第8話 Aクラスの日常
タイトルを変更しました。
旧:『魔法学園デビュー~僕だって頑張れば彼女できるはず』→
新:『陰キャ、魔法学園で恋に課金中。このガチャ壊れてませんかね?』
です!
すいません、今までのタイトルに慣れていた人、気に入っていた人がもしかしたらいるかもしれませんが、変更しました。今後もよろしくお願いします。
アキラがレイラと放課後や週末といった授業外で一緒に探索や訓練をするようになり、アキラの戦闘力は向上する兆しを見せ始めていた。
そして目に見えた戦闘力の向上は無くても少し慣れてきたせいか、戦闘中に焦ってしまったり、過剰に気負ってしまってミスをする事がほんの少しだけ減ってきていた。そしてそれに気付く鋭い人も出始めた。
Aクラスのクラスメイトはこの学年でTOPを争う先頭集団であるがゆえに、仲間であると同時に最大のライバルでもある。クラスメイトの動向を気にするのはある意味当然とも言えた。
「ねぇ、アキラっちー。最近ちょっと変わったー?」
あ、アキラっち?
「う、うぇえ?」
陰キャをいきなり名前呼びしないで欲しい?思わず動揺して変な声出ちゃったよ。顔が熱くなるのを感じる。
「アハハ、動揺して赤くなってる。アキラっち、かわいいー。」
読んでいた魔法書から顔を上げるとそこにいたのは、クミコと仲の良い弓術士のユズリハ クサナギさんだった。黄緑色の髪を黄色いリボンでサイドテールにまとめた美人さんだ。明るくて話が上手く男女問わず誰とでも一瞬で仲良くなるタイプだ。しかも抜群のスタイルとそれを引き立たせる袴と言われる独特の和装テイストの服装と相まって、男子の人気は非常に高い。クミコと男子の人気を争う双璧と言えるだろう。でも僕はこの距離感を無視していきなり懐に飛び込んでくるこのタイプはとっても苦手だ。
一言で言えば陽キャの最高峰であり、陰キャ最大の敵だね。
レイラも陽キャじゃないのかって?あの子は出自で陰があったり、よくからかってくるけどそれでも僕のパーソナルスペースを尊重してくれたりするから一緒にいて心地良いんだ。だから同じ陽キャでも全然違うよ!
「ねーねー。最近たまに見かけるんだけど、隣のBクラスの美人さんとなんか仲良く訓練してるみたいじゃない?その影響なのかな?それにしてもいつの間にあんな美人さんと仲良くなったのかなー?アキラっちも隅におけないねー。」
うりうりと肘でつついてくるクサナギさん。
すると会話の内容からか途端にクラス中の視線が僕に集まってきているのを感じる。ただクサナギさんには全く悪気は無さそうに見える。
くっそー、無差別爆撃型陽キャめ!陽キャなんて滅びてしまえばいいんだ!
「えっと、あの…あの、レイラとは、そんなんじゃないんだ。」
「レイラ?へー、名前呼びなんだー。アキラっちもやるねー。」
ぐっ、なんたる不覚。ますます顔が赤くなるのを感じる。
するとクミコがこちらに来た。TOP美少女二人の集結にますます僕への注目度が上がる。もうやめてくれ!
「ユズリハ、そこら辺で止めてやれ。アキラは陰キャなんだ。そんな風にユズリハが一方的にしゃべりかけたらパニックになってしまう。」
ぐぼぁっ!アキラは25のダメージを受けた。
くそっ、知らないのか?陰キャに陰キャって言っちゃいけないんだぞ。
「それにアキラがちょっと変わっただって?ただ鼻の下を伸ばしているだけで全然変わってないだろう。こいつはそういう奴なんだ。」
ごふぅっ!アキラは40のダメージを受けた。
な、なんで…僕が何をしたって言うんだ。なんで僕がこんな往復ビンタを受けないといけないんだ。
でもクミコはヒートアップしてきたのか追撃はこれで終わらなかった。
「確かにBクラス以下でも光る物を持っているやつはいっぱいいる。それでも現時点ではAクラスの方が上だ。ならば同じAクラスの人間に教えを請うなり、一緒に励めばいいのに、アキラはBクラスという自分より下位の人間に逃げたんだ。」
「ちょっと、ちょっと、クミコ。流石にそれは言い過ぎよ?ごめんね、アキラっち。私のせいでこんな事になっちゃって。ちょっとクミコ、あっち行こう?」
「アキラとは知らない仲じゃないから、私だって頼まれれば少なくとも無下にする事は無かった。良いものを持っているはずなのに勿体無いんだよ…。」
という言葉を残してクミコはクサナギさんに教室外に連行されていった。
そして後に残されるのは僕と微妙な教室の空気。いたたまれな過ぎる。
ああ、神よ。私が何をしたというのです。