失業者募集
林業って100兆円規模と言われる割には参入者が少ない。
ブラック企業と言われてるからですかね?
「柚木ちゃん。お茶が入りました。このお茶くみで高評価を得て係長になって見せますよ」
私はお茶くみ専門の部下だがこれでも農水省の試験を受けて合格したお役人だぞと思うのだ。
私は末席で合格した役人だけど係長位なら務まるんじゃないかと自分では思っているのだ。
「柚木ちゃん。柚木ちゃんがお茶入れると私の役目がなくなります」と部下は言う。
「出世したければ林業部隊に派遣して1部隊の指揮を執らせようか?貴女も農水省のお役人試験を受けて役人になるんだからお茶くみがしたい訳じゃ無いんですよね?」と言う柚木だが。
「お茶くみって出世は出来ないけど美味しいお茶入れられたら好意的にみて貰えますから。自分で志願した仕事です。お茶くみで出世出来ないお役人は多分美味しいお茶が入れられないんです」
お茶くみから出世して大名にまでなった石田三成とか言う人もいるんですよ。
「石田三成はお茶くみの才能が認められて武士に取り立てられたんです。私だってと思います」
「まあ出世がしたいなら国の予算は付けないけど的場さんの山林を整備させても良いですよ」
まあお茶くみで美味しいお茶が入れられる社員はそれなりに可愛がっては貰えるだろう。
そこからコネを得て出世させてもらえるかは本人の才能の問題である。
「あの一応命令ですから。断ったら次はないと思ってくださいね」柚木は言うのだ。
出世したければ植林の指揮で名を上げ、実力で係長になって見せろと思う柚木である。
「私23歳ですよ。1部隊の指揮など執れる訳ないじゃないですか?」と言う役人Aだが。
「役人A。林業部隊の隊長では不満なのですか?根性見せて6つの要塞村を間伐してきてください。多分60億円は儲かるだろうから」と言う訳で6つの要塞村に出張する事になった。
「役人Aを左遷したんですか?あんな美味しいお茶入れられる部下は貴重ですから・・・」
「柚木ちゃんもお茶は入れられる人見たいですが、流石に大臣様にお茶くみさせるのは」
部下の苦情が物凄かったが、役人Aの人気が凄いなぁ。
まあそんな訳で10月2日、唐突に的場の山林に派遣された役人A、だが歓迎はしてくれた。
「私優。役人Aはあだ名なの。3千名と聞いていたけど200名増えてるんですか?」
「ああ。林業は儲かると伝え聞いた失業者やホームレスが集まって来てるんだ」と部下達。
取り敢えずクワガタでも採集して資金稼ぎにするがこの山林クワガタ住んでいるのかな?
「村人の皆さん。私で良ければ皆さんの朝食作りますよ。1人600円の代金で」
6つの要塞村の人口は6万人だから3600万円の収入になる筈だし農水省の軍資金に。
「お役人様が私らの食事を作ってくれるんですか?」いや儲かるからこちらからお願いしたい。
「代金貰うんだから誰でも食べれる食材で栄養が偏らない料理作るよ」それとクワガタ狩り。
「農水省のお役人の子供に売りつけようかと思ってるのよ。クワガタを1匹千円で買う」
そんな事を言ってるとまた猪が襲ってきたが待ち構えていた熊のゴンスケが猪に飛び掛かる。
「あの熊手懐けちゃったんですか?」優は驚き林業頭のリーン隊長に尋ねるのだ。
「おおっ。ハンターに手懐け方教わってな。ゴンスケに猪と鹿を退治させている・・・」
別に飼ってる訳ではなくあくまで地域熊と言う奴だから熊が勝手に猪や鹿を捕食してるだけだ。
「一応人間の言葉も理解させておいたから頼めば村にはやって来ない」山林や村の外で獲物を捕食しているが、熊にとって人間の田畑を狙うジビエは狙いやすい獲物なのだ。
「うぉ~ん」何て言ってるのか分からないが、一応熊語みたいなものも存在しているらしく、それさえ理解出来れば意思の疎通は可能であるが。
「最近は暑すぎて冬眠が出来ないから困ると言ってるらしい」とリーンが答えて置く。
「これでも獲物が取れない時は豚肉とか食わせてあるんだぜ。だから味を占めて狩りで仕留めた獲物を料理場の前において料理しろと催促する事があるんだよなぁ」
まあ畑荒らされるよりはマシだし、自分の食い扶持は自分で狩ってくるから文句は言えんが。
「物凄い秀才な熊ですね」と優は思うが熊と人間の共存って可能何だろうか?
この6つの要塞村では利害が一致して共生関係が成り立ってるらしいが何時まで続くだろう?
「うお~ん」「玉蜀黍をくれと言っている。玉蜀黍の在庫あったか?」と言うリーンである。
「余り甘やかすとどうなるか分からないから今はないと答えといて下さい。実際ないし」
それを聞いたゴンスケは不機嫌そうなオーラを見せたが何も言わず山林に帰って行った。
「物凄い聞き分けの良い熊ですねぇ。マスコミにリークして良いですか?ニュースになって疫病収まったら観光に来る人が増えるかもですよ。放映権料で儲かるかもですよ」
そして山林の枝落としで森を明るくして早速木の新芽や新たな兎が住み着き始めたのだ。
マスコミが報道したら早速動物愛護団体が熊との共生のあり方について質問してくる。
「コツなんかないぜ。お互いの利害が一致しただけだ。ゴンスケは害獣駆除してくれるから肉や野菜をたまに料理して与えるのは報酬みたいなもんだ。ゴンスケは鹿や猪を狩るんだ」
「野生の本能が目覚めて人間を襲うと言う事はないのか?」と言うがないとは言えんだろうな。
でもそんな事言ったらサーカスの熊だってたまには人間を襲う事もあるぞ。
絶対に背中を向けてはいけない相手なのは確かだな。ゴンスケは6つの要塞村の守護神だが。
「あのう。我々失業者組合の会員千名ですがここの林業って未経験者可なんですよね?」
話に割り込み失業者達が就職を求めて面接に来たがリーンは大喜びである。
こいつらを雇えば古参の部下を出世させて俺の権力を高まるから是非雇いたいが、この植林部隊仕切ってるのは柚木ちゃんだから柚木ちゃんの許可貰わないといけない。
「農水省の直通電話って誰か知ってる人いないか?」そっか優は一応農水省のお役人か。
「勿論知ってますよ。柚木ちゃんに電話しましょうか?」と言い電話を取り出すのだ。
「もしもし。柚木ちゃんですか?新たに林業部隊に就職希望した千人雇って良いですか?」
「こちらに直接アポ取って来た失業者が5千人いるわ。今直ぐ現地に向かわせるからその千人と合わせて9千人で6つの要塞村の間伐を行いなさい。良いですね。それと部下の給料は1万人分位しか支払えないからこれ以上来られても困るから」
「分かりました。後千人で募集打ち切りとさせていただきます」でも既に遅かったようだ。
月給30万円と未経験者可にひかれて失業者が集まり21000人になったのだ。
慌てて募集を打ち切りこの人達をどうするか柚木に相談してみるんだけど。
「的場さん。国費でこの失業者救済して貰えませんか?公共事業って時と場合によっては」
「お前が容赦なく取引を停止した公共事業も国民にとっては大切だったのでは?まあ林業は儲けが期待出来るから国費で丸抱えでも良いぞ」やっと俺の借金返済したし少しは真面目に総理の仕事をしようかと思ったので現場に視察に行く事にしたのだ。
「総理。疫病の中外出するのは危険です。総理は総理官邸で指揮を執っていてください」
真面目に仕事しようとするとこれだもんなぁとやる気を投げたが気になるのでネットで視察だ。
一応訓練と称して俺の山林管理させたんだし気になる事は気になるのである。
「柚木ちゃん。優に命じて6つの要塞村の間伐をサッサと終わらせろ。日本全国の間伐をこいつらにさせないといけないからな」「おおっ。的場さんがやる気になってくれてる」珍しく意欲的な的場総理に柚木は切り出した材木の引き取り手を探してくれるように頼んでおくのだ。
「任せろ。匠。材木を引き取ってくれる材木商人を探してこい。これは国の経済を左右する問題だ。俺達は来年の予算が成立するまでの内閣なんだよ」と今日の仕事を匠に任せて養護施設の視察に向かうのだが。
「物凄く貧乏な養護施設だな。俺の立場では寄付出来ないが何とか助成金が出るように努力しよう。こんな貧乏人がいるとは思わなかった。総理は俺なんだから俺の責任だよね」
この10月2日の視察をきっかけに的場総理は養護施設の税金を免除する閣議決定をした。
そして10月の3日6つの要塞村の間伐を容赦なく行い材木を売り飛ばし80億円手に入れた。
「山に水撒いて。それと植樹も忘れないでね」老木は切り倒し若い木を残す事にした。
「優さん。食事の賄の収入だけで1日1億円ですよね。1月食事をこの村で売り続ければ」
30億は儲かりますけど私達は別の山林を間伐に行かないといけないですから。
「最近養護施設の貧乏さにショックを受けた的場総理が多少やる気になり貧困対策に励んでいるんですけど、間伐も今は貴方方の給料だけで精一杯ですね。まっ貴方方がこの6つの要塞村にいれば要塞村の税収は上がり景気も良くなるとは思いますけどそこから始めないと」
優は集まったリーン配下の部下達に間伐した枝を焼却炉で燃やしてエネルギーで電話の充電とかのサービスを鶴の一声で始めさせてみたが、結構評判が良いのだ。
良しこれで枝の需要が増えたと思うが燃料用の薪は安いから売れないんだよねぇ。
「的場総理が全然やる気のない総理ですからねぇ。白雪党の議員がついに2人になった」
的場と匠の2人であるが、大臣の殆どが閣外協力か民間人である。
「予算成立したその日に内閣不信任案出されて失脚するの分かっているからやる気ない」
「柚木さんが一生懸命政治改革を行ってるのも大臣の地位が惜しいからとしか思われていない」
まあそれでも的場さんが多少はやる気になってくれたのは有難かったのだ。
的場政権が誕生して1月しかたっていないのに役人を餌で釣り、財政圧縮に成功してそれを元手に林業を始めてほんのちょっとだが儲けも出ているのだ。
ここからが出発点になる筈だった。
予算が成立する来年までに改革の道しるべを示さなければいけない。
例え的場政権が倒れてもその志は後世の総理に受け継がれるだろうと優とリーンは信じたいのだ。
森林整備の予定です。




