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ハス Lotusoj




 蓮池はすいけのなかで、ボートが前進しなくなった。


 がんばってオールをいでいるのに、進まないばかりかむしろ後退していく。


 後から来たボートの乗り手たちに笑われながら次々に抜かれる。


 彼らは何の障害もなく蓮の花むらヘ入っていく。


 同乗している友人はあきれて、蛙のようにぽちゃんと水に飛びこんで去った。


 わたしのボートは、くさい泥と枯蓮かれはすばかりの区域ヘ運ばれた。


 目立った水流もないのに、なぜわたしの舟だけがこんな目にあうのか。いったい何者がわたしにいたずらをしてこんな恥をかかせるのか。


 不満がふくれ、もの申すために天をにらむ。そこにほかの人のあやつり手たちとともにわたしの操り手もいるはずなのだ。


 しかし悪臭が鼻をつき、絶えずくしゃみが出てくるために、まともに天を見ていられない。


 わたしにくしゃみをさせる動作も、操り手がそうさせているわけで、まったく腹立たしい。


 どうやら現在はとんだひねくれ者がわたしの操り手をつとめているらしい。気に入らないし不安でもあるけれど、わたしから操り手の交代を願うことはできない。


 いつになるかわからない次の交代の時まで、わたしは前に漕ぐと船尾の方に進んでしまう舟で、ひとり奮闘ふんとうするしかないのだった。





 Fino





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