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第11話 得意な授業

月曜日が終わり、今日は火曜日で魔法学の講義が中心の日だ。

魔法史や魔法の系統体系や相関性や技術論、魔石と魔道具などなどその分野は多岐に渡り、覚える事も多くなかなか大変だ。でもこれは僕の得意分野だし、実技が苦手な僕はここで点数を稼ぐしかない。


今日の1限は魔法史だ。

魔法技術と関係なさそうだけど、案外こういうのの積み重ねが魔法行使の役にたったりするから馬鹿にできないんだよね。それにその担当講師は魔法のスペシャリストだ。担当のマウリア先生は、前期では僕の魔法技術の向上のためによく放課後特訓に付き合ってくれたいい先生だ。魔法史を軽んじ勝ちな学生達の中で僕が熱心に授業を受けていたので気にかけてくれたのかもしれない。僕の今の魔法技術が優れているのはマウリア先生のお陰でもあるし、今でもいろんな相談に乗ってもらうなどいい関係を築けている。


ちなみに、これが戦闘に何の役に立つんだとばかりにテルキナや彼らの取り巻きは最後列に座って、机に突っ伏して寝ていた。マウリア先生もそれに気付いてチョーク投げてたな。結構逸れたんだけど、マウリア先生の得意な風魔法で軌道を修正して見事に命中してた。高性能な魔法の無駄遣いを見たよ…。

っていうか、おっぱい大きし美人だしで、とても良い先生だと思うんだけどなー。こういうタイプはテルキナの趣味じゃないのかな?


「アキラっち、ごめんー!魔法史のノート写させてくれないかなぁ?」


1限終了後にそう話しかけてきたのは、クサナギさんだ。そういえば授業中船漕いでいたもんね。


「いいけど、クミコとかシュテファンさん(シズカさんの苗字、まだ僕には表では名前で呼べない)に見せてもらえばいいんじゃないの?」


「うーん、あの二人でもいいんだけどさぁ。クミコは授業中何度も起こされたんだけど、その度に睡魔に負けちゃってさぁ、最後ちょっとムッとしてたし多分貸してくれなそうなんだよね。シズカでもいいんだけど、アキラっちのノート、見易くまとまってて私好きなんだわ。ダメかな?」


と手を合わせてお願いされてしまった。くぅ、上目遣いがあざといぜ。っていうか、手を合わせながら明らかに胸寄せてるし、わかってやってるなこの人。


「…まぁ、いいけど。」


僕は胸のところに視線がいかないようにして、それだけを言うのが精一杯だった。


「やったー!アキラっち、ありがとー!お礼に今度デートしてあげるね?」


「…え、遠慮しておきます。」


「そっかー、じゃあ残念だけどやめとくね。」


全然残念じゃなさそうな声でそう言ってきた。この人、僕が断るってわかってそう言ったな。じろりと見ると『何か?』って感じでにっこりと見返されてしまった。はい、僕の負けです。陰キャが調子に乗ってすいませんでした。すると『じゃあねー』と手を振りながら僕のノートを持って去っていった。はぁ。


こんな感じで今日の魔法学の授業は終わった。

なお魔法学は期末に試験が行われて配点は100点。

Aクラス残留を目指す以上、満点とは言わずとも90点以上は欲しいなぁ。



水曜日は、一般教養の日だ。

各授業では、世界史や法律学、数学、自然科学、地理、それに付随する世界の文化などを学ぶ。

今日の1限は数学だった。

暗記すれば何とかなる他の授業と違って、この授業は得意不得意がテストの点数に如実に出てしまう。ちなみに僕は大得意だ。そのせいか、みな現金なものでこの授業だけ僕の周りの席は自然と埋まる。クミコですらこの時間は僕の席の近くに座る。


「…この授業だけはアキラの存在価値を認めてもいい。」


「…どうも。」


別に僕に聞いたり僕のノートを確保しようとしたりしなくても先生に直接聞けばいいと思うのに。そういうと、


「それはアキラが数学を理解しているからで、数学を理解していない人間にはあの先生に質問してその説明を改めて聞いてもさっぱり分からない。」


そうですか。まぁ、そんなんでも役に立てるならいいですけどね。どうせ学園ダンジョンに一緒に潜る時には迷惑かけると思うので。


そんなこんなで水曜日が終わった。

ちなみに魔法学園は4年制なんだけど、一般教養は1、2年次のみの授業だ。

こちらも期末に試験が行われて配点は100点。

出来れば満点を取りたいと思ってるよ。




木曜日は、魔法学の実技の授業の日だ。

魔法を短時間で安定して発動させて、的に対して少しでも威力を高めて高速で正確に命中させる事を目的とした授業だ。

応用としては、単発ではなく複数同時に発動したり標的を範囲にしたり、直線的ではなくわざと曲線で的に迫ったり追尾するような性能を持たせるのもありだ。

一つ一つをとってみても成果は地味だけど、どれもとても大事だ。

午前中は座学が基本で、午後は外に出て的に向かって魔法を撃つ実習がメインだ。

僕も早速的に向かって魔法を撃つ。


―――回復ヒール

―――祝福ブレス

―――解毒アンチポイズン


的にこれらの魔法を撃っても特に意味はないのだが、的の部分が魔法に反応して色が変わるので、魔法が適切に発動してちゃんと目標に当たっているかどうかが分かる。僕は焦ってよくミスはするものの、こういうプレッシャーの無い局面では、落ち着いてできるから魔法の行使は問題ないんだよね。むしろ得意なので、ここでも得点を稼ぎたい分野だね。


―――火のファイヤアロー

―――火のファイヤアロー

―――火球ファイヤボール


二つ隣では、シズカさんがこちらもキレイに魔法三連打を決めている。己惚れていいなら、魔法技術では僕とシズカさんが双璧じゃないかなぁ。


―――ドカン(チッ!)


と、僕の的が爆発した。どうやら隣のテルキナの魔法が僕の的に当たったみたいだ。しかも見るとわざとじゃなくて、コントロールミスらしい。僕の視線に気付いたのかちらっとこちらを見ると『練習で手元が狂ったくらいでうるせえんだよ、お前なんていつもミスってんだろ!』って言った後、舌打ちして去っていった。


え、僕悪くないよね?しかも何も言ってないし…


こんな感じで木曜日は終わった。

なお、この魔法学の実技も期末試験があり配点は100点だ。

この試験も僕はかなり高得点を取りたいと思っているよ。

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