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第23話 ダンジョン演習後半(第三週)

作戦も決まったのでみんなで中ボス部屋に入る。

斥候マウバレイ君と女盗賊アンの二人は、僕たちとは別にひっそりと入ってひっそりと後方に回り、ひっそりとゴブリンアーチャー、メイジ、シャーマンを倒してもらう予定だ。

僕が死んじゃうからなるはやでお願いしたい(切実)


僕とモブ四郎が前に出る。出過ぎて良い事は無いとはいえ、前に出て距離を稼ぎながら、少しずつ下がってなるべく魔法使い達と近い距離で戦いたい。その下がる間に魔法使い二人に出来るだけ削ってもらおうという魂胆だ。


―――カッキーン!

「行ったー、これは大きい!」


モブ四郎君は自身による謎の実況中継とともに幸先よく最初の棍棒の一振りでゴブリンをホームランした。おおー、確かに結構飛んで行ったなー。

僕もモブ四郎君もゴブリン四匹ずつに囲まれた。そうなるとモブ四郎君は豪快に棍棒をスイングできず、以後、ホームランは見られなくなった。『これはバットの根元、ぼてぼてのゴロだー!』とかブツブツ言いながら棍棒振ってる。

僕は4匹のゴブリンに囲まれて正直何も出来なかった。1匹なら優勢、2匹でもなんとかなるだろう。でも3匹以上になると目の前に迫る攻撃をなんとか弾くだけで後手後手のワニワニパニックであり、しかもそんなんで全部のゴブリンの攻撃を防げるわけもなく、ゴブリンの持つ粗悪な武器による切り傷や打撲が増えていく。それはモブ四郎君も同じだ。大振りしてはその隙をゴブリンに突かれて、文字通り武器でつんつんと突かれてその後のホームランが無いままに傷を増やしている。僕に出来ることはゴブリンにやられながらも定期的に僕と彼を交互に回復ヒーリングをかけていくことだけ。


背後の魔法使い二人は…モブ土くんは杖を両手で持ち、1匹のゴブリンと殴り合ったり逃げたりを繰り返す完全に泥仕合だ。まあ、仕方ないよね。魔法使いに近接戦闘しろというのが無理なのだ。

一方のシズカさんは…魔法で風の障壁を作って、ゴブリンの動きを妨害して、その隙をついて魔法を詠唱してトドメを刺してる。うわ、すご。

あれ、斥候マウバレイ君と女盗賊アン暗殺組がこちらに来てからが勝負だと思ってたけど、シズカさんのところからも局面打開出来たりする?うーん。あれも魔法戦闘の一つの理想形なんだろうなぁ。


とはいえ、シズカさんもその戦い方は楽ではないのか、少し息が上がっているように見える。うわ、余所見してる場合じゃない。


―――グサッ(痛い!)チクッ(痛っ!)


くっそー、ゴブリンめ!許さないぞ!

と憤ってみるものの何が変わる訳でもなく、そしてたまにアーチャーの矢が飛んでくる。これが本当に痛い。ゴブリン4匹ですら間に合ってないのに視界外から飛んでくるから本当に避けられない。今のところ幸いな事に当たり所が悪い訳では無いから助かっているものの、当たり所が悪かったらまずいところだ。たまにしか来ないのがまだマシか。


すると、急にゴブリンの動きが少し鈍った。

気付いたら斥候マウバレイ君と女盗賊アンの暗殺コンビは、アーチャー・メイジ・シャーマンだけでなく、後ろでふんぞり返っていたゴブリンリーダーまで倒してしまったようだ。存在がゴブリンへのバフだったリーダーが消えて、ゴブリンの動きが少し悪くなったようだ。

しかし、それくらいでは1対4の劣勢を跳ね返せる訳でもないので、引き続き泥試合をしながら、暗殺コンビが自分たちのゴブリンを狩ってくれるのを待つのみだ。


―――ドスッ!バタリ。


目の前で最後のゴブリンがアンのナイフに貫かれ倒れる。ふーっ、今回は大変だった。本当に。倒れて休んでてもいいかな?


―――バタッ。ゼェゼェ、ゼェゼェ。


倒れ込んで少しでも楽な姿勢をとって呼吸を整えようとする僕。

そんな寝転んでいる僕の前に行列が出来る。回復ヒーリング待ちの。


…気持ちは分かるけど、@1分休んでもいいかな?え?シズカさん、『それはダメ、甘えるな。』ですか?はい、そうですか…。そう言われたので早速シズカさんに

回復ヒーリングをしようとするが、シズカさんは列の最後尾にまわってしまった。自分が受けたいんじゃなくて、純粋に早く始めろって事だったのね。まぁ、どっちでもいいですけど。


―――回復ヒーリング


普通に傷だらけで流血だらけのモブ四郎君を中心に回復ヒーリングを回していく。モブ土君も慣れない近接戦と貧弱な装備でちょっと深い傷があったので、そちらも優先的に。二人とも完治はしてないけど、とりあえず後に回せるほど回復したので、次はシズカさん。


「お待たせしました。次はシズカさんの番ですね。」


掠り傷は多いから連戦続きだったのが窺えるなぁ。しかもローブで一部焦げてるところもあるけど、深い傷は全くないのが見事だなぁ。僕も見習いたいものだ。しかし、シズカさんは首を振ると僕自身に先に回復ヒーリングをしろと言ってきた。まぁ確かに僕の傷の方が深いですけど…。


「こんな陰キャより乙女の柔肌の傷を先に直した方がいいんじゃないですかね。」


―――バチーン!


って言ったら問答無用で引っ叩かれた。ごふっ。


「馬鹿を言ってないで、さっさと自分を治してください。」


物静かで控えめなシズカさんにいきなり引っ叩かれてびっくり。でも傷よりビンタの方が普通に痛いんですけど。あ、鼻血出てる。モブ土君とモブ四郎君は下手な口笛を吹いてそっぽを向いている。見なかった事にしたいようだ。まぁそうかも、今のシズカさん怖かったもんね。

見るとシズカさんもやり過ぎたと思ったのかすごい済まなそうな顔をしているが、僕の視線に気付くと急に『何か文句でもあるの?』という表情になった。少し表情が強張っていたけど。


その後、もう少し回復ヒーリングを重ねた結果、僕の魔法力はほぼ底をついてしまったが、皆はまだまだ元気だったので、安全第一で第六階層で時間切れまで狩りを続けて本日は終了となった。





第六階層突破でチーム全員がまず2点を獲得。今回のアキラの出来は『優』だったので加点2点で合計4点だった。なんかいいかも。


[ダンジョン探索3/10終了:合計10点]

[個人戦3/10終了:合計2点]

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