第22話 ダンジョン演習前半(第三週)
金曜日を迎えた。ダンジョン演習の日だ。
作者が本当に抽選した結果、今日の僕のパーティーは
・序列7位 スギゾウ マウバレイ君(斥候)
イケメン三人衆の一人で第一週のダンジョン演習で一緒になったね。
・序列11位 シズカ ステファン(魔法使い)
クミコの仲良し三人組の一人で、僕が入学早々フラれたコだ。
・序列15位 アン・ボニー(盗賊)
赤茶のツインテールに海賊帽、金色の瞳とグラマラスなボディが妖艶に輝く、元気いっぱいの女盗賊だ。
・序列22位 モブ土君(魔法使い)
先週もダンジョン演習で一緒だったね。その時に仲良くなれたと思ってるよ。
・序列26位 モブ四郎(棍棒使い)
棍棒をブンブン振り回すのが大好きな棍棒使い。
あとは僕な訳だが、さて…見れば分かる通り、前衛が棍棒使いのモブ四郎しかいない。しかも割と攻撃一辺倒な部類だ。
中衛が3人。僧侶と斥候と女盗賊だ。中衛といっても斥候も盗賊も前衛の補助が出来るといった感じよりも遊撃タイプだ。
そして後衛が魔法使い2人。
このパーティー、いくらランダムでもバランス悪すぎねえか!?前衛が一人しかいねえよ!しかも斥候と女盗賊って役割丸被りじゃねえかよ。しかもそのせいか、作戦会議の時点から二人とも張り合ってそうな雰囲気を既に醸し出しているし。
で、まずリーダー決め。
まずパーティー内序列最高位のマウバレイ君にみんなの視点が向くが、
「斥候にリーダーやらせるとか終わってるだろ。隊列から離れて周辺警戒してるんだから、方針は本隊にいるやつらが考えろよ。その代わり極上の情報を渡してやるからよ。」
との事、無駄にウィンクも決まっている。それを聞いた女盗賊のアン(アンって呼べって言ってた)も
「あ、あたしだって盗賊で、周辺警戒してて離れてるんだからリーダーやれないわよ。斥候なんかよりみんなに有益な情報を届けてあげるんだからね!」
と別にそんな事考えてなかっただろうに、斥候のマウバレイ君に張り合う形で拒否。棍棒使いのモブ四郎は『難しい事はわかんねえけど、リーダーやるなら筋肉が教えてくれると思うから一応やれると思うぞ』とか言ってるからみんなでお引き取り願った。モブ土君は『僕そういうの苦手なんだよねー。あ、そういえば先週アキラ君上手くまとめてなかった?』からのシズカさんの上目遣いうるうる作戦(あなた、そんなキャラだったっけ!?そんなにやりたくなかったの?)に陥落したアキラがリーダーになりました。
まぁいいけど。
第一~第四階層は、Aクラスの面々にかかっては所詮雑魚敵でしかないので割愛。流石の斥候マウバレイ君と女盗賊アンの2枚看板がいるから、変な罠踏んでとか、奇襲くらってとかのピンチとは無縁だったからね。
で、まず第一関門は先週も苦戦した第五階層中ボスの部屋。こんなバランス悪いパーティーで作戦なく突っ込んだら苦戦は必至なので、ボス部屋前で作戦会議。
うう…これがあるだけ先週よりだいぶいいよ。
僕とモブ四郎が前に出て、まず壁になる。すっごい薄い壁な気がするけど。相手はゴブリンファイターと雑魚ゴブリンが10~15匹ランダム。ある程度ゴブリンを削るとゴブリンリーダーも前線に来るかも。まぁ、モブ四郎との二人で削れると思えないけど。斥候マウバレイ君と女盗賊アンの二人で、ゴブリンアーチャーとメイジとシャーマンといった敵の攻撃の要を暗殺してもらう。そのためには混戦にならないと無理だから、開戦直後からしばらく二人は闇に潜んでもらう事になる。
…本当は片方は前衛を手伝ってもらってもう片方にゴブリンリーダーを暗殺して貰おうと思ったんだけど、二人とも張り合って片方だけに依頼とか無理だったんだ。
「もしもカリスマがあぁったなら~♪思いの~すべてを~(中略)
だけど!僕に~はカリスマが無い♪」(西〇敏行風)
ふっ、無駄に歌ってしまったぜ。
とにもかくにも本当に二人で前衛を張ってしばらく耐えきる必要がある。
後ろの魔法使い二人は…開幕は魔法攻撃できるだろうけど、正直モブ四郎と僕が10匹以上のゴブリンを防ぎきれる気がしないので、一発撃った後は頑張って逃げ回ってもらう事になりそう。…魔法使いもかわいそうすぎるな。
でも誰が悪い訳じゃない。こんなバランスが悪いパーティーになったくじが悪いんだ。
で、結局僕は先週1対1のゴブリンすら倒しきれなかったのに、ゴブリン何匹と同時に戦えばいいの?4匹?5匹?しかもその間もアーチャー、メイジ、シャーマンの攻撃にも晒されるんでしょう!?無理ゲー過ぎない!?