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それから、高木先輩に会うまでそうはかからなかった。
別に会いたかったわけではないが、彼は神出鬼没だ。
思いがけないところで出会う。
公立の高校にはお掃除当番というものがつき物…。
そういう所にも少しうんざりしてしまう。
高校生なんて、一生懸命に掃除をしているのは何%の人間であろうか?
少なくとも私は適度に力を抜くタイプだ。
サボりはしないが、本気ではやらない。
そういう人たちが半数を占める掃除当番が掃除をしていたら、学校も汚れていく一方だ。
いっそ、業者にでも頼めばいいのに…。
そんな風に卑屈に思いながら、
教室のゴミ箱を外の収集所に運んでいたときだった。
誰かの鼻歌が聞こえてきた。
私のよく知る曲だ。
「人形の夢と目覚め」
一時期、ピアノ教室の課題曲になっていた。
世間ではお風呂の音…、と言われているかもしれない。
私が足を止めてしまった理由はそれだけではない。
女声ではなく、男声だったからだ。
クラシックを口ずさむ男子高校生なんて早々いるもんじゃない。




