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第7話 協力関係

二人でたまに遭遇する雑魚スケルトンを蹴散らしながら昨日戦った辺りの奥地をめざした。


「なるほどね。アキラも近接戦闘能力を高めたくてここに来ていると。」


うんうん、と頷く僕。


「それなら昨日言ったが私も同じだ。スケルトン相手にある程度鍛えたら、お互いに模擬戦するのもいいかもしれないな。スケルトン相手ばかりだと、戦闘方法に偏りが出てしまうかもしれないし。」


「えっ?昨日の戦い見てたけど、僕じゃレイラとは勝負にならないよ。僕はあのあたりのスケルトンは1対1がやっとで、とてもあれだけのスケルトンと渡り合えるレイラとは勝負にならないし、レイラにとって学習が全く無いよ。」


「はは、気にするな。例えアキラが私より弱くてもたまには骨以外と戦う事に意味があるのだ。それが人なら私にとってはそれだけで良い経験になる。アキラも自分より実力が上の者と戦えるなら良い訓練になるだろう?なんならアキラだけ魔法ありでもいい。そしたら私は魔法戦の訓練にもなるしな。」


「うう…格上のレイラと模擬戦ができるとか、僕が一方的に得過ぎる気がするんだけど?」


「そうでもないぞ。まぁでもその話はまだ先の話だ。その前にスケルトンをいっぱい倒して、戦闘経験をいっぱい重ねて、いっぱい魔石を集めて稼ごうぜ。」


といって満面の笑みで僕を魅了する。ううん、こんな美少女が僕と行動を共にしてくれるなんて今でも信じられないよ。でも勘違いしないようにしないとね。


「お、いた。よし突撃だー!」


と遠くにスケルトンが数体いるのを発見したレイラは早速突撃しようとするが、僕は『ちょっと待ってよ』と慌ててレイラの身体を掴んで止めた。


―――むにむに…ぷるん


「ん?」


「アキラって中々に大胆だな。こんなところでいきなり抱き着いて、揉み始めるなんて。でも墓地ってのはちょっとムード無いから減点だな。」


「あわわわわ、ごめんなさい。社会的に抹殺するのだけはなんt…」


―――ずびしっ


と僕の頭にレイラのチョップが炸裂した。


「その下りはもういいから、なんで私を止めたんだ?まずはそれからだ。」


あいたたた。地味にレイラのチョップ痛いんだけど…


「ええとね。レイラは今、教会で祝福の魔法を受けて武器にかけてもらってるよね?弱いけど長時間持つやつ。確かにそれでも一応不死者(アンデット)を倒す事は出来るけど、ちょっと効果が弱過ぎてイマイチだと思うんだよね。

僕の祝福魔法をレイラの剣にかけてもいいかな?時間は5分くらいと短いけど、教会のより強力だし効果が切れたらまた掛け直すからさ。」


「ん、いいぞ。教会でも確かに3時間くらいはもつけど、効果はあまり期待するなって言われたしな。よろしく頼む。」


と僕にうっすらと光る剣を差し出した。僕はその剣を掴むと、祝詞を唱え始めた。


―――祝福ブレス


すると、レイラの剣は先程とは比べ物にならないほど白く光った。


「お、なんか凄そうじゃん。ちょっと戦ってきてみても良い?」


「うん、いいよ。でも5分くらいしか持たないから、そこは気を付けてね。」


おっけーと言いながらレイラは勢いよくスケルトン数匹に飛び込んでいった。動きは最小限にするって言ってたような気がしたけど、あれは何だったのか。まぁでも、あの祝福魔法がかかってるレイラなら大丈夫かな。


「さて、僕も戦おうかな。僕は一匹でいいや。」




なんだ、これは。

レイラは剣を振るった。まただ。ただの一振りでスケルトンは背骨までまとめて砕かれ、後に白い魔石を残して消滅していった。昨日までの教会で受けた祝福の乗ったレイラの剣撃は普通に骨に弾かれたのにだ。昨日は祝福の効果がプラスされた一撃は、自身が全身全霊を込めた一撃の時だけスケルトンを倒す事が出来た。

私は夢を見ているのか?効果時間は短いらしいが、そんなの関係ないレベルだぞ?

レイラは確かめるようにまた剣を振るった。やはりスケルトンはただの一撃で消滅していった。


振り返ると、アキラはスケルトン一体と一進一退の攻防を繰り広げている。

その戦い方は拙く、戦士としては一人前どころか半人前すら怪しいレベルだ。

だが、この祝福魔法のすごさは何だ。私の昨日の苦戦とはいったい何だったのか。


レイラが剣を振るうたびにスケルトン剣士は白い魔石を残して消滅する。


祝福は不死者アンデット用だから対人では効果が薄く、学園ダンジョンでも不死者アンデットはほぼおらず出番は少ないはずだ。アキラの魔法は祝福これだけではないだろうが、祝福のような使い勝手の良い魔法が他に無ければ、アキラの学内の評価が低くても不思議ではない。


振り返ると視線の先では、レイラが一撃で倒せるスケルトンと未だに死闘を繰り広げているアキラがいる。


むしろあの程度の戦闘力にも関わらずAクラスに在籍しているのは、逆に凄いのではないかという気がしてきた。彼をAクラスにした教師陣を除けば…まだアキラの真価に気付いている生徒はいないのではないだろうか。


「ふふ…私は本当にツイているみたいだな。」


目の前ではアキラが盛大に空振りをして、その隙をつかれスケルトンに斬られていた。しかし受けた傷を物ともせずに自身に回復魔法をかけて即座に回復すると、スケルトンとまた互角の戦いを始めた。


―――あれなら私がアキラに教えられる事は沢山ある。


自身の容姿がとても優れていて男子に好かれ易いのは分かってはいるが、自分が一方的に得する関係というのはレイラは好きではなかった。


「それに頑張る男の子って結構いいもんだな。」


そんなステキな男の子と一緒に成長出来たら、それはとても楽しい事なのではないだろうか。

カクヨムで先行投稿しています。

https://kakuyomu.jp/works/16818622170849640858


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