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陰キャ、魔法学園で恋に課金中。このガチャ壊れてませんかね?  作者: 崖淵


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第48話 アンとハーレム野郎

今日はお昼過ぎからアンとデートだ。

アンはちょっと大人びていて、僕を弟のように扱ってくる。同い年なんだけどな。


今日は中央公園の噴水前で待ち合わせだった。10分前に着くように出掛けたのだけど、遠くにアンの姿が……あっ、チャラそうな男に絡まれてる!早く助けないと!

と僕が走り出したところで、アンが華麗に身を翻し男の手を払い除けると、そのまま流れるように鮮やかな蹴りが男のアゴにクリーンヒットして、僕が到着するよりも早く男は伸びてしまった。


「アン、大丈夫!?怪我はない?」


「あのねぇ。アタシがこんなやつに後れを取るわけないでしょ。」


「よかった。でも僕がアンを助けられなくて悔しいような、でも無事でよかったような。」


「はん、アキラがアタシを助けるとか10年早いのよ。まぁでもその気持ちだけもらっておくわ。」


しかし、いつもながら出るところは出て引っ込むところは引っ込んだとても魅力的な容姿のアンだけど、今日はいつにも増して魅力的だ。金の刺繍の入った真っ赤なチャイナドレスを身に着けており、深いスリットは彼女のしなやかな脚を見せつけているようだ。


「ふふーん、良いでしょ。昨日、街で結構良さげでお値段もそこそこだからつい買っちゃったのよね。生地もそんなに安っぽくないし。似合う?」


「うん、似合うよ。ありがとう。わざわざ僕とのデートのために昨日服を探してくれていたなんて。」


「バカ、違う。そうじゃない。ただかわいい服を見つけて、たまたま今日という着る機会があっただけ。勘違いするな!」


といいながらも少しほほを染めて、アンも満更ではなさそうだ。


「まぁでも最近は死者の墳墓の光の魔石で稼がせてもらってるし、そういう意味ではアキラにも感謝してる。だから存分に見てもいいことにしてあげるわ。」


と言われたので、遠慮なくじろじろ見てたら「目がエロ過ぎ!」と言われてズビシッと目をつつかれた。そんな馬鹿な。ぐぅ、目が痛いし前が見えない。そうだ、僕は僧侶だった。


――回復!



そのまま、アンと中央公園を散歩デート。

喉がかわいたので、近くのカフェへ。


ダークモカチップコーヒーを注文した僕は、それをごくごくと飲んでいる。


「アキラ、それ美味しそうね。ちょっと頂戴。」


と言われて、僕が承諾する前にアンは奪って飲んでいく。


「これ、甘くておいしいね。甘いから一杯飲むのはアウトだけど。」


と言いながら、アンはこちらをチラチラと見ている。

ふふん、間接キスくらいで僕はもううろたえないぞ。

という顔をしていたら、アンに露骨につまらなそうな顔をされた。ふふふ、アンに勝った気分だ。と思っていたら、アンは唇についたチョコを、僕をじっと上目遣いで見つめながら、セクシーに舌で舐めとってみせた。


ビビビと体の中心に電気が走ったような感覚を僕は覚えた。くそぅ、さすがにそれは反則だよ。僕は思わず顔を背けてしまった。

それからアンを見ると、案の定僕に対して勝ち誇った顔をしている。くっ、何の勝負だよ。話を変えよう。


「ねぇ、アン。最近たまに思うんだけど、こうやって僕はレイラやアンとデートしてるじゃない。シズカさんとも二人きりで放課後特訓したり、このままだとグリフィスさんとも近いうちにデートしそうな気がする。これって僕は最低のハーレム野郎だったりしないのかな?」


「はぁ?」


近頃思っていたことをアンにぶつけると、とアンに思いっきりジト目で見られた。


「アキラはちっともわかってないねぇ。ちょっとは成長したかなと思っていたのに、まだまだだったか。」


「え、なんでよ。」


「アキラがハーレム野郎とか10年早いわ。私もレイラも、アキラとのデートで満足してるわけじゃない。つまらないデートとは言わないけど、まだまだよ。ハーレム気取りたいなら、まずはちゃんとイイ男になりなさいよね。」


そしてはぁぁぁ。と露骨に大きなため息をつかれた。ええー、そんなに!?


「どうでもいいけど、レイラはともかく、それをシズカとグリフィスに言うのはやめなさいよ。しばらく口を聞いてもらえなくなるわよ?」


「……はーい」

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