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私はあなたを真似る  作者: 石月 ひさか
転校初日
4/37

従姉弟のこと


「はぁ!?心理に彼氏ですって!?」


家に帰り、夕食を食べにきていた朝香に早速その話をすると、大きな声を上げた。


「うん。なんだか変な会話だなぁとは思っていたから聞いてみたんだけど。心理は否定していたけど、多分照れ隠しだと思う」


「あいつ、ついにそっちの道に──。で、相手は?」


「興味があるの?」


言葉とは裏腹に表情は嬉しそうだった。


それを指摘すると、朝香は小さく笑った。


「そりゃそうよ。だってアイツに彼氏よ?どんな奴か知りたいじゃないの」


こんな笑みを浮かべている時は、何かを企んでいるときだ。


朝香に話した事を後悔したが、仕方なく名前を口にする。


「西晃司って人。私のクラスメイトなんだけれど」


「西!?まさかあの西の事じゃないでしょうね」


「知っているの?」


西という苗字は、あの学校には1人しかいない。


朝香は大きく舌打ちをすると、物凄く不愉快そうな表情を浮かべた。


「どうしたのよ」


態度を面に出す性格ではあるが、名前を聞いただけでこんなリアクションをするなんて珍しい。


「西って私、嫌いなのよね。いかにも女と遊んでるって感じで、いけ好かないっていうか」


「まぁ、確かに派手ではあるわよね。っていうか、会った事あるの?」


2人とも今日転校してきたばかりだし、朝香に関してはクラスが違う。


それなのに、もう『嫌い』と言い切るだけの印象を持っていたのが不思議だった。


「会ったっていうか、アイツちょいちょいうちのクラスに来るのよね。うちのクラスの金髪のハゲと仲が良いみたいで。他の女ともイチャイチャしててムカつくのよ」


「………」


金髪のハゲというのはよくわからないが、朝香のクラスに友人がいるという意味だろう。


だが、帰りにしっかりと顔を見てみたが、あの容姿だ。


意外と人当たりも良いし、モテる部類だろうとは思った。


「でも、心理と3人で一緒に帰ったんだけど、そんなに悪い人じゃなかったわよ」


言葉を交わしたのは少ないが、何となく、人間的に問題がある様には感じなかった。


そして何より──。


「それにあの心理が仲良くしているんだもの。あの子、朝香以上に好き嫌いが激しいんだから」


心理は父親の血筋もあるが、どちらかと言えば母親似の女性的な顔立ちをしている。


小さい頃には自分達従姉妹を含めた女の子とばかり遊んでおり、思春期真っ盛りの中学の時は男に人気があった。


だが心理が可愛いのは見た目だけで、中身はれっきとした男だ。


人に求められているものが自分の本質と異なる事が不愉快らしく、妙に攻撃的で警戒心の強い性格になってしまった。


そんな心理が受け入れられた人なのだから、きっと良い人なのだろう。


夢美はそう考えているのだ。


しかし朝香は納得できないのか、小さく鼻で笑う。


「ふん。どうかしらね。アンタ達は昔から似ているから、好みだって似たんじゃないの?」


「そんな事無いわよ」


見た目的な意味で似ている事は否定しないが、好き嫌いまで同じというのは有り得ない。


実際の所、晃司の様なタイプは好きではない。


心理が選んだ人だからと好意的に見れる様になっただけだ。


「私だって初めは関わりたくないと思ったもの。朝香も話をしてみたら?きっと、あなたなら仲良くなれると思う」


「仲良くねぇ。まぁ、考えとくわ」


呟くと、どこか納得できない様子で呟いた。



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