表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はあなたを真似る  作者: 石月 ひさか
転校初日
5/37

出だし好調


「所で、朝香の方はどうだった?みんなと仲良くなれそう?」


夢美のクラスメイトは皆良い人ばかりで、さっそく似た雰囲気の子と仲良くなり、グループチャットにも招待してくれた。


更に夢美にとって好都合だったのが、晃司を除く男子生徒の性格だ。


皆、どちらかと言えば草食系らしく、今のところ積極的に話しかけられる事はない。


朝香はジュースを飲み終えると、おもむろにチャットアプリを見せてきた。


そこには数人の見慣れない名前と『☆3‐5☆』と書かれたグループチャットが表示されていた。


「友達できたのね。良かったわね」


朝香は髪をかきあげると、ニヤリと笑う。


「ふふん。まぁねぇ。取り敢えず合いそうなグループには入ったわ。今度の休みにライブ行く約束だってしたし」


「へぇ。なんのライブ?」


「さぁね。なんか友達の彼氏のバンドだかなんだかの」


朝香と夢美はタイプが真逆だ。


夢美はおっとりしていると言われるが、朝香はサバサバして物怖じせず、メイクもバッチリ決めて髪色も明るい、所謂ギャル系だ。


恐らく友人も、同じような集団なのだろう。


「まぁ、私は出だし良好ってとこね。アンタはどうなの?連絡先交換した?」


「えぇ。まぁ、そこそこ」


「ふぅん。ちなみに何人?見せてよ」


「あっ、ちょっと」


良いとも悪いともいう前にスマホを取られてしまう。


朝香は画面を見ると、あからさまに表情を変えた。


「16人!?クラスの女子全員じゃない!あっ、しかもクラスグループ以外にもなんか入ってるし!」


「みんな社交的な人ばかりだったのよ」


それか転校生マジックだろう。


朝香にそんな理由が通じないのはわかっていたが、そう返すのが適切だろうと思った。


だがやはり信じるわけもなく、悔しげな表情を浮かべている。


「アンタって昔からコミュ力高かったじゃない。無駄な謙遜なんかはいらないわよ」


「そ、そう……ね」


確かに前の学校では常に輪の中心にいたし、そこそこ人望も厚かったかもしれない。


人見知りをする性格でもないし、ある程度のコミュニケーション能力も持っているつもりだ。


だがさすがに、自分でそう言うのは憚られたのだ。


「取り敢えずアンタも好調って事ね。男の方は大丈夫だったの?」


「えぇ。うちのクラスの男子って、みんな草食系みたい」


「そりゃ良かったわね。うちのクラスは面倒くさいのが多かったわよ。彼氏いるのかとか、どんなのがタイプだとか聞かれまくったわ」


「あら、モテモテじゃないの。自慢?」


朝香の表情から、それが自慢話ではないのはわかっていた。が、敢えてそう突っ込んでみる。


朝香は案の定「はぁ?」とぼやくと、こちらを睨みつけた。


「んなわけないでしょ。チャラい男ばっかで鬱陶しいって意味よ。わかんないの?」


「嘘。冗談よ」


朝香はこんな見た目とキャラなのに、好きなタイプは真逆だ。


今まで好きな人がいるという話は聞いたことはないが、言葉の端々からそんな気がしていた。


「でも今度の学校は共学なんだから。朝香は男子とも仲良くしなきゃね?」


そう言うと朝香は少し不貞腐れた様な表情で「わかってるわよ」と呟いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ