心慌意乱
陽一が目を覚ますと、いつものようにこはるが元気よく「おはよう!」と声をかけてくれた。その日も、こはると過ごす穏やかな時間が始まる。しかし、陽一の心には、最近続く一連の出来事に対する疑念が湧き上がっていた。
すぐに思い浮かんだのは、ここ最近の出来事だった。
商店街のくじ引きで一等を当て、仕事では社内で契約数がトップとなり、給料が大幅に上がった。それだけでなく、些細なことでもラッキーが続いていた。例えば、道端で財布を拾ったり、スーパーで思わぬタイミングで割引セールが始まったり、ほんの些細なことだが、確実に陽一の生活には運が味方しているように感じた。こんなことが次々と続くのは、まさに奇跡のようだった。普通ならあり得ないような偶然が、すべてこはるの存在と関係しているような気がしてならなかった。
そして、陽一はテレビをつけ、こはると一緒に、以前酔った勢いで購入した宝くじの抽選会を見守ることにした。陽一は心の中で、当たったらすごいな、と軽く考えながらも、どこかで期待していた自分がいた。
抽選会が始まり、数字が次々と発表されていく。陽一が手にしていた宝くじの番号を何気なく確認しながら、ふと目をやると、画面にその番号が映し出された。
「……えっ?」
陽一の心臓が急に跳ね上がった。まさか、まさかの一等が自分の番号だったのだ。手が震え、目をこすって再確認したが、間違いない。テレビ画面には、自分が買った宝くじの一等当選番号が映し出されていた。
「おじさん、どうしたの?」
こはるが不安そうに声をかけてきたが、陽一は言葉を失い、ただテレビを見つめたまま動けなかった。自分でも信じられない思いがこみ上げてきた。
「おじさん、当たったの?」こはるが一歩近づいて、驚いた顔で陽一を見つめる。
陽一はようやく我に返り、震える手で宝くじを握りしめながら、ふと考えた。
(これも、君の力が関係しているのか?)
確信はまだ持てなかったが、陽一の中で、こはるの存在がますます不思議なものに思えてきた。何度も続く偶然、そしてこの宝くじの当選。これらはすべてこはるがもたらした幸運なのではないか。そう思わずにはいられなかった。
その瞬間、こはるが嬉しそうに笑った。
「おじさん、すごいね! お金、たくさんもらえるんだね!」
陽一はその笑顔を見ながら、胸の中で不安と疑念がさらに深まるのを感じていた。もしこはるが本当に座敷童子なら、すべての出来事は彼女の力によるものだろう。だが、どうして彼女はこの家に来たのか? そして、この幸運はどこまで続くのか?
陽一はその答えをまだ見つけることができなかった。ただ、こはるがもたらす幸運を受け入れることが、彼にとっても一つの試練のように思えた。
「これから、どうすればいいんだろう?」陽一は心の中で自問しながら、こはるに目を向けた。彼女はただ無邪気に笑顔を浮かべている。
その笑顔が、陽一には少しずつ重く感じられるようになっていた。




