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あくる日、10時の待ち合わせに間に合うよう、私は準備をしていた。
「あら?香月、今日もお出かけ?」
「うん。今日は友達と駅前に」
「あら、そうなの!駅前だったらもっと可愛い服着て行きなさいよ~」
やだわ~といいながら、お母さんはクローゼットからワンピースやスカートを出して、私の体に合わせる。
「やっぱり、これがいいわ!」
最終的に手に取ったのは白のワンピースだった。
「えっ、やだよ。キャラじゃないし、こんなの着たら、友達に引かれちゃう…」
「どうして?似合ってるのに。せっかく買ったのに、1回も着てくれないじゃない」
お母さんが悲しそうな顔をしている。
高校の入学祝として、ちょっと高めのワンピースを買ってくれたのだけれど、私には似合わないので1回も着たことはない。
こんなことになるなら、駅前に行くなんて言わなきゃよかった。
内心後悔しつつ、着るのが恥ずかしい自分と母を悲しませたくない自分がせめぎ合っている。
「うぅ…、わかったよ、着ればいいんでしょ!?」
ヤケになって、ワンピースに袖を通してみた。
裾がひらひらしていて、ワンピース自体はすごく可愛い。
でも、着ているのが自分だと思うと、服に申し訳なくなる。
「あら~、やっぱり似合うわぁ。さすが私の子ね!」
お母さんは満足げだ。
しょうがない、今日はこれで行くしかない…
駅に行くと、既にサナちゃんは来ていた。
「おはよう!香月ちゃん!!」
「お、はよう」
「うわぁ、可愛い服だね~!すっごく新鮮!」
「服に着られてる感があって…」
「そんなことないよ!似合ってるよ!」
「あ、ありがと」
お母さんといい、サナちゃんといい、すごく褒めてくれるから勘違いしそうになる。
「今日、何しに行くの?」
「あ、言ってなかったっけ?あのね、香月ちゃん、浴衣持ってる?」
「ううん。持ってないけど?」
「よし!じゃあ、見に行こう!それが目的」
「ゆ、浴衣!?」
「さぁ、行こう行こう~!」
サナちゃんは私の手を引くと、歩き始めた。




