第13話 ダンジョン演習開始~後半
午後は第六階層からだ。ここからは敵もちょっと強くなってきて油断はできない。まぁでもタクヤ君はもちろんの事、悔しいけどテルキナも強い。変なミスをしなければこのパーティーは全く問題ないのだけど。
そのまま第六階層を無事踏破し第七階層に入る。しばらくすると先行するマウバレイ君から信号が発信された。右側から敵の群れが来ているらしい。
前衛三人が前に出る。僕は前衛をサポートしつつ、シズカさんが攻撃されるのを防げるように位置どる。シズカさんはいつでも魔法を行使できるように準備に入ったようだ。
マウバレイ君?彼は自由に戦うと思うよ。
―――ガルルッ!
アッシュウルフの群れか、その数6。そこそこ強い上にとにかく素速い難敵だ。
前衛とマウバレイ君が1匹ずつ止めてくれても2匹余る。魔法使いのシズカさんの元には通したくないから、タクヤ君ならすぐ一匹倒してくれると期待して、それまで僕が2匹を引き付けないと…!
前衛3人が3匹と交戦状態になる。
―――キャンッ!
タクヤくんは早速一撃与えたみたい、流石だ。でも一撃じゃ倒れてくれない。後ろに抜けてきたのは2匹。すると横から
―――火の矢!
―――火の矢!
―――火の矢!
火の矢の魔法が三連打される。初弾と二弾目は躱されたけど、三弾目はしっかりと命中して、アッシュウルフは吹っ飛んた。さすがシズカさんだ。倒したわけじゃないけど、これで僕が同時に2匹相手取る必要もなくなる。
なぜか魔法攻撃を食らわなかった方の一匹もシズカさんの方に向かおうとする。
おい、魔物のお前まで僕を軽視するのか!
まぁ魔法を打ち終えたシズカさんを隙ありと見たんだろうけどさ。
「やらせないぞ、僕が相手だ!」
僕は盾とメイスを打ち鳴らしてシズカさんの前に立つ。シズカさんは後ろでまた魔法行使の準備を始めたようだ。
―――あっ!
うん?モブ太が斧を大振りして空振り、その隙を付かれてアッシュウルフに体当たりをくらって転倒してしまったようだ。モブ太はすぐ起き上がろうとしているけど、そのアッシュウルフはモブ太への追撃ではなく、こちらを窺う様子を見せてきた。
そちらに気を取られた僕は、あろうことか目の前で対峙している当のアッシュウルフから目線を切ってしまった。
それを隙と見たアッシュウルフは僕に飛びかかってきた。慌てて盾を構える僕。そのアッシュウルフは僕の盾を踏み台にして、後ろのシズカさんに向かった。しまった!!!
僕の盾を踏み台にしたアッシュウルフが後方に飛びかかる軌跡がスローモーションで再生されていく。
―――火の矢!
しかし、シズカさんは詠唱中だった魔法を冷静にそのアッシュウルフに当てた。す、すごい。
「スメラギさんっ、そっちの一匹お願いします!」
あ、そうだ。ぼうっとしている場合じゃない。『はいっ』と返事をして僕は今シズカさんが吹っ飛ばしたアッシュウルフにメイスを叩きつける。
―――ゴスッ!
良い一撃が入った。でもそれだけでは倒せないので、どんどん追撃を仕掛けて倒した。…もっとも僕が倒したのが最後だったみたいだけど。
モブ太の分はタクヤ君が片付けていた。一通り見回すとモブ太は怪我していたので、回復魔法をかけてやる。
「シュテファンさん、ごめんなさい。怪我はありませんか?」
その後僕はシズカさんに謝った。『いえ、大丈夫ですよ。戦場ではどんなこともありうると想定して動いていますので、問題ありませんでした。』と優しくいってくれた。でも、それって僕がやらかすのも計算の内だったってことなのかな。
今日は結局第七階層までで探索を終えて帰還する事になった。
現時点での第七階層踏破はかなり良い結果でチーム全員がまず3点を獲得。今回のアキラの出来は『可』だったので加点無しで合計3点だった。悪くはないけど次はもっと頑張りたい。
[ダンジョン探索1/10終了:合計3点]
[個人戦1/10終了:合計0点]