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第12話 ダンジョン演習開始~前半

金曜日はダンジョン探索の演習の日だ。

今まではダンジョンに関する授業や先生が見守る中でダンジョン探索(第一話参照)をしていたが、今週からは採点付きの実習となる。毎週各クラス内ランダムで6人を1パーティーとして午前午後で探索、その探索深度(最大3点)や個人の貢献度評価(優/良/可/不可)に対してそれぞれ(2/1/0/-1)の加点がある。ほとんどの生徒が可で、特筆すべき活躍があると良とか優になる。これで最大5点の成績がつけられる。これも個人戦と同じく10週行われるので配点は50点だ。


先生が演習開始前の最後の説明をしている。


「今日からダンジョン探索の試験を兼ねた実習が始まる。わかっていると思うが、ダンジョンは危険な場所だ。難易度が低い学園ダンジョンですら、毎年少ないとはいえ死者が出ている場所でもある。十分に気を付けるように。」


今日のパーティーは抽選の結果、僕の他にはタクヤ君、テルキナ、シズカさん、モブ太君に、イケメン三人衆の一人、スギゾウ マウバレイ君だ。モブ太君は戦士タイプでマウバレイ君は斥候職らしい。マウバレイ君はすっごい軽い性格で気付くと女の子といつも仲良く喋ってるし、かといって男子とも仲が悪い訳ではない。陽キャの最高峰ともいえる全陰キャの敵なんだけど、僕にも優しいから憎めない。くっ。


「あーあ、今日はアキラと一緒かよ。今日は高得点望めねーな、ついてねー。」


「そういう言い方はよせ。出来るものも出来なくなってしまう。それにアキラは腕のいい僧侶だ。個人戦闘力はまだまだかもしれないが、ダンジョン探索のような場所ではその魔法力が光るぞ。」


「うるせえな、俺はお前に話かけた訳じゃねーんだよ。っていうか、あいつはダンジョン探索だってミスばっかじゃねーか。そんな風に思ってるのはお前くらいだ。」


タクヤ君とテルキナが僕を巡って言い合いをしている。喧嘩はやめて。僕のために争わないで。と言いたいところだけど、何も言い出せない。

このパーティーはマウバレイ君が斥候役として、周囲を偵察したり進行方向の罠を確認したりで普段はあんまり近くにいない。タクヤ君、テルキナ、モブ太君の前衛職三人で前を歩くんだけど、クミコの件もあってタクヤ君とテルキナの仲が悪い。タクヤ君は別に気にしてないんだけど、テルキナが一方的に敵視してて、モブ太がそれをあわあわしながらも結局は見守るだけ。あいつも陰キャだから仕方ないな。で、後衛に僕とシズカさん。シズカさんと二人で歩くとか、くっ、気まずい。フラれた黒歴史を封印したい。


「なぁ、そう思わねーか?」


とテルキナがモブ太に振る。モブ太は僕とテルキナを交互に何度か見て、


「あ、僕ちょっとあっちの道を偵察してくるね。」


と言ってどっかに行ってしまった。おいモブ太、お前偵察苦手だろ?そしてテルキナは歩くスピードを緩めると今度は後衛のシズカさんに近づいた。ちょ、やめて!


「え、私?私は別に不満には思っていませんけど。」


「シズカさんは優しいねぇ。フッた男にも優しいんだもんねぇ。あーあ、このパーティーには俺の味方はいねーのかー。つまんねーパーティー組まされちゃったなー。」


そう言い放つとテルキナはすたすたと前に歩いて行った。もちろん僕には一瞥もくれずに。すると、


「あの…本当に不満に思ってないですからね。」


「あ、はい。」


と、シズカさん。でもそのフォローいるかな?余計につらいんだけど。


午前中のうちに第五階層の中ボス部屋に来た。

ダンジョンは末尾が五の階層に大抵中ボス部屋があって、十階層毎には大ボス部屋がある。

第十階層は第五階層とは難易度が桁違いで、一年次の目標は第十階層突破となる。一年修了時に半分いけば良い方だとか。もちろんこの時期に突破するのはAクラスでも難しい。パーティー編成がランダムだからね。


で、まだ後期が始まったばかりのこの時期、まだ下位クラスは第五階層の中ボスを倒せないパーティーも多いんだけどね、僕らはAクラスだし、中でも今日はメンバーが揃ってるからあっさり突破。第六階層の入り口でお昼休憩とした。

お昼ご飯は誰と食べたかって?一人で食べたよ。本当はモブ太と食べれたらいいなぁと思ってたらあいつはテルキナに連行されていったんだ、それもかわいそうだけど。


え?シズカさん?僕を殺す気かい?

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