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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

晴れ色

作者: crocodile

初めて書きました。百合ものです。すいません。

「好きです・・・。付き合って下さい・・・。」



 頬を赤く染めながら京香きょうかは言った。

 自分は人生のうちでこんなことがあるとは思ってもいなかった。


 小さいころからの幼馴染だった。そんな彼女から今日、告白というものをされてしまった。

 

 しかし、自分はその場から逃げだしてしまった。


「なんで逃げてしまったんだろう・・・」


 家に着いてからよく考えてみた。しかし、今の自分にはその答えがわからなかった。


 明日には彼女と嫌でも顔を合わせなければならないのに・・・そんな考えが頭を駆け巡っていた。時計の針は午前1時をさしていた。


「もうこんな時間か・・いいや・・寝よう。」


 シャワーを浴びながら今日の疲れと後悔を洗い流す。

「なんで私はあんなことをしてしまったんだろう・・・」

 

そう呟きながら湯船に浸かる。今日私は、水月みつきに告白をしてしまった。幼馴染に。


 でも、水月は、その場から逃げだしてしまった。私には水月がなんで逃げ出してしまったのか私はわかっていた。


「しょうがないか・・・。今までずっといっしょにいたのに今日いきなりあんなことをら・・・。明日どうしよう?」


 翌朝


「どうしたの?そんな顔してぇ~?」と母に言われ鏡を見てみる。

 あれから結局、頭が働いてしまい寝ることができなかったせいか目のところがくまになっていた。


「あ~、頭痛い~」

「じゃあ、早くご飯食べて、薬飲んで、学校行ってきなさ~い!」

「わかったよ。・・・って、なんか今日の朝ごはんなんかいつもより豪華じゃね!?」

「うふふ、久しぶりに早く起きたから頑張ってみたの~。お弁当も期待てくれていいよ~。」

「何時から起きたの?」

「ん~とねぇ~4時はんくらいかな~」

「そんなに早く起きるなんてもう年なんじゃないの?」そう言うと母がおたまで頭を殴ってきた。


「そんなこと言わないのぉ~。そんな悪い子は、ご飯食べて学校に行っちゃいなさ~い。」と言いながら頭痛薬とお弁当を差し出して言った。


 「ん~」と母の作ったサンドウィッチを食べながら返事をし、もらった頭痛薬を飲み、いつもの公園で待ち合わせし、京香といっしょに登校する。


 だが、「昨日の事もあるし今日はいいか」と水月はそのまま学校に向かうことにした。


 一応連絡だけ入れておこう。そう思い携帯を取り出すが、どういう内容のメールをすればいいのかわからない。京香の事を考えると胸が苦しくなる。


 結局内容は「先に行くね」という一言だけだった。いつもならちょっとしたことでもいろんなことをメールで話すが、今日はこれぐらいしか出来なかった。何故なのだろう。


 胸のあたりに違和感を抱えながら水月は、家を出た。


「さて、どうしたものかなぁ~」昨日の夜は一睡もすることができなかった。ご飯を食べながらいつもの場所に行くか考えていた。


 まあ、水月のことだからいつものように公園で待っててくれるんだろうそう思いすぐに身支度を始めた。


 昨日告白したせいか、いつも水月のことを考えてしまう。次第に体温が上昇していくのを感じた。いつもと違うからだの感じに戸惑いながらもすぐに支度を整え、家を後にした。そして、気づく

 

「あっ・・・携帯忘れた・・・まっいいか・・・」


 いつもより15分ほど早く学校に着いた水月は文庫本を読んでいた。すると、二人の友達の和花奈わかなが後ろから声をかけてきた。


「珍しいですね。水月さんがこんなに早く、しかも一人で登校してくるなんて。もしかして、京香さんと喧嘩でもしたんですか?」

「いや、そんなんじゃないんだけど・・・まあ、たまにはいいかなぁ~と思って、ね。そんなにおかしいかな?」

「ええ、とてもおかしいと思います。だって、いつもなら二人で登校してきて、どこに行くのも、なにをするのもいっしょの二人が突然別々に登校してくるなんておかしすぎます。」

「そ、そんなに強く言わなくても・・・。大丈夫だよ。京香には連絡してあるから。」


「ならいいんですけど。ところで何を読んでいるんですか?」

「ああ、これ?京香が貸してくれたんだよ。」


と、こんな会話をしていると予鈴が鳴った。


「まだ、京香さん来てないですね。」

「ん~、そうだね。」机にグダッとした姿勢でそう言った。

「もう一度、京香さんと連絡を取ってみたほうがいいんじゃないですか?」


「ん、電話してみるか。」ポケットから携帯を取り出し、電話をかけてみる。しかし、ディスプレイには「京香」と表示されるだけで、まったく電話に出る気配がない。

「なんか出ない・・・。」そう言いながら和花奈の顔を見る。


「困りましたね・・・。とりあえずそろそろ先生が来てしまいますから、私は席に戻りますね。先生に京香さんのこと伝えておきます。」

「ん~、ありがと。」

「いえいえ。」


 SHLのチャイムと共に先生が、教室に入ってきて出席を取り始める。もちろん京香の姿はない。

「あいつ、何やってんだよ。」と思いながら私は窓の外を眺めた。黒い雲が空にかかっていた。ひと雨きそうだ。そんなことを思っていると、SHLは終わっていた。目の前には和花奈がいた。


「1時間目は体育館でバレーボールですよ。」

「ん~、そうだったっけ?」と曖昧に返事をし、和花奈と体育館に向かう。



 朝のニュースで、今日は10時ごろから雨が降るといっていたので、新しく買った傘を持っていくことにした。水月とこの前買いに行った傘だ。水月はいらないと言っていたが、結局色違いの傘を買った。私は、黄緑。水月は水色の傘を。


「えへへ、水月とおそろいの傘~♡」と思いながらウキウキした気持ちでいつもの公園にむかった。

 

 しかし、公園に着いてみるといつもは先に来ている水月がまだ来ていなかった。

「寝坊しちゃったのかな?電話してみるか・・あっ、携帯忘れちゃったんだ・・あ~、どうしよう~」

 とりあえず公園のベンチで文庫本でも読んで時間を潰していればそのうち水月が来るだろう。そうして文庫本を読み始めいつの間にか眠ってしまった。



 一時間目の体育が終わった。しかし、教室に戻っても京香の姿は見当たらなかった。

「本当にどうしたんでしょうね?京香さん。」

「そのうちひょこっと顔出すでしょ。それより雨が心配だよ。」この前京香と買いに行った傘も家に置いてきちゃったし・・・

「あっ!降ってきましたね。」

「ん、そだね。」


 ガラッと教室の扉が開き先生が、

「ねぇ、誰か藤谷の事知ってる人はいない~」

「えっ、連絡ないんですか」驚いた様子で水月は、先生に尋ねた。


「家のほうに連絡しても、もう家を出たっていうのよ」

「えっ?!じゃあ、いったいどこに・・・あっ!」

「どうしたの?」

「先生!ちょっと次の時間だけ休みます!」

「なっ、何を言ってるの?!ちょっ、待ちなさい!」

「和花奈~!後は頼んだよ~」

「わかりました。いってらっしゃい。」

 

水月は、上履きのまま外に出た。雨が降っていても関係ない。京香に電話をしてみる。・・・・

「あっ、京香っ、どこに、「現在、電話に出ることができません。ピッ―と・・」」

京香とは連絡が取れない。でも、きっとあの場所にいるに違いない。水月は、走り出した。京香のいるその場所に・・道にいる人を押しのけ、雨に打たれながらもあのいつもの公園に向かう。


「絶対居てね・・京香・・・」 



「つめたっ、あれ・・雨が降ってる・・なあああ、こんなに濡れてる。」

 

 どうやら、寝てしまっていたらしい。すぐに持っていた傘を開き公園内にある休憩所に入り雨をしのぐ。かなり雨が強い。もう、雨が止むまで学校には行けないだろう。時計を見ると、11時を回っていた。どうやら水月は、いつも通り来てくれなかったらしい。

 

 まあ、私が悪いのかな。自分で自分が嫌になる・・こんなことならあんな事言わなければよかったのかな・・・自然と目頭が熱くなった。わけがわからなくなり休憩所から出て、雨にあたりながら静かに涙を流した。雨にあたると、少しだけ落ち着いた。耳を澄ますと、


「きょぉぉおぉかぁぁあぁ!!」


 という叫び声が聞こえた。公園の入り口を見ると、息を切らしている水月がいた。

「なんで居るの?」

「ちょっ、まっ、やす・・まして・・ハッ・ハアッ・・」


「なんで居るの?」

「なんでって、京香がいつまでたっても学校に来ないから心配して・・それで・・」

「そんなこと言うなら水月だって、なんで今日ここに来なかったの?連絡くらいしてよっ!」

「はぁ!?メールしたじゃん!先に行くって!なんでいつまでも待ってるんだよ!」

「だって、携帯家に忘れちゃたし、昨日の・・・・・・・・」

「聞こえないよ!はっきり言って!」


「だって!昨日の返事早く聞きたかったんだもん!昨日は、水月逃げちゃうし、夜は不安で眠れないし、もう友達としても見てもらえないかと思うと・・辛かったんだから・・」

「っそ、そんな、そんなこと今言う事かよ!」

「今、聞きたいの。安心したいの」


「・・・きだ」


「えっ?」


「好きだって言ってんだよ!・・2回も言わせるなよ・・・バカ・・恥ずかしい・・」


 水月は真っ赤になった顔を見られたくないのかそっぽを向いた。


「み、みつきぃぃぃ~」と泣きながら、後ろから抱きつく京香。

「おっ、おい、やめ・・」と抱きついてきた京香を振りほどこうと後ろを向いた瞬間、ほほにやわらかい感触があった。時が止まったように思った。空からは黒い雲から光が漏れていた。


「雨、止んだな。」さっきの事をなかったかのように、京香に話しかける。

「うん。止んだね。これからどうする?」

「・・・わかってんだろ?」

「うん。水月の考えることならなんとなくわかるよ。」

「じゃあ、行くか。」

「うん!」


二人には雨あがりの温かなひかりが差し込んでいた。


女の子同士って難しい・・・

感想いただけたら嬉しいです。

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