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「倫太郎のリサイタル成功を祝して、乾杯!!」
オレンジジュースの入ったグラスで乾杯する。
打ち上げは只野家での開催となった。
本当に、先輩のリサイタルは成功だった。
今まで聴いたことのない曲や、かなり高難易度の曲も聴くことができて、本当に刺激になった。
私も明日から、練習がんばろう。
伴奏もだけど、コンクールに出たいと思った。
「まさか、打ち上げしてくれると思わなかった。ありがとう」
「倫太郎、なんにも言わないんだもんな。香月ちゃんが、チケット見せてくれなかったら、俺らも知らずに終わってたよ」
「いや、本当に…、何にも考えてなかったんだよね」
「猪突猛進なところが、らしいといえばらしいけど」
「先輩が変わってなくて安心しました。演奏は素晴らしかったですけど…、特に最後のオリジナル曲は本当に素晴らしかったですけど…」
「香月ちゃん、怒ってる?」
「怒ってないです」
「まぁまぁ、乙女心は複雑なんだって、なぁ」
「只野先輩も変わりないです」
「えー!?倫太郎よりは、マシじゃ…」
「ケーキできたよー!!」
佐奈がテーブルの上にケーキを置く。
「なんで、1品目がケーキなんだよ」
「だって、私ケーキしか作れないもん」
「じゃあ、飯終わったタイミングでケーキ出るように調節しとけよ」
「わ、わーい。私、佐奈のケーキ好きだよ。切り分けよう?」
「そうだねー!香月ちゃんには大きいところあげるね」
「主役、俺じゃないの?」
ケーキが一品目になってしまったけど、佐奈も交えて、4人で懐かしい話がたくさんできた。
私がこのメンバーに入る前の只野家と高木先輩の話や、手術をした前後の話、先輩が神童だったときの話も。
みんなちょっとずつ、変わっていたし、少しも変わらない部分も持っていた。
あの夏、私が授業をサボらなければ、この出会いはなかった。
私が少しでも、ピアノをやっていなければ、この出会いはなかった。
いろんな経験が、行動が相まって、こんな素敵な今がある。
「先輩、今度は私の曲、作って下さいね」
「え、あ、ええと、うん(今日の最後の曲、割と香月ちゃんを意識して作ってたんだけど…)」
「今、うんって言いましたね?絶対ですからね」
「はい(意外と推しの強い子だったんだなぁ)」
池に放した金魚も成長しているのだろうか。
また、特等席で皆で花火が見たい。




