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第五部 残響の果て(The Edge of Echoes)
― 前書き ―
> 「音が消えても、祈りは届く。」
第四部《祈りの地図》から五十年。
地上では共鳴都市が繁栄し、
“風の記録”が世界の文化と産業の中心になっていた。
しかし――その〈風〉が、
地球の外では届かないことが分かる。
宇宙では、空気も風もない。
それでも人々は、“祈りの波”を宇宙空間へと送信することを試みた。
それが「エコー計画(Project ECHO)」の始まりだった。
その目的は、
「風が届かない世界で、祈りを響かせる」こと。
その計画を担うのが、
リアンとリサの血を引く者――ソラとアム。
彼らは、“音のない宇宙”で人類最後の「記録」を残すために旅立つ。
彼らの乗る船の名は、
〈ミナト号〉。
それは――かつて滅びの海を越えた旅人の名を継ぐ、最後の祈りだった。




