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7 配下を召喚

現れたのは、剣と槍を持つ等身大の白骨だった。


直立不動の体勢で動こうともしない。


どちらもレベル5で、HPは100程度、MPが50、能力値は20~30。

片方が【剣術Ⅰ】、もう一方は【槍術Ⅰ】を持っていた。


剣も槍も使い古しのボロボロの錆び錆びだった。


2000DPからスケルトン分引いたら何も残らないだろうから当然だが。


”眷属のステータスの1割、もしくはスキルを1つ使える”権限の効果を確認する。



「おお、ちゃんとステータスが上がってるな」



改めて、”魔王”の職業効果はチートだと実感した。



《その力を危険視され、魔王の早期発見・早期討伐が推奨されています》



ナビは偶に、よく分からないことを言う。

”推奨されている”。

それではまるで、過去に魔王が居たと言っているようではないか。



《過去に世界征服を為した魔王は存在しません》



こことは違う世界の記録を覗いているかのような。


ダンジョンが異世界からやってきたのでは無いか、なんて思っているが、ナビは答えてくれない。


次はスキル取得の方を試してみよう。

まず、スケルトンのサビ剣を軽く振って感触を確かめる。



「【剣術】を寄越せ、スケルトン」



すると、確かにステータスは下がり、【スキル】欄には”剣術Ⅰ”が増えていた。


剣を持ったスケルトンのステータスを見ると、【剣術Ⅰ】は消えている。


その状態で剣を振ると……



「んー、心なしか振りやすい?ような?」



些細な差だが、効果はあった。

これがスキルか。


【剣術】と剣を返し、スマホを取りに2階に上がって窓から外を見ると。



「……うわ、酷いな」



外は、まるで震災にあったかのような有様だった。


車で避難しようとしたのか、道路には乗り捨てられた車がそこかしこに見られ、その何割かはひっくり返ったりひしゃげたりした廃車になっていた。


ゴブリンや狼が闊歩し、空には怪鳥が舞っている。


この街にはもう秋斗以外の生存者が居ないのではないかと思う程の惨状だった。



(ここから見る限り、明らかにヤバそうな奴は……居ない)



考えていても仕方がない。



「行くぞ、ついてこい」



世界に異変が起こってから始めて、秋斗は家の外に踏み出した。


スケルトンに先導させ、モンスターを発見したら知らせるように、と命令を下す。

【意思疎通】スキルにより、言葉が通じなくてもある程度言いたいことが伝わるのだ。



(そういえば……他人の所有物も売却できるのか?)


《不可能です》


(所有物っていうのはどっからどこまでだ?落し物を拾って売るのは?)


《取得物の売却は可能です》



おーっと、こんな所に家が落ちてるな。拾って売ってやろう……売却!



「おい、無理じゃないか」


《放置された物品の所有権問題は非常に曖昧です。”家”の場合、非常に大きな財産ですので、”棄てた”のではなく”一時的に移動しただけ”と解釈され、所有権は元の所有者に留まったもたのと考えられます》


「じゃあ前田さんは生きてるのか。因みに、この家を売却する方法はある?それと、他人の家の敷地までうちのダンジョンを拡張するのはできるの?」


《家主を殺害すれば売却可能です。迷宮化は所有権の有無に関わらず可能です。その場合、家本体は迷宮の一部となるため、売却は出来ません》



逆に言えば、家の中のものなら迷宮化の後に売却できるってことか。

1軒数百万DPくらいははいるんじゃないか?これはいい事を聞いたな。



通常、ダンジョンマスター達は弱いモンスターを召喚し、それを育てて強くするのだ。

それは、高ランクのモンスターが高価すぎるという理由からである。


凡そ、モンスターの値段はその能力値平均の100倍程度になる。(俺はその半分の50倍で買えるが)

ステ平均9桁、のSランクモンスターなら100億から1000億のDPが必要となるわけだ。


そんなの簡単に集まるわけがないから、低コストで買った下級モンスターを頑張って育成するのが通常のダンジョン運営である。



(でも俺の場合、DPはそこら中に転がってる……!)


《通常、ダンジョンの周囲に人里はありません》



異世界の”通常”ね。この世界に他のダンジョンマスターや魔王は居るのか?



《ダンジョンマスター、魔王は神あるいはそれに連なる存在による干渉なくして発現するものではありません》


(俺と同じ方法では?)


《チュートリアルダンジョンで2人の人間が同じジョブを手に入れる事はありません》


(チュートリアルダンジョンってなんだ?)


《極々稀に発生する小規模ダンジョンで、クリア者に最上級職を与えます。100年に1つ程度見つかります》


(それは異世界の────っと)



スケルトンから敵を発見した、という思念が送られてきた。



「グルオッ!」



体長2m弱の狼。それが3匹。

1番先頭が跳ぶのに合わせて鉄棒を振るう。

ミキョ、と音をたてて吹き飛んだ狼から目を離すと、もう2体は既に目の前だった。



「2人で1体、倒してみろ」



スケルトンに指示をだす。

2匹の狼が同時に飛び掛ってくるが、その途中、片方の胴に槍が刺さった。


既に大口を開けて飛び掛ってきているもう1匹の噛み付きを鉄棒で抑え腹に蹴りを叩き込む。

鉄棒を引き戻し、頭に振り下ろすと、一撃で頭蓋骨が陥没した。



「よしっ!」


「ギャンっ!」



どうやらちょうど、向こうも終わったようだ。

剣スケルトン、左腕はどこにいった?


剣スケルトンはカタカタ、と笑って左腕を元の位置にくっつけると、ブンブンと振って見せた。


そういや、アンデッドは再生能力が高いって言ってたな。




その後、狼やゴブリンを倒しながらあてもなく歩いていると。



「…………あれ?ここ、ダンジョンっぽいな」



ダンジョンコアの存在を感じる屋敷を見つけたのだった。





何となく本日2話目投稿。


ストックもあんまりないのに追い込んでいくスタイル。

読んでくださって有難うございます┏( .-. ┏ ) ┓

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