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腐女子のススメ  作者:
第一章
2/3

理学部棟

再び理学部棟の中へ入ると、見知った顔を見かけた。



「あ、ゆっきっきー」


「おはよ、みゆきち」


ゆっきっきー、と変なあだ名で声をかけてきたのは、真田深雪。この名字を聞くと、つい某戦国ゲームの某熱血青年を連想してしまう。おそらく腐女子の性であろう。

深雪は同じ学科の子で、自分的には親友だと思っている。アホだけど、時にはちゃんとする子だ、アホだけど。



「授業終わったの?てか星屑は?」


私はいつも2限後は星屑と行動しているため、彼女がいないことを疑問に思ったのであろう、深雪は尋ねてきた。



「あー、ファイル忘れたから取りに戻るとこ。星屑は先にピーチいるよ」


「そうなんや、着いていこっか?」


「や、大丈夫。先ピーチ行ってて」


教室は四階だし、付き合わせるのも申し訳ない。星屑も待っていることだし、とその申し出を断った。



「了解!あ、今日ちょっとバイト遅れるから、河西さんにも伝えといてねー」


深雪はさらっと言ったが、今日は平日なので店員は三人だったはずだ。私と深雪、後一人は一つ学年が上の、先週入った新人の河西さん。深雪が遅れるということは。



「ちょ、私と河西さん!?まだ一回も話したことないよ!」


そう、シフトが重ならず、まだ一緒にバイトに入ったことすらないのだ。自慢ではないが、二次元に浸りすぎたせいか三次元の男が苦手で、何を話せばいいかも正直わからない。

あ、ちなみに河西さんは男。河西和幸というらしい。イニシャルはKKになるのか、どうでもいいな。



「大丈夫、いい人やから!じゃまたねーん」


なんてやつだ、いい逃げしやがった。とりあえず後で詳しく話を聞いてやる。バイト遅れる理由が、片思い中の人と云々だったらしばいてやる。







深雪と別れてから、階段へ向かった。理学部棟は立方体となっていて、階段は玄関から入って左端にある。本当はエレベーターを使いたかったのだが、昨日の夕方から改修工事をしているらしい。面倒だが仕方ない。


おそらく深雪と話している間に、棟に残っていたほとんどの生徒も昼食を食べに行ったのだろう、しんと静まり返った空間は心地よかった。


階段を登っていると、上の階から教授が降りてきたのでとりあえず会釈をする。大学では挨拶の有無等もあまり口煩く言われないため楽だ。ちなみに教授は顔も合わせず早足で降りていった。



「はぁ、四階、だ、っる」


さすがに階段で四階まで行くのは辛い。息をきらしながら教室のドアを開ける。その瞬間、ファイルを取りにきたことを後悔した。





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