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体育館裏の木陰で、彼は足を止めた。
帰宅部と言うわりに、体力があると思う。
運動部に入っていない私は、体を折ってゼェゼェ肩で息をしていると言うのに…
「そういや、あそこ、体育教官室から見えるんだっけ。いやぁ、ビビった〜」
何をヘラヘラしているんだか…
体育教官室とは、所謂、体育教師の職員室みたいなもので、グランドの方が一望できる高いところにある。
プールもグランドも丸見えだったと言うことだ。
なぜ、気づかなかったのだろう…
「最悪だ…、あの先生、教育指導の先生じゃない…。家に連絡行くかも…」
私は顔面蒼白になっていると思う。
指先が震えてきた。
スッと四肢から体温が下がって行く感覚…
「そんな、人殺しでもしたみたいな顔しなくても…
なんとかなるでしょ」
ここまでくると、ポジティブも病気だと思う。
「だって、家に連絡がいったら、親にも怒られるし、最悪、三者面談になって…、停学になるかも…」
「良いじゃん、停学なんて。学校休めてラッキー。でも、俺の経験上、それはないね。
なんか雑用押し付けられて終わりって感じ?」
「ク、クラス中の人からも冷めた目で見られるかも…」
「そしたら、俺が親友になってやんよ」
「お断りします」
こんな人と友達とか言って連んでたら、心労が計り知れない…
絶対いや。




