第11話 初クエと熊とママ!?
さて今回で11話です。どうぞ楽しんでいってくださいね。
それでは第11話のはじまりはじまり〜
私たちはいま、とばっちりが飛んでこない様にギルドを抜け、依頼を達成するために地獄の門に向かっていた。
「リシアは簡単に達成できるって言っていたけどどれぐらいの強さなのかな?」
リシアは簡単って言っていたけどフィオラさんの話を聞くかぎりリシアもフィオラさんも上位の冒険者だったんじゃないかな?って思う。
「今回の依頼はフィオラさんのメモによるとそんなに難しくないみたいです。ただリシアも言っていた通り気をつけるのはヨルノベアーらしいです。なんでも強さだけなら5階層の魔物に引けを取らないらしいです。」
ルーエはメモを見ながらそう言ってきた。
「じゃあ今回気をつける事はそのヨルノベアーだけだね。もし敵対した時はどうするの?」
こういう探索なんかする時はどんな時でも想定外というのは起こるものだから、しっかり聞いておくことにした。
「もし、敵対することになったら逃げるべきだそうですよ? ただ、ヨルノベアーはその腕力とスピードが厄介らしいです。ですが体の肉は柔らかいらしいので魔法を使うと良いって書いてありますよ。」
「魔法ね〜 じゃあそれを踏まえて行ってみますか。ルーエは城に入ったら杖の状態に戻ってね。」
これは魔法を打ってみてわかったことなんだけどルーエが杖の状態になって私がそれを装備して魔法の威力が上がる事がわかった。
「了解です。ご主人様 しかし、もしもの事があれば守らせていただきますね。」
ルーエはとても頼もしいな。
「うん。その時は任せるね?」
そう二人で話して向かっていると見えてきた。天にも突き刺す高い高い塔が。
「あれが地獄の門やっぱりまじかで見ると大きいな〜」
それはまさに生前の話にあったバベルの塔みたいな見た目だった。
「ご主人様 あの門が入口みたいです。」
ルーエが指をさした先を見るとそこには鉄でできたいかにもっていう門があった。
「じゃあルーエ、今は人がいないから今のうちに杖に戻って貰えるかな?」
そう言うとルーエは頷いて杖の状態に戻った。
「ご主人様、杖の時は念話で会話することになるので伝えたい事を頭で思い浮かべてくださいね。」
「わかったよ。じゃあ行きますか…」
私はそう言うと門を開くために手をかざした。
すると門と私の体が光だし、目の前の景色が一変した。
そこは少し薄暗い洞窟みたいなところだ。
「ここが一階層かな?」
「そうですね。メモによるとここは幻想の楽園と言うらしいです。」
ルーエがそう教えてくれた。
決して名前が痛いとか突っ込んだらいけないよ。って私は誰に話してるんだろ?
それにしても幻想の楽園か…地獄に向かう前の楽園だとかけてるのかな。
「ここにはどんな魔物が出るの?」
「この一階層ではエデンスライムという魔物が出るらしいです。」
スライムとはまたベタな感じだね…でも名前的に何か絶対特殊体質なんだろうな〜そう思ってルーエに聞いた。
「そのスライムはなにか特殊な体質なんかは持ってるの?」
「メモ帳によるとそのスライムは他のスライムに比べ素早さが早いらしいです。そしてそのスライムを倒すと精霊の涙というアイテムを落とすらしいです。」
なんか早速気になる状態が出てきたんだけどな…
「その精霊の涙ってなに?」
「精霊の涙というのはどんな病気や怪我を直してしまう液体らしいです。しかしなかなか落ちないので高値で取引されるらしいです。」
「ふーん…そんなものが一階層から落ちるんだね。案外これは精霊の神玉の情報も真珠かの違いはあるけどあたりかもしれないね。」
「そうですね。これだけ精霊という名前がつくものがあればハズレとは言い難いです。」
ルーエと話をしていたら奥からガサッと音がした。
「話はこれまでだね。敵のお出ましだよ。」
音のした方を見るととても鮮やかな色のスライムがいた。
あれがスライムか〜なんか可愛い顔してるから倒しずらいな〜
まあでも見つかったから倒さない訳にはいかないから倒すけどね…なんか心が痛いや。
私は覚悟を決めると簡単な魔法を唱えた。
「ファイアーボール‼」
すると拳ぐらいの大きさの火の玉が飛んでいきスライムを消し飛ばした。
「ええぇ〜そんなに火力高いの!? これは調整しないとな〜」
まさか一撃で倒せるなんて…
これは魔法が強いのかスライムが弱いのかどっちなんだろう。
「ご主人様の魔法は私を武器として撃つと補正がかかるので今さっきみたいな威力になったんだと思います。」
ルーエがそう教えてくれた。
「なるほどね、じゃあ補正がかかる前の威力も知らないと危ないね。それでさっきスライムを倒した時カードに吸いこまれたよね。」
「多分アイテムが落ちたから自動で収集してくれたんだと思います。」
ルーエがそう言うのでカードを確認すると倒した魔物の名前と精霊の涙という名前が追加されていた。
「精霊の涙、落ちちゃった…」
まさか1回倒すだけで落ちちゃうとは思わなかったな。
まあ落ちたからにはしっかり大切にしておこう。何かあるかもしれないしね 。
そんなこんなで魔物を倒して進んで行くととても綺麗なところに出た。
「ルーエ?ここはなんの場所?」
さっきとは全然雰囲気の違う場所だから私はルーエに聞いてみた。
「ここがその夜明け草が生えている場所らしいです。」
「へぇ〜じゃあサクッと採取して依頼を完了させて帰ろうか」
「そうですね、今ならヨルノベアーもいませんし。」
とルーエが言ったので私は夜明け草を集める事にした。
「ルーエ、どれが夜明け草?」
「少し黒っぽい草に赤く光ってる実がついてる物が夜明け草です。」
ルーエに言われた草を周りを見て探すとたくさん生えていた。
「確かにいっぱい生えているね じゃあ必要な分だけ採取しようか」
私はそう言うと依頼書に書いてある数の分だけ夜明け草を採取した。
「よし、これで依頼達成だね。」
「そうですね、お疲れ様でした。ご主人様。」
「うん、ルーエも助かったよ。」
私たちはそう話をしながらギルドに戻ろうとした時…
ガサッガサッと音がした。私たちは音のした方へ向くとそこには、私が見たことのある熊より何倍も大きかった。
「あれがヨルノベアー!? あんなに大きい物なの!?」
「いえ、あれはメモにあったヨルノベアーよりもずっと大きいです。」
私たちが話をしているとヨルノベアーはその大きな腕を振り下ろしてきたので急いで避けた。
「逃がしてくれる雰囲気じゃあないね…となるとやっぱり戦うしかないか…」
「ご主人様。戦うのであれば、ヨルノベアーの腕力と素早さを気をつけて戦ってください。それにあれは普通のヨルノベアーではないので油断は禁物です。」
「わかったよ。まあできるだけ頑張って見るよ。」
そう言って私はヨルノベアーと距離を考えながら魔法を撃った。
「光を持って、相手を切り刻め ホーリーブレイド‼」
すると魔法が飛んでいきヨルノベアーを吹っ飛ばした。
手応えは確かにあったので私は緊張をといた。
「終わった?」
「ご主人様‼ まだ終わってません‼」
とルーエの声が聞こえるのと魔法でできた砂煙を切り裂き私の目の前に大きな腕が出てくるのは同じだった。
「えっ?」
すると何が起こったのかも分からず私は壁に打ち付けられた。
バキッっと私の体から嫌な音がした。
するとルーエが人の状態になって隣に来た。
「ご主人様‼ 大丈夫ですか!?」
と聞いてきた。しかし全然大丈夫じゃあないんだよな
今ので左肩が折れたのかすごく痛いし頭を切ったのか血も出ている。しかしルーエに心配かける訳にはいかないから大丈夫だと答えた。
「ご主人様 ヨルノベアーは私が倒してきます。なのでご主人様は安静にしててくださいね。」
ルーエはそう言うとヨルノベアーのところにいった。
私は何をしているんだろうか…あんなにもルーエが油断は禁物だと言ってくれていたのに油断して、そう考えると自分に腹がたったのと倒したと思っているのか私に目を向けないヨルノベアー腹がたった。
「こうなったら何がなんでもあのクマを倒してやる。」
私はそう呟くと念話をルーエに飛ばした。
「ルーエ、あなたはそのまま、そのクマをひきつけて。そのうちに私が魔法を演唱するから、合図をしたら魔法を撃つから巻き込まれないように避けてね。」
「了解です。ご主人様 ご武運を。」
「うん、ルーエも気をつけてね」
私はルーエと念話で会話し終わるとすぐさま魔法の演唱を始めた。
「聖なる夜よ、その安らぎを妨げるものに、聖なる裁きを下したまえ。」
私はそこまで演唱をするとルーエに合図を送りルーエが避けるのを見てから魔法を発動させた。
「ノクティスジャッジメントォォォ‼」
すると光が雨の様に降り注ぎ辺り一帯を吹き飛ばした。
私はヨルノベアーをみた。するとヨルノベアーは安心した顔をすると横に倒れると煙になりカードに吸い込まれた。
私は最後になんでヨルノベアーがそんな顔をしたのかがわからずに、
「なんであなたがそんな顔をするの?」
とボソッと呟いてボーッとしていた。
するとルーエが隣に来て肩を貸してくれて
「大丈夫ですか? ちゃんと帰ったら治療を受けてくださいね。心配したんですから。」
と言ってきた。
「うん、ごめんね、心配かけて…」
私はそう言いながらルーエを撫でた。
しばらくさすっているとガラガラガラ‼と何かが崩れるような音がした。
「なんの音?」
「もしかしたらさっきの魔法の反動で壁が崩れたのかも知れませんね。行ってみますか?」
「そうだね、もし通路とかだったら大変だしね。」
そう言うと私たちは音のした方へ向かうとそこには大きな空洞があった。
「これは空洞?やっぱりさっきので崩れたのかな?」
「いや、よく見てみるとこの穴を隠せるように細工がしてあります。しかしこれは動物の痕跡があるということはあのヨルノベアーの巣穴だったのかも知れません。」
「そんなにあのヨルノベアーは賢かったんだね。一応奥を確認してみようか。何かあるかもしれないし。」
私たちは巣穴らしきものの奥を調べるためにゆっくり進んでいくのであった。
そしてその巣穴にいたものはとても可愛い白髪の美少女がいた。
「えっ?子供?」
すると子供が音に気がついたのか体を起こし周りを見渡し私を見ると…
「……おかあさん」
と呟いていて私に抱きついて来たのであった。
さていかがだったでしょうか。
最後に出た少女もこれからの話にしっかりと関わって来ますのでお楽しみに。
それとそろそろキャラが多くなってきたので設定を書こうと思いますのでよろしくお願いします。
それではここらで締めさせていただきます。
ありがとうございました。
作者 水月@鏡花