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第19話「恐るべき敵の正体」

「ブレドさん、ウィズさん、ロアさん」


「『プロテクト』! どういうことだ、何が起こった! 」


 息を呑み膝をつくアリスとは対照的に魔王はすぐさま追撃を阻止するために呪文を唱え盾を出現させると三人の元に駆け寄った。正直なところ三人はゴブリン退治ということもあって油断をしていたのかもしれない。


 しかしそれは魔王も同じだった。例えイレギュラーがあってもこの小さな洞窟にドラゴンがいるわけでもなし、この者たちならば乗り越えられると考えていたのだ。


 慌てて三人の状態を確認すると三人とも胸に幾つもの矢を受けていた。術者の意識が途切れたため消えゆく照明の中魔王は三人の唇が青ざめているのをみた。それを見て息を呑んだ魔王は素早く矢を抜いていく。


「だ、ダメです魔王さん。矢を抜いてしまったら血が、血が溢れて」


 震える声でアリスが制止を促す。


「いや、恐らくこの矢には何かが塗られている。このまま抜かないほうが危険だ」


 既に照明は消えてしまった。しかし魔王の目は正確に唇の色などを見分けることはできないがそれでも人間よりは暗所でも素早く目を慣らすばかりかはっきりと見渡すことが出来る。

 それを活かして三人全員の矢を抜いた。終わったと三人の身体を覆うように腕を伸ばすと呪文を唱える。


「『ヒール』」


 たちまち三人の傷が塞がり血が止まった。


「もう大丈夫、のはずだ」


「どういうことですか? 」


 魔王の言葉に迷いが生じていたのをアリスは見逃さなかった。


「身体の傷も毒も問題はない。だが、我には心の傷は治せぬ。何を見たかは知らないがその衝撃と死の恐怖はこれからもこの三人を襲うことだろう」


 言葉通り、魔王はこの件により様々なトラウマを背負った三人が今後冒険者としてやっていくのは困難に思えたのだ。


「そんな……」


 アリスが涙を流す。その頭の上に魔王はポンと手を置き囁く。


「ここにいろ」


 そう、魔王にはまだやるべきことがあった。言うまでもなくこのようなことをしでかした者を特定すること、そして始末することだ。


「『シールド』」


 魔王が呪文を唱えると今度は魔王とアリス達四人の間に透明な壁が出現した。


「魔王さん! 危険です魔王さん! 」


 魔王が戦おうとしていることを察知したアリスが止めようと壁を叩くも魔王の魔法だけあり強度はドラゴンののしかかりでも割れないほどなのでビクともしない。彼女の声を気にも留めず進む。

 

 大広間に出るとともに視界には幾つもの小さな子供くらいの姿がいくつか存在した。ゴブリンだろうか? いや、よくみれば皆姿勢を低くしているだけで身長を予測するとブレド位の人間だった!


「馬鹿だなあ、そのまま逃げておけばよかったのに」


 何者かの声がするとともに誰かが光の魔法を唱えたのだろう、何者かが呪文を唱え照明がつき十人ほどの弓を構えている冒険者らしき人物たちが姿を現した。


 

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