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シャクイ La nobela titolo




 このたびめでたく爵位をいただけることになった。


 なにを成した覚えもないのだが、強いて言えば毎夜毎晩、わたしが星に自分の来世の安寧あんねいを祈ってきたことが、たっとき方々に高く評価されたのかと思う。たいへんありがたいことである。


 叙爵じょしゃくの準備として、最上級の式服をあつらえ、儀礼の動作も著名な家庭教師をまねいて学び、ひろく各方面に、お礼と挨拶のため、贈物と金子きんすをくばった。


 しかしいつまで経っても授爵式じゅしゃくしきの案内が来ない。


 もしかしたら自分で式典を開かねばならないのかと思いいたり、問い合わせようとしたが、さて、どこに問えばよいのかわからない。


 そもそもわたしはどの国の爵位をもらえることになったのか? 爵位のことをわたしに知らせてくれたのはどのような人で、いつのことであったのか? 


 頭のなかを探っても、まったく思いだせない。


 居眠りをしていて見た白昼夢のようにふわふわとした話だが、爵位をいただけると知って身の内に湧きあがった強い喜び、おおきな幸福感はよく覚えている。


 あれすらも白昼夢であったなら、わたしは生まれてこのかたずっと居眠りの夢のなかに生きてきたことになる。


 とっぴな考えに、自分で笑ってしまう。


 ――まさかそんなことは、万にひとつもあるまいよ。


 あるまいね?





 Fino





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