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そしてまた、先輩は紙飛行機を飛ばし始めた。
真っ青でふちに大きな入道雲が貼り付いている空に真っ白な紙飛行機が映えていた。
飛んでいる紙飛行機はなぜか、全て真っ白な紙で折られている。
すごく眩しい。
目を細めて、思わずその光景をしばらく眺めていた。
全ての紙飛行機を飛ばし終えたらしい先輩は、滑り台の上から飛び降りると、こちらに向かってきた。
あんなところから飛び降りたら、かかとが割れてしまうのでは…
周りの子供たちが真似しないことだけを祈ろう。
「かづきちゃんは何しに来たの?」
先輩の言葉で自分がお使いを頼まれていたことを思い出した。
「お使いに行くところだったんでした。
すみません、失礼します」
「おつかい忘れて紙飛行機見てたの?はは、案外抜けてるとこあるんだね」
大爆笑、というわけではないが、小刻みに笑っている。
いつもだったら腹が立つはずなのに、なぜかその様子をぼんやり見ていた。
笑っている先輩もなんだか眩しくて、当たり前だけど、自分とは違う人間なのだなと思った。
微妙に笑っている先輩をおいて、私は目的のスーパーに歩を進める。
「はは…、あ!待って、かづきちゃん!
15日、夏祭りあるでしょう?18時に鳥居の前ね」
男子からお祭りに誘われたことなんかないけど、絶対、普通じゃない。
そもそも恋人でも友達でもない人の誘い方じゃない、と思うんだけど…
「い、いやです。いかないです」
「待ってるから、じゃ!」
高らかに手を振って反対側の公園の出口に向かっていった。
ま、いっか。
行くとは言ってないし、いざとなったらすっぽかそう。
そんなことよりアイスだ。
私は踵を返すと、行くべき場所に向かい始めた。




