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「よし!できた!」
着付けを終えたお母さんは、私の背中をドン!と叩いた。
「いった。ありがとう」
背中をさすりながら、とりあえず御礼をしておく。
「気合入れといたの!今日、暑いけど着崩れに負けないでがんばれ」
「何を頑張るの…。でもまぁ、着崩れは起こさないように頑張るよ」
「ほら、もう16時10分よ」
「やば、そろそろ行かなきゃ」
どこに行くにも10分前には着いておきたい性分なので、もう家を出ないとまずい。
バタバタとカバンを掴んで、下駄を履く。
「いってきまーす!」
「はーい、気をつけてね」
お母さんに手を振って家を出ると、お父さんが帰宅したところだった。
「ただいま、香月ちゃん。そして、いってらっしゃい」
「あ、おかえりなさい。いってきます」
すれ違いになっちゃったなぁとニコニコしているお父さんにも手を振っておいた。
鳥居の前に来ると、浴衣を来ている人が何人もいた。
ひとまず、17時の10分前に着くことができた。
『鳥居の前で待ってるね』
サナちゃんにメールも送っといたし、これでバッチリかな。
『早い~!ごめんね、もうちょっと待ってて』
『約束まで10分もあるんだから、ゆっくりで大丈夫だよ』
『はーい!』
それから、数分してサナちゃんが現れた。
履きなれてなさげな下駄で頑張って走っている。
「香月ちゃーん、ごめーん!!」
「は、走らなくていいよ!ゆっくりで!」
やってきたサナちゃんは、息が切れたのか、鳥居に手を突いて体を折っている。
「せっかくの着付けが崩れちゃうよ」
苦笑いしながら、曲がってしまった帯や広がりかけている裾を直してあげる。
「はぁはぁ、ありがと。香月ちゃんも着付けできるの?」
「ううん。できない、でも、多少の直し方なら教えてもらった」
「すごいね。着付けてもらったけど、何がなにやらだったよ」
「うん、やっぱ似合うね、サナちゃん」
「え、そう?改めていわれるとなんか照れちゃうね」
「髪飾りも、合ってる。かわいい」
「ふふ、香月ちゃんも似合ってるよ。髪もお母さんだよね?」
「恥ずかしながら」
「本当に器用なんだね~。うらやましい!!」
「私は似なかったみたい。あ、先に上でお参りしてもいい?私、夏祭り来たことなくて」
「いいよ~。先にご利益積んでおこう」
連れ立って上ヘ向かって階段を上り始めた。




