第42話 週末の作戦会議
「へー。そんな事があったんだ?」
死者の墳墓でスケルトンと戦いながら、レイラとアンは昨日のグリフィスさんとの一件を話している。
「で、アキラはいつの間にグリフィスに告白して、しかもフラれてたの?」
と、そこだけはしっかり僕に振ってくる。
あーあ、内緒にしてたんだけどなぁ。とはいえ厨二病が発動して、僕が自らバラしたわけだけど。
シズカさんにフラれた一週間後と告げると、レイラとアンに何ともいえない目で見られた。
「で、アキラ。昨日のアレは何だったの?グリフィスを一撃で倒すとか、Aの最上位クラスでもできないわよ!?」
「…秘密。」
えー、アタシらにも秘密にするのー?って言われたけど、いろんな意味で言えない。
アンは来週以降の個人戦で戦う可能性があるし、あれは一応秘密にした方がいい闇魔法だし、第一フラれた相手にしか撃てない魔法とかカッコ悪すぎるし…。
「ところで、アキラ。これでグリフィスがパーティーメンバーに参加してくれて前衛1中衛2になったけど、他のメンバーの当てはあるの?」
「いや、無いんだよね。どうしようかな。」
「ズレータには声かけたの?」
「いや、まだだけど。彼はテルキナと仲が良いんじゃないの?」
「先々週の第十階層でボスに特攻した一件で、ちょっと彼についていって良いのか悩んでいるみたいよ?アキラ、声かけてみたら?最近仲いいみたいだし。」
「そうなの?ズレータは結構気持ちがいいやつだし、彼が入ってくれたら、グリフィスと組んだ前衛二枚は、かなり強力じゃないか。最初から諦めてたけど、声かけてみるよ。アン、ありがとう。」
「いいのよ。アタシのためにもなるんだし。」
「ところでグリフィスは、この週末特訓には来ないのか?あの侍と模擬戦してみたいんだが。」
とレイラが言った。確かに僕もアンもレイラの個人戦の訓練になってないわけじゃないけど、どっちかというとトリッキーな戦いの対策という部分が大きいかも。でもなぁ。
「え、レイラ。さすがにグリフィスはここには来ないんじゃない?あんまり群れるようなタイプじゃなさそうだし。」
「ただ友達がいないだけじゃないのか?」
「またそういうこというと怒られるよ?」
「まぁいいじゃないか。誘うだけ誘ってみろよ。それにアキラのデートの特訓メンバーにグリフィスも加えよう。」
「あの……僕は彼女にフラれているんですが。」
「いいじゃないか。フラれた相手と堂々とデートできるなんてお得だろ?」
「レイラもなかなか無茶言いますね。どちらにしろグリフィスさんは来ないと思いますよ。アンが誘います?それとも模擬戦をしたいレイラが?」
「何を言ってるんだ、アキラ。グリフィスに一騎打ちで勝ったアキラ以外に誘えるわけないだろう。」
「ええー。」
「それにさ、週末訓練に誘うのは告白するより楽だろ?それにたとえ断られてもフラれるよりマシだろ?なら、一度告白してフラれたアキラなら、誘うのも断られるのもハードルが低い。この観点からもアキラが適任だな。」
「なんか、すごく酷い理由なんですけど。フラれたことがここまで尾を引くなんて。」
「いいやん。当たって砕けろだ。」
「一回既に砕けてるんですけど。」
「なら、一回も二回も大して変わらないでしょ!」
「アン、自分で言ってて酷いと思いません?」
結局のところ、僕は週末特訓にグリフィスさんを誘う羽目になった。
どんな顔して誘えばいいんだよ…。




