声にならない声となった!!


いったいどうしたんだろう??


目を上げると花束をゲットしたのは諒さんで……真っ直ぐこちらへ歩いて来る。


「律っちゃん!! 受け取ってあげて!!」という花嫁の言葉を背に諒さんは私の前に跪いた。


「律子さん! この花束を僕の為に受け取っていただけませんか?」


その言葉に……私の心に秘めていた想いが涙と共に弾け出た!!


そして諒さんに抱かれた私は一足早いフラワーシャワーを浴び、幸せに頬を染めた花嫁から一足早い祝福をいただいた。


「おめでとう! お義姉(おねえ)ちゃん!!」と






                      おしまい


フフフ!


ここまでエロが無いと小気味良いです!




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― 新着の感想 ―
[一言] あらあら、まぁまぁ(*´艸`*)  諒さん、劇的なプロポーズですね〜♪  (๑•̀ㅂ•́)و 律ちゃん、おめでとう!  お幸せに〜♪  (´∀`*) 
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