第38話 アンとデート
今日は昨日のレイラに引き続きアンとのデートだ。
昨日は映画を見たし、今日はどこに行こう。
うーん…今日も映画でいいんじゃないかな?
そういえば昨日見た映画は寝ちゃったし、あれをもう一度見るってのはどうだろう。そうしたら、アンとはもちろんその話が出来るし、昨日は寝ちゃって出来なかったその映画の話が、今度レイラともできるよ。これって一石二鳥なんじゃない!?
え、ダメなの?『絶対だめ!』って声がどこからともなく聞こえてくる気がする。しかもレイラのジト目まで…。
なんでだろう?いい案だと思ったのにな。
仕方ない、他のデート案を考えよう。
うーん、どこがいいかなぁ。と悩みつつアンとの待ち合わせ場所へ向かう。
待ち合わせ場所に着くと、すでにアンがいた。
「どこがいい?」
「アキラねぇ…言ったでしょ?リードするのも勉強のうちだって。そこをアタシに聞いてたら勉強にならないわけよ。」
「まぁそれはそうなんだけど、それでつまらないデートになるよりは、アンと楽しいデートをしたいと思うよ。ダメかな?」
「くっ…こいつめ。油断するとたまに女殺しな一言を。」
「ん?なんか言った?」
「いーや、何も言ってない。しゃあない、今日だけよ。ついてきて。」
「はーい。」
アンに連れてこられたのはアパレル関係がいっぱい入ったショッピングモールだった。魔法効果がついてない、本当にただのかわいい服のお店たちだね。
中に入ると沢山の魔法ビジョンが宙に浮きながら、色とりどりのかわいいと思われる服がいっぱい宣伝されている。
「アキラがデートプランを放棄したんだから、今日はアタシの趣味に徹底的に付き合ってもらうから。いいわよね?」
「お、お手柔らかに。」
アンは、トップスを見ていたかと思えば、インナーのお店に入ったりと忙しい。僕はついていくのに一生懸命だ。途中何度かどっちが良いかって聞かれたけど、正直よくわからない。しどろもどろになりながらもなんとか答えると、何度かは首を傾げて「へー、そうなんだ」って呟きながらもアンはなぜか僕が選んだ方を買っていた。僕に聞くよりアンのセンスで選んだ方が絶対に良いと思うんだけどなぁ。
そして僕の両手にはどんどんと手提げが増えていく。そろそろ持ちきれないんだけど?
という頃になると、ようやくアンは「ちょっと遅いけどお昼ご飯にしよ」って言ってパスタのお店に入った。言われるがままに僕も入り、アンの正面に座る。
「いやー、買いに買ったわ。荷物持ちがいるっていいわね。」
「すごい量だね。こんなにどうするの?」
「着るのよ。当たり前でしょ?」
「まぁ…そうだよね。」
「さ、食べましょ。」
僕はボンゴレパスタで、アンはカルボナーラだ。
ただのパスタなのに、アンが食べるとなんか色気があるなぁ。
パスタをフォークでくるくると巻いて、髪をかき上げながら口に運んでいく。そのぷっくりとした唇はグロスで煌めいている。キスって何がいいのか全く分からないけど、あの唇には僕の意識ごと吸い込まれそうになるなぁ。
と僕はアンの口元をぼーっと見てたら「何?」って言われたから、慌てて目を逸らして「アンってパスタ食べてるだけなのに色気があるね。」って答えたら、
「あら、アキラも女性を褒める事が出来るのね」
だって。失礼な。僕だってそのくらい…そのくらい…あれ、デートの最初に女性を褒めないといけないんじゃなかったっけ。
「アン、今日もキレイだね。」
「遅いわよ!」
「面目ない…。」
「いいわ。最初からアキラが出来るなんて期待してないから。そうそう、ここのお店はドルチェが美味しいのよ。アキラは何にする?」
アンがドルチェメニューを見せてくれた。どれもこれも横文字でどんなデザートなのかよくわからない。あっ、これなら分かる…
「梅こぶ茶!」
「それはドルチェではない気がするけど、まぁいいわ、好きにしなさい。アタシはこのココアティラミスにするわ。」
ドルチェを食べているアンはニッコニコだ。いつもは年上に見えるアンもこの時ばかりは年相応の女の子に見える。
ずずず…。
ふぅ、落ち着く。
「こんなオシャレなお店なのに、梅こぶ茶が似合うアキラがちょっとニクイわね。」
「褒めてる?」
「多分?」
この後、アンの部屋の近くまで荷物を持って行って解散した。
分からないことだらけで今も分からないことだらけだけど、今日も恋愛の経験値稼ぎがいっぱいできた気がする!そろそろレベル上がったはずだね!




