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『今日、17時に鳥居の前でも大丈夫?』
15日の朝、携帯を見るとメールが来ていた。
『いいよ。間に合うように準備していくね』
『うちのママも香月ちゃんママみたいに着付けできればいいのに~』
『私は美容室で着付けてもらいたいけど』
私の母は、昔から女の子らしいものが大好きで、着付けやらちょっとした小物の裁縫なら易々とやってしまう。
その点ではすごく有難いけど、美容室への憧れだってある。
『香月ちゃんは贅沢だな~。じゃあ、また17時にね!』
『わかった』
"贅沢"という言葉にドキリとしてしまった。
最近、私は欲張りになってきているのかもしれない。
紙の船を欲しがったり、夏祭りにサナちゃんと行くか先輩と行くかで悩んだり、浴衣を買ったり…。
ちょっと前の私からは考えられない。
そんなことを考えながら、ボーっと窓の外を見ていた。
子供たちが、水着が入っているだろうビニールのかばんを持って走っている。
元気だな…。私なんて、クーラーの効いた部屋でしか生きられないというのに。
「香月ー!!スイカきったよ、食べない?」
お母さんが1階から呼んでいる。
「食べるー!」
そう叫び返して、よっこらせと椅子から立ち上がる。
部屋の扉を開けた途端、むわっと熱気が体を包む。
どうにか、家中を涼しくできないものかと考えながら、リビングに向かった。
「やだー、起きてすぐの顔じゃないの~。世間で言う、干物女ってやつかしら」
「まだ高校生ですから」
失礼なお母さん。仮にも娘なのに。
「干物になったあなたが易々と想像できるわ」
「もう、今日、夏祭り行くんだから良いじゃない。家の中くらい、楽な格好でも」
「そういえば、今日、何時に集まるの?」
「17時」
「じゃあ、3時半頃、着付けしましょうね。香月に着付けを頼まれる日が来るとは思わなかったわ。お母さん、感動!」
「はいはい。よろしくね」
用意してあったスイカは、冷たくて甘かった。
なんだか、"夏"を凝縮して丸めたものを食べている気持ちになる。




